再犯防止推進白書ロゴ

第1節 特性に応じた効果的な指導の実施等

3 ストーカー加害者に対する指導等

(1)被害者への接触防止のための措置【施策番号70】

 警察及び法務省は、2013年(平成25年)4月から、ストーカー事案を始めとする恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案に係る仮釈放者及び保護観察付執行猶予者について、被害者等に接触しようとしているなどの問題行動等の情報を共有するなど、緊密かつ継続的な連携によって、こうした者の特異動向等を双方で迅速に把握することができるようにしている。

 また、保護観察所において、警察から得た情報等を基にして、必要に応じ再加害を防止するための指導を徹底するなどしており、遵守事項※8違反の事実が確認されたときは、仮釈放の取消しの申出又は刑の執行猶予の言渡しの取消しの申出を行うなど、ストーカー加害者に対する適切な措置を実施している。

(2)ストーカー加害者に対するカウンセリング等【施策番号71】

 警察は、加害者への対応方法や治療・カウンセリングの必要性について精神科医等の助言を受け、加害者に治療・カウンセリングの受診を勧めるなど、地域の精神科医療機関等との連携を推進している。また、ストーカー加害者への対応を担当する警察職員に、精神医学的・心理学的アプローチに関する技能や知識の向上に係る研修を受講させている。

(3)ストーカー加害者に対する指導等に係る調査研究【施策番号72】

 警察庁及び法務省は、ストーカー加害者が抱える問題等や、効果的な指導方策、処遇等について、2017年度(平成29年度)から、一定期間におけるストーカー加害者の再犯の状況等に関する調査研究を実施し、2014年(平成26年)に警察においてストーカー事案として相談等受理された経緯のある受刑者や保護観察対象者について、その実態の把握を行ったところである。これを踏まえ、より効果的な処遇を実施するためのアセスメント方法等について2021年度(令和3年度)中に刑事施設向けの執務参考資料を作成予定であるほか、保護観察所においては、2021年1月から類型別処遇(【施策番号83】参照)に新たに「ストーカー類型」を位置付け、類型ごとの処遇の指針である「類型別処遇ガイドライン」を踏まえた処遇を実施している。さらに、保護観察対象者に係る保護観察所と警察との情報共有について、引き続き推進することとしている。

  1. ※8 遵守事項
    保護観察対象者が保護観察期間中に守らなければならない事項。全ての保護観察対象者に共通して定められる一般遵守事項と、個々の保護観察対象者ごとに定められる特別遵守事項がある。遵守事項に違反した場合には、仮釈放の取消しや刑の執行猶予の言渡しの取消し等のいわゆる不良措置がとられることがある。