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第3節 地方公共団体や民間協力者による取組

1 岩手県における満期釈放予定者の社会復帰支援

CASE

(執筆者:岩手県)

 岩手県では、2018年度(平成30年度)から3年間実施した地域再犯防止推進モデル事業において、満期釈放予定者等に対する社会復帰支援を行いました。

 具体的には、保護観察所等からの依頼を受け、特別調整の対象とならなかった満期釈放予定者等のうち、高齢又は障害があることにより、福祉的支援が必要な方に対して、出所後に円滑に地域社会へ移行できるよう、矯正施設入所中から岩手県地域生活定着支援センターによる生活環境調整を開始し、福祉サービス等につなげるための支援を行いました。

 支援事例の中には、出所までに十分な調整期間がない場合に、居住先の確保等を始め、地域での支援体制の構築に支障が生じた例もあったことから、いかに早く対象者を把握するかが大きな課題として浮き彫りになりました。

 支援対象者を適時・適切に把握し、円滑な支援につなげていくためには、刑務所等において候補者を把握した段階から、保護観察所及び地域生活定着支援センターと早期に情報共有を図ることが必要だと考えています。

 また、支援を行っていく中で、安定した生活基盤の確保が矯正施設出所後の支援ニーズとして多く挙げられていること、高齢または障害を有することが、社会復帰の阻害要因になっていることがわかりました。犯罪等の常習化を防ぎ、社会で自立するためには、仕事・住居の確保や、必要な保健医療・福祉サービスに結び付けていくことが重要だと考えています。

 これらの事業結果等を反映し、2021年(令和3年)3月には、本県の再犯防止関連施策をとりまとめた「岩手県再犯防止推進計画」※13を策定したところです。

 岩手県としては、本計画に基づき、満期釈放予定者等が国の刑事司法機関等を経た後、円滑に地域社会に復帰できるよう、国の取組と連携しながら、必要な支援について引き続き取り組んでいくこととしています。