第3節 おわりに
本特集では、4つの企業・団体等の取組について取り上げた。
再犯防止分野においては、これまでも、保護司、篤志面接委員、教誨師、更生保護女性会員等の多くの民間協力者の方々に多大な御協力をいただいてきた。政府としては、引き続き、こうした民間協力者の方々への支援を強化していく必要がある。
同時に、上述のとおり、再犯防止の取組を更に進めるためには、こうした民間協力者に加え、新たなステークホルダーとの連携を進めていく必要がある。しかしながら、第2節のインタビューの中でも指摘があったように、そもそも、社会の中で再犯防止が広く認識されておらず、多くの企業等にとっては、再犯防止への参画を検討すらできていないのが実情であると思われる。また、一般に、再犯防止の活動には高い使命感が求められると感じられることもあるためか、多くの企業等においては、再犯防止分野への参画はハードルが高いというイメージを持たれることが少なくなく、結果として、再犯防止分野における民間協力者の裾野が広がりにくい現状があったことも否めない。
今後、「地域による包摂の推進」を更に展開していくためには、本特集で取り上げた企業等のように、既存の民間協力者の枠組みによらない協力も欠かせないものであり、そのためには、再犯防止の認知度を高め、企業等の協力を得られやすくするような環境を整備していくことが重要である。本特集で取り上げた企業等においては、矯正施設の見学等をきっかけとして、再犯防止分野に関心を持ったケースもあったように、より多くの方に再犯防止分野との接点を持っていただけるよう、国や地方公共団体から、再犯防止分野について積極的に情報発信していくことの重要性を改めて認識した。
加えて、犯罪をした者等と関わることに対する漠然とした不安等により、実際に再犯防止分野に協力することについては心理的なハードルが高いということも考えられるため、実際に再犯防止分野に関わっていただくこととなった後も、国や地方公共団体が適切なフォローアップをしていくことが求められる。
これまでは、再犯防止分野に携わっていただく方々に、矯正施設の被収容者や保護観察対象者等への直接的な支援を担っていただくことが多かったが、今回、事例で取り上げた間接的な支援を実施していただいている企業等をはじめとした新たなステークホルダーの参画は、再犯防止施策の裾野を広げ、より多くの人々に再犯防止に関心を持っていただくきっかけとなり得る。そして、新たに関心を持った企業や市民が再犯防止分野の輪に加わることで、「地域による包摂の推進」がより強固なものとなり、「安全・安心な社会」の実現に一層近づくものと考えられる。
本特集が、企業や市民の方々にとって、再犯防止分野に関心を持ち、それぞれが可能な範囲で再犯防止の取組に関与していただくきっかけとなれば幸いである。政府としては、第二次再犯防止推進計画に基づき、引き続き、国・地方公共団体・民間協力者等が一体となった再犯防止の取組の更なる推進を図っていくこととしたい。