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第1回「再犯防止キャラバン」を行いました!!

平成27年3月15日(日)及び16日(月),葉梨法務副大臣を隊長とする法務省キャラバン隊は,福岡県において第1回「再犯防止キャラバン」を行いました。

立ち直りに必要なこと ~再犯防止キャラバンができるまで~

犯罪や非行が繰り返されないようにするためには,犯罪や非行をした本人が,過ちを悔い改め,自らの問題を解消する等,その立ち直りに向けた努力をたゆまず行うとともに,国がそのための指導監督を徹底して行うべきことは言うまでもありません。

それと同時に,社会においても,立ち直ろうとする者を受け入れ,その立ち直りに手を差し伸べなければ,彼らは孤立し,犯罪や非行を繰り返すという悪循環に陥ってしまいます。

平成26年12月,犯罪対策閣僚会議において,再犯防止に向けた宣言「犯罪に戻らない・戻さない」が決定されました。これは,犯罪や非行をした人を“責任ある”社会の一員として再び受け入れることが自然にできる社会にするため,国が,地方,更には地域コミュニティ,国民の皆様と手を携えて共に歩む新たな時代の取組を宣言したものです。

この宣言を受けて本年2月に開催された第65回“社会を明るくする運動”中央推進委員会会議では,安倍総理大臣から,国民の皆様の御理解と御協力をお願いする“社会を明るくする運動”・内閣総理大臣メッセージが出されました。

このメッセージを全国各地に広げ,更なる御理解と御協力をいただくため,法務大臣・副大臣・大臣政務官を隊長とするキャラバン隊を編成し,全国各地を訪問させていただくこととなりました。

再犯防止キャラバンが目指すもの

日本全国で,保護司や協力雇用主を始めとする多くの民間協力者の方々が,日々,再犯防止に取り組まれています。また,こうした活動を支える地方自治体や企業の方も少なくありません。

こうした地域発の取組の中には,今後,再犯防止を地域で進める上での鍵が多くあると考えます。

そこで,再犯防止キャラバンでは,地域で再犯防止に取り組まれている方々から,取組を進める背景や課題,その成果についてお聞きし,今後の政策展開につなげていきます。

地域の取組と取組む方々の姿を全国に伝えることで,再犯防止に対する理解と協力の輪が一層広がり,地域に根付いていくよう取り組んでいきたいと考えています。

~再犯防止キャラバン in福岡~

今回,訪問させていただいた福岡県と北九州市は,安全安心な地域づくりに向け,地方自治体と民間協力者の方々が一緒になって,活動を推進しており,特に,犯罪や非行をした人たちを雇用し,立ち直りを支えてくださる企業(協力雇用主)による取組が積極的に行われています。

福岡県,北九州市による独自の取組の例

○ 再犯防止に向けた関係機関の連携強化に向けて

・国,地方の関係機関を構成員とする会議の設置
  →福岡県刑務所出所者等就労支援連絡会(福岡県)
  →青少年の非行を生まない地域づくり推進本部(北九州市)

○ 独自の再犯防止対策

・薬物回復プログラムの実施

○ 再犯防止に取り組む人が活動しやすい環境づくり

・犯罪や非行をした人を雇用した企業(協力雇用主)に対する表彰

・協力雇用主拡大のためのリーフレット作成,シンポジウムの開催

・協力雇用主に対する独自の支援(見舞金)制度の創設

1 県庁・市役所訪問

最初に,葉梨キャラバン隊長が,再犯の現状と国の取組,地方公共団体にお願いしたいことについて説明しました。

北九州市長等に対して説明する葉梨キャラバン隊長

福岡県・海老井副知事らとの会談

海老井副知事との会談では,再犯防止を地域で進める上で,非行少年の立ち直りを支えるための居場所がまだまだ十分でないことや,就職した後も,安定して就労できるように継続的な指導・支援が必要であるといった課題について,意見を交換しました。

福岡県庁での意見交換会

北九州市・北橋市長らとの会談

北橋市長との会談では,犯罪や非行をした人を雇用することに対する不安や,社会的な評価が十分でないため,出所者等を雇用することをためらわれる企業の方が少なくないこと,また,建設業など特定の業種に偏っているため,個々の特性に応じた対応が難しいこと,安全な地域づくりに向けて,一層関係機関が情報を共有して取り組む必要性等について,意見交換をしました。

取組の一層の推進に向け,他の地域における取組事例等についても共有を図りながら,更に連携を強化していくことを確認し,会談は終了しました。

最後に,葉梨キャラバン隊長から,再犯防止対策への理解・協力のお願いという意味を込めて,“社会を明るくする運動”・内閣総理大臣メッセージが渡されました。

葉梨キャラバン隊長から内閣総理大臣メッセージ伝達

(福岡県副知事へ)

(北九州市長へ)

2 更生保護関係者等訪問

就労支援の取組を進めている福岡県就労支援事業者機構(※1)の方々を始め,福岡県の保護司会,更生保護施設連盟,更生保護女性連盟及びBBS連盟(※2)の代表とも意見交換を行いました。

(※1)刑務所からの出所者等の就業促進を目的とし,就労支援の取組を主に進めている組織です。

(※2)犯罪をした人や非行のある少年が通常の社会生活をしながら,善良な社会の一員として立ち直ることができるよう,指導や援助を行っています。

福岡県就労支援事業者機構の方々との意見交換

協力雇用主を始めとする“仕事を通じて立ち直りを支援する”という活動の存在について,社会的な理解・評価が十分でないため,国民からの理解と協力を得るための取組が必要であることや,より幅広い業種の方から協力を得るための課題について意見を交換しました。

NPO法人 福岡県就労支援事業者機構との意見交換会

更生保護関係団体との意見交換

犯罪や非行の立ち直りを地域で支える上での課題として,出所者が高齢化しているため,福祉との連携が重要になっていること,個々の対象者の抱える問題が複雑化する中,より一層保護司の方々が地域で活動しやすい環境づくりの必要性等について,意見を交換しました。

更生保護関係団体との意見交換会

最後に,葉梨キャラバン隊長から“社会を明るくする運動”・内閣総理大臣メッセージが渡されました。

更生保護関係者へ内閣総理大臣メッセージを手交

3 矯正施設視察

筑紫少女苑視察

筑紫少女苑は,福岡市にある女子少年院です。ここでは,出院後を見据え,基本となる生活指導に加えて,介護サービスや社会人としてのマナーの習得に関する職業補導等を実施しています。また,薬物乱用防止への理解を促す働き掛けをするなど,在院者の個々の問題性に応じた指導・支援を行っています。

筑紫少女苑内を視察するキャラバン隊

(中庭)

(教育棟)

北九州医療刑務所視察

北九州医療刑務所では,主に精神障害を有する受刑者を収容し,専門的な医療を実施しています。治療効果を高めるための作業療法として,陶芸を行っており,その様子について視察しました。

北九州医療刑務所内を視察するキャラバン隊

北九州医療刑務所内工場内を視察する様子

(工場内)

北九州医療刑務所内収容棟を視察する様子

(収容棟)