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第2節 民間協力者(保護司を除く)の活動の促進

3 民間の団体等の創意と工夫による再犯防止活動の促進【施策番号74】

 法務省は、少年院に在院している少年の再犯・再非行の防止を実現することを目的として、2021年度(令和3年度)から2023年度(令和5年度)までの間、成果連動型民間委託契約方式(PFS)※12の一類型であるソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)※13を活用し、少年院に在院している少年のうち、意欲のある者に対し、学習支援を行う事業(資6-74-1参照)を実施した。なお、2023年(令和5年)6月には、地方公共団体に対してPFS等を活用した再犯防止の取組の実施に向けた支援を行うことを目的に、同事業等を素材としてPFS等による事業の導入・実施のプロセスを解説した「再犯防止分野におけるPFS/SIBの手引き~法務省におけるPFS/SIB事業の実施プロセス等解説~」※14を公表した。2024年度(令和6年度)以降は、本事業の取組状況や成果を検証するとともに、今後の課題を整理することとしている。

資6-74-1 SIBによる非行少年への学習支援事業
資6-74-1 SIBによる非行少年への学習支援事業

 また、法務省は、クラウドファンディングを活用した民間資金調達に関する実践研究を行い、更生保護関係団体による効果的な民間資金の活用、また、更生保護や再犯防止の取組に対する国民の理解促進を図ることを目的とした実践マニュアル(資6-74-2参照)に加え、BBS会の各種研修用教材として、クラウドファンディングの実践方法を紹介する動画を作成し、更生保護女性会やBBS会を始めとする更生保護関係団体による犯罪予防・再犯防止活動等の継続を支援している。

 内閣府は、2021年(令和3年)2月に、SIBを含むPFS事業を実施しようとする国又は地方公共団体等が当該事業を円滑に実施できるよう、PFS事業の実施に関する一連の手続の概説等を示した「成果連動型民間委託契約方式(PFS:Pay For Success)共通的ガイドライン」※15を作成、公表し、2024年(令和6年)2月に改訂した。また、2021年度からSIBを含むPFS事業を実施する地方公共団体を対象とする「成果連動型民間委託契約方式推進交付金事業」(資6-74-3)を開始し、PFS事業における委託費のうち、成果連動支払部分等について複数年にわたる補助を行うとともに、評価の専門機関が当該事業の成果評価について支援を行っている。

資6-74-2 更生保護関係団体のためのクラウドファンディング実践マニュアルの概要
資6-74-2 更生保護関係団体のためのクラウドファンディング実践マニュアルの概要
資6-74-3 PFS推進交付金の概要
資6-74-3 PFS推進交付金の概要
  1. ※12 成果連動型民間委託契約方式(Pay For Success、PFS)
    地方公共団体や国が、民間事業者に事業を委託し、事業の内容について民間事業者に一定の裁量を認めるとともに、事業の成果を評価した上で、その成果に連動して委託費の支払を行うもの。
  2. ※13 ソーシャル・インパクト・ボンド(Social Impact Bond、SIB)
    PFSの一類型であり、民間事業者が金融機関等の資金提供者から当該事業等に係る資金調達を行い、民間事業者から資金提供者への償還等も成果に連動した地方公共団体等からの支払額に応じて行うもの。
  3. ※14 再犯防止分野におけるPFS/SIBの手引き~法務省におけるPFS/SIB事業の実施プロセス等解説~」
    https://www.moj.go.jp/content/001397136.pdf再犯防止分野におけるPFS/SIBの手引き~法務省におけるPFS/SIB事業の実施プロセス等解説~」のqr
  4. ※15 成果連動型民間委託契約方式(PFS:Pay For Success)共通的ガイドライン(令和6年2月改訂)
    https://www8.cao.go.jp/pfs/r6_guidelines.pdf成果連動型民間委託契約方式(PFS:Pay For Success)共通的ガイドライン(令和6年2月改訂)のqr