インドネシアの裁判所への和解・調停強化支援
インドネシアの裁判所への和解・調停強化支援

インドネシアは,アジアのもっとも南にある国で,1万8000以上の島から構成されています。人口は世界第4位の約2億3000万人です。世界遺産であるボロブドゥール寺院や,世界中から観光客が訪れるバリ島などが有名です。ココナッツ・石炭など多くの資源に恵まれ,織物などの工業も盛んで,アジアの国の中でも,今後大きな成長が期待されている国です。


インドネシアでは,20世紀末に独裁政権が終わった後,社会制度の改革に取り組んでいます。裁判所も2003年に改革計画を発表し,取組を始めましたが,裁判所の国民からの信頼が低いことが大きな問題でした。その理由のひとつには,判決までに時間がかかりすぎることがありました。そこで,裁判所は,原告と被告の間に裁判官や調停人が入って話し合いを進めて,解決方法を合意してもらう和解・調停制度を活用すれば,早く争いを解決できて国民の信頼も回復できると考え,2003年に和解・調停制度に関する規則を作りました。しかし,なかなか活用は進みませんでした。


和解・調停強化支援

法務総合研究所国際協力部は,インドネシアからの要請に基づいて,独立行政法人国際協力機構(JICA)や財団法人国際民商事法センター(ICCLC)などと協力して,2002年から2006年まで,同国から裁判官・弁護士などをお招きして,日本の裁判手続などを紹介したうえ,インドネシアの裁判手続の問題点などを検討する研修を行ってきました。2007年からは,同国の裁判所を対象に和解・調停制度強化支援プロジェクトが始まったことから,毎年1回程度,そのための研修を行い,日本の和解・調停制度の内容や,上手な和解・調停の進め方などを紹介したうえ,インドネシアから招いた研修員の皆様に,和解・調停制度の活用を進めるための改善方法を検討してもらいました。研修員は,その成果をインドネシアに持ち帰り,同国に派遣されていた日本の弁護士のアドバイスを得ながら,改善作業を進めました。その結果,インドネシアでは,2008年に和解・調停に関する規則がより使いやすい内容に改正されたほか,和解・調停を担当する裁判官などに対する養成研修が始められるなど,着実に改善が進んでいます。


今年の研修

国際協力部は,2009年11月にも2週間,インドネシアから裁判官・弁護士など12名をお招きして,研修を行いました。これまでは,日本側が日本の和解・調停制度などを紹介して,これを持ち帰ってもらうことが多かったのですが,今回は違いました。インドネシア側から,積極的に,改正された規則を活用した和解・調停の成功例のほか,和解・調停制度活用についての問題点や改善方法が発表されましたので,日本側もこれに対するアドバイスに熱が入りました。インドネシアから参加した皆様は,「日本から学べるだけ学びたい」と,毎日,予定時間を大幅に超えて,次々に意見を発表し,また,日本側に質問をしていました。研修を通して,インドネシアの裁判所で和解・調停制度の活用が進んでいく様子を感じられることは,私たちにとっても大変嬉しいことですし,仕事のやりがいも感じます。まだまだ問題は山積しているようですが,近い将来,インドネシア全体に和解・調停制度が根付き,多くの国民が裁判所を気軽に利用するようになることを私たちは心から願っています。


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Vol.9 〜ホームページから相談窓口が検索できます〜

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