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第1節 特性に応じた効果的な指導の実施等

7 発達上の課題を有する犯罪をした者等に対する指導等【施策番号82】

 法務省は、少年院において、在院者の年齢や犯罪的傾向の程度等に着目し、一定の共通する類型ごとに矯正教育課程※10を定め、発達上の課題を有する者については、その特性に応じて、支援教育課程※11Ⅰ~Ⅴのいずれかを履修するよう指定しており、2020年(令和2年)、支援教育課程Ⅰ~Ⅴのいずれかを指定された在院者は433人であった。また、発達上の課題を有する在院者の処遇に当たっては、2016年(平成28年)に策定した「発達上の課題を有する在院者に対する処遇プログラム実施ガイドライン」(資5-82-1参照)を活用しているほか、2018年度(平成30年度)からは、身体機能の向上に着目した指導を導入し、その充実に努めている。

 さらに、2015年度(平成27年度)からは、支援教育課程を置く少年院の職員に対する集合研修を実施しており、2018年度からは、その研修期間を延長し、指導体制の更なる充実・強化を図っている。

 保護観察所において、類型別処遇(【施策番号83】参照)における「発達障害」類型に該当する、又はその他発達上の課題を有する保護観察対象者について、必要に応じて、児童相談所や発達障害者支援センター等と連携するなどして、個別の課題や特性に応じた指導等を実施している。また、更生保護官署職員及び保護司に対し、発達障害に関する理解を深め、障害特性を理解した上で的確な支援を行うための研修や教材の整備を実施している。

資5-82-1 発達上の課題を有する在院者に対する処遇プログラム実施ガイドラインの概要
資5-82-1 発達上の課題を有する在院者に対する処遇プログラム実施ガイドラインの概要
  1. ※10 矯正教育課程
    在院者の年齢、心身の障害の状況及び犯罪的傾向の程度、社会生活への適応に必要な能力等の特性について、一定の類型に分け、その類型ごとに在院者に対して行う矯正教育の重点的な内容及び標準的な期間を定めたもの。
  2. ※11 支援教育課程
    障害又はその疑い等のため処遇上の配慮が必要な者に対して指定する矯正教育課程をいう。支援教育課程のうち、Ⅰは知的障害、Ⅱは情緒障害若しくは発達障害、Ⅲは義務教育終了者で知的能力の制約や非社会的行動傾向のある者等に対して指定する。また、Ⅳは知的障害、Ⅴは情緒障害若しくは発達障害のある者等で、犯罪的傾向が進んだ者に対して指定する。