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法制度整備支援の海外現場から「笑顔と挨拶で」

まずは挨拶を

「シン チャオ」,「サワディ カー」,「スラマッ シアン」,「サバイ ディー」

元々裁判官をしていた私が,2012年4月に法務省法務総合研究所国際協力部に出向してから覚えた東南アジア各国の「こんにちは」です。関わりを持った順番に,ベトナム語,タイ語,インドネシア語,ラオス語です。現在は,カンボジアの研修員を日本に招いて研修中で,クメール語の挨拶である「チョムリア(プ) スーア」を覚えようとしているところです。

国際協力部では,東南アジアを中心とする国々に対して,「法整備支援」と呼ばれる,法律作りや法律を運用する人材の育成のお手伝いをする形での国際協力の仕事をしています。韓国やタイ,欧米諸国の法律関係者との交流の機会もあります。

法整備支援では,対象国の法律関係者を日本に招いて研修を行うほか,こちらから対象国に出向いて制度の調査をしたり,セミナーを開催して講義をすることもあります。どちらの場合にも,対象国の人々と交流をするわけですが,通訳を介する場合が多いのが現状です。せめて,挨拶と感謝の言葉くらいは直接伝えたいものです。

笑顔を忘れずに

実際に法整備支援の現場に出て,熱心に知識を吸収しようとする対象国の皆さんの姿を見ると,何とかお役に立ちたい,という気持ちが沸き起こってきます。また,日本での研修に当たっては,歓迎の気持ちが伝わるように心がけています。ここでも壁となるのが言葉ですが,それをカバーするのが「笑顔」であると考えています。たとえ話している内容が分からなくても,笑顔で接していれば,きっとおもてなしの心が伝わりますよね。

もっとも,研修ではかなり体力,気力を使います。例えば,昨年の11月に行ったラオスの研修では,ラオスでの教科書作りに生かしてもらうため,ラオスと日本の制度の比較を行ったのですが,日本の制度の中でも普段あまり使用することがないものについては,慌てて法律の条文を見ながら以前勉強したときの記憶を頭の隅から引っ張り出す必要があります。その作業を行いながらラオスの研修員の方の質問を聞いて,どのようなコメントをするかを考えるわけです。さすがに2週間の研修の終盤には疲労が溜まってしまっていたところ,研修員の方に「疲れていないか。」と言われてしまいました。疲れが顔に出ていたのか,ただ気遣っていただいただけなのかは分かりませんが,これからは,熱心に研修している皆様に余計な心配をかけることのないように,しっかり笑顔でカバーするように心掛けます。

(法務総合研究所国際協力部教官 三浦 康子)

お答えします  「検察庁・検察官」について

Q:
検察官にはどのような権限があるの?
A:
検察官は公益の代表者として,刑事事件について,公訴を行うことや裁判所に法の正当な適用を請求すること,裁判の執行を監督することといった権限や,いかなる犯罪についても捜査をすることのできる権限などを有しています。これらの権限のもと,社会の秩序を維持する役割を果たしています。
Q:
検察庁の独自捜査って具体的にどのようなことをするの?
A:
検察庁の独自捜査とは,自ら検挙摘発して行う捜査で,政治家等による汚職事件,法律や経済についての高度な知識を必要とする企業犯罪等について行われます。
なお,東京,大阪,名古屋の地方検察庁には特別捜査部(特捜部)が置かれ,そのほかの地方検察庁にも,同様の業務を行う特別刑事部が置かれている庁があります。
Q:
刑事事件の裁判で検察官はどのようなことをするの?
A:
検察官は,裁判で,捜査により収集した証拠に基づき,起訴された人(被告人)がどのような事件を起こしたのかを明らかにし,どのような刑罰を与えるべきかについて意見を述べます。
裁判員裁判では,国民から選ばれる裁判員が審理の内容を十分理解できるよう,スライド等を用いて分かりやすく,的確な立証に努めています。