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高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度の導入について

高度な資質や能力を有する外国人労働者(以下「高度人材」といいます。)の受入れを促進するため,法務省は,「高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度」(以下「ポイント制」といいます。)を平成24年5月から開始しました。

 

ポイント制は,一定の就労資格に該当する外国人のうち,特に優れた人材に対し,出入国管理上の優遇措置を講じるものです。

 

ポイント制では,「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3つの就労活動を設定されており,それぞれの特性に応じて,学歴や職歴,年収などの項目ごとにポイントが設けられています。ポイントの合計が,一定の点数以上に達した方に,出入国管理上の優遇措置が与えられます。

 

<高度人材として出入国管理上の優遇措置の対象となる方>

活動区分 該当例 ポイントの合計点
高度学術研究活動 基礎研究や最先端技術の研究を行う外国人研究者など 学歴・職歴・年収・年齢の各項目,ボーナス加算項目(研究実績や資格,地位,その他)のポイントの合計が70点以上
高度専門・技術活動 専門的な技術・知識などを生かして,新たな市場の獲得や新たな製品・技術開発などを担う外国人など
高度経営・管理活動 日本企業のグローバルな事業展開などのため,豊富な実務経験などを生かして企業の経営・管理に従事する外国人など

高度人材が受けることができる出入国管理上の優遇措置

高度人材として認定された方は,以下のような出入国管理上の優遇措置を受けられます。

(1)複合的な在留活動の許容

高度人材と認められた方は,別途,資格外活動許可や在留資格の変更などの許可を得なくても,複数の在留資格にまたがる複合的な活動を行うことができます(ただし一定の制限があります)。

(2)最長「5年」の在留期間の付与

高度人材については,5年の在留期間が一律に決定されます。

(3)在留歴に係る永住許可要件の緩和

永住許可を受けるためには,原則として引き続き10年以上日本に在留していることが必要となりますが,高度人材については,高度人材としての活動を引き続き概ね5年間行っている場合に,永住許可の対象となります。

(4)入国・在留手続の優先処理

高度人材に関する入国手続は,申請受理から10日以内,在留手続については申請受理から5日以内をめどに優先的に行われます。

(5)配偶者の就労

高度人材の配偶者が,「教育」,「技術」,「人文知識・国際業務」などに該当する活動を行おうとする場合には,学歴・職歴などの要件を満たす必要がありません。

(6)親の帯同

3歳未満の実子を養育する高度人材については,一定の要件の下,高度人材又はその配偶者の実親の入国・在留が認められます。

(7)高度人材に雇用される家事使用人の帯同

高度人材については,一定の要件の下,外国人の家事使用人を雇用することが認められます。

高度人材が行う3つの活動類型

アジ研は,創立50周年を迎えました!!

皆さんは「アジ研」を御存知ですか。

アジ研は,正式名称を「国連アジア極東犯罪防止研修所(United Nations Asia and Far East Institute for the Prevention of Crime and the Treatment of Offenders)といい,国連と日本政府の協定によって設置された,刑事司法分野の研修・研究機関です。国内では「アジ研」と呼ばれることも多いのですが,海外で通用する正式な略称はUNAFEI(ユナフェイ)です。

アジ研の設置

アジ研の歴史は古く,その設置は1962年まで遡ります。そのしばらく前から,国連主催のセミナー等において,犯罪対策のためのアジア極東地域研修所の設置を求める声が高まっており,国連から我が国に受入れの打診がありました。これを受けて研修所設置に関する協定(昭和36年条約第4号)を締結の上,アジ研の開設に至ったものです。我が国が国連に加盟したのは1956年ですから,国連に対する国際貢献の最初期のものの一つで,しかも現在まで続いているということになります。

アジ研の基本的性格

アジ研は,国連と日本政府が共同で設置した研修所であり,日本政府(法務総合研究所国際連合研修協力部)が国連と共同で運営しています。下の左側の写真は,東京都府中市にあるアジ研庁舎です。玄関脇に,国連旗と日本の国旗がはためいているのが見えますが,これは,「国連と日本政府の共同設置・共同運営」というアジ研の基本的性格の現れです。

国連アジア極東犯罪防止研修所

国連アジア極東犯罪防止研修所

第151回国際研修における海外専門家の講義

第151回国際研修における海外専門家の講義

アジ研の国際研修

アジ研の研修には,様々なものがありますが,開設当初から50年にわたって実施している主力のプログラムは,「第○○回国際研修(又はセミナー)」というシンプルな名前で呼ばれています。この国際研修は,毎年3回実施されており,毎回特定のテーマを設定の上,講義・発表・討論・見学を通じて研さんを深めます。現在は,アジア・太平洋地域に限らず,中南米,アフリカ,中東など,世界各国から刑事司法実務家を受け入れており,また,毎回,検察官,裁判官,矯正職員,保護観察官を始め,我が国の実務家も参加します。

卒業生のネットワーク

国際研修の研修期間は約1か月で,世界各国から集まった研修員は,その間,アジ研の寮に宿泊し,文字どおり「同じ釜の飯」を食べながら学び,そして交流を深めます。ここにアジ研の研修の大きな特色があります。見ず知らずであった研修員は,研修が終わる頃には友情を深め合い,本国に帰ったあともその絆は消えることがありません。卒業生の中には,その後,最高裁長官,法務大臣,検事総長,保護局長など要職に就いた者も少なくなく,卒業生のネットワークは,アジ研が業務を実施する上で,また,研修員の日々の職務の中で国際協力が必要な場面において,大きな力を発揮しています。

おわりに

創立50周年を迎え,これまでにアジ研が実施した国際研修の回数は151回に達しており,その他のプログラムを含め,アジ研の卒業生は,130の国・地域から4600人を超えています(平成24年6月末日現在)。引き続き時代のニーズに即した有益なプログラムを提供していきたいと考えており,本年12月には,一つの節目として,国連関係者や国内外の刑事司法関係者を招いて,50周年記念行事を実施予定です。

 

アジ研の活動は,度々「あかれんが」で御紹介しています(37号,36号,33号,31号,30号)。また,アジ研のウェブサイトもありますので,興味のある方は,是非御覧ください。