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第4節 終わりに~次期「再犯防止推進計画」の策定に向けて~

第4節 終わりに~次期「再犯防止推進計画」の策定に向けて~

 政府は、2017年(平成29年)12月に「再犯防止推進計画」を閣議決定して以降、地方公共団体、民間協力者との連携を一層強化し、一丸となって再犯防止の取組を推進してきた。

 再犯防止については、「出所受刑者の2年以内再入率を令和3年までに16%以下にする」という政府目標※20を設定していたところ、2020年(令和2年)に、2019年(令和元年)出所者の2年以内再入率が15.7%まで低下し、政府目標を1年前倒しで達成した。また、2021年(令和3年)には、2020年(令和2年)出所者の2年以内再入率が15.1%まで低下するなど(【指標番号3】参照)、再犯防止の取組は着実に成果を上げていると考えられる。

 一方で、現「再犯防止推進計画」の策定からこれまでを振り返ると、本特集で触れたように、女性や高齢・障害者に対する指導・支援、保護司を始めるとする民間協力者の確保など、解決すべき課題も少なくない。また、本白書における新たな試みとして、【当事者の声】や【再犯防止推進計画等検討会有識者委員からの講評】を特集の中で掲載したが、そこからも、今後の再犯防止の取組の推進に向けて様々な示唆をいただいたところである。

 有識者委員や関係省庁を構成員とする「再犯防止推進計画等検討会」では、本特集で指摘した課題を踏まえ、次期「再犯防止推進計画」の案の検討を進めているが、同検討会が、2022年(令和4年)4月に決定した「次期再犯防止推進計画の策定に向けて」では、

○ 刑務所出所者等が地域社会の中で孤立することなく、生活の安定が図られるよう、個々の対象者の主体性を尊重し、それぞれが抱える課題に応じた「息の長い支援」を実現すること

○ 「就労」や「住居」の確保のための支援をより一層強化することに加え、刑務所出所者等への支援の実効性を高めるための相談拠点及び民間協力者を含めた地域の支援連携(ネットワーク)拠点を構築すること

○ 国と地方公共団体との役割分担を踏まえて地方公共団体の主体的かつ積極的な取組を促進するとともに、国・地方公共団体・民間協力者の連携を更に強固にすること

が次期「再犯防止推進計画」の3つの基本的な方向性として示されたところである。

 現在、これらの基本的な方向性等を基に、2023年度(令和5年度)以降の5年間で実施すべき具体的な取組の検討を行っている。今後は、有識者の御意見に加え、意見募集(パブリックコメント)の御意見も踏まえながら検討を進め、2022年度(令和4年度)中に次期「再犯防止推進計画」を閣議決定し、さらに、再犯防止の取組を進めたいと考えている。

  1. ※20 「再犯防止に向けた総合対策」(平成24年7月犯罪対策閣僚会議決定)において定められた数値目標である。過去5年(2006年(平成18年)から2010年(平成22年))における2年以内再入率の平均値(刑務所については20%、少年院については11%)を基準として、これを2021年(令和3年)までに20%以上減少させるというもの。出所受刑者の2年以内再入率については、2020年(令和2年)出所者について16%以下にすることが数値目標となる。