コラム
パキスタンの少女銃撃事件
2012年10月9日,パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州スワト地区で,10代の少女マララ・ユスフザイさんが,下校中に銃撃され,重傷を負う事件が発生した。同少女は,一命を取り留めたが,2012年末現在も英国で治療を受けている。

事件について,同国のイスラム過激組織「パキスタン・タリバン運動」(TTP)(注)は,犯行を認めた上で,「我々に敵対する者は誰でも攻撃を受ける」などと警告した。事件が起きたスワト地区及びその周辺地区から成るマラカンド地域は,TTPに参加しているとみられる「預言者ムハンマドの法施行運動」(TNSM)の活動地域として知られる。TNSMは,女子教育や音楽を禁じたりするなど, アフガニスタンにおける「タリバン」政権時を彷彿とさせる活動を展開していた。同少女は, こうした状況の中で, 女性が教育を受ける権利を訴え, 20 0 9年には, 英国BBCのウルドゥー語放送のブログに公開した「日記」の中でTTPを批判したことから, 国内外に広く知られるようになっていた。
少女銃撃事件を受け, TTPに対するパキスタン国内外からの非難が強まるとともに,TTPなど「タリバン」支持勢力の主要拠点となっている同国北西部連邦直轄部族地域(FATA)北ワジリスタン地区に改めて注目が集まった。
