CONTENTS
《特集記事》
タイ王国パッチャラキティヤパー王女殿下のアジ研における特別講義について
《連載記事》
そんなとき法テラスがお役に立ちます! VOL.21
~法テラスが行う被災地での法的支援~
CONTENTS
《特集記事》
タイ王国パッチャラキティヤパー王女殿下のアジ研における特別講義について
《連載記事》
そんなとき法テラスがお役に立ちます! VOL.21
~法テラスが行う被災地での法的支援~
「シン チャオ」,「サワディ カー」,「スラマッ シアン」,「サバイ ディー」
元々裁判官をしていた私が,2012年4月に法務省法務総合研究所国際協力部に出向してから覚えた東南アジア各国の「こんにちは」です。関わりを持った順番に,ベトナム語,タイ語,インドネシア語,ラオス語です。現在は,カンボジアの研修員を日本に招いて研修中で,クメール語の挨拶である「チョムリア(プ) スーア」を覚えようとしているところです。
国際協力部では,東南アジアを中心とする国々に対して,「法整備支援」と呼ばれる,法律作りや法律を運用する人材の育成のお手伝いをする形での国際協力の仕事をしています。韓国やタイ,欧米諸国の法律関係者との交流の機会もあります。
法整備支援では,対象国の法律関係者を日本に招いて研修を行うほか,こちらから対象国に出向いて制度の調査をしたり,セミナーを開催して講義をすることもあります。どちらの場合にも,対象国の人々と交流をするわけですが,通訳を介する場合が多いのが現状です。せめて,挨拶と感謝の言葉くらいは直接伝えたいものです。
実際に法整備支援の現場に出て,熱心に知識を吸収しようとする対象国の皆さんの姿を見ると,何とかお役に立ちたい,という気持ちが沸き起こってきます。また,日本での研修に当たっては,歓迎の気持ちが伝わるように心がけています。ここでも壁となるのが言葉ですが,それをカバーするのが「笑顔」であると考えています。たとえ話している内容が分からなくても,笑顔で接していれば,きっとおもてなしの心が伝わりますよね。
もっとも,研修ではかなり体力,気力を使います。例えば,昨年の11月に行ったラオスの研修では,ラオスでの教科書作りに生かしてもらうため,ラオスと日本の制度の比較を行ったのですが,日本の制度の中でも普段あまり使用することがないものについては,慌てて法律の条文を見ながら以前勉強したときの記憶を頭の隅から引っ張り出す必要があります。その作業を行いながらラオスの研修員の方の質問を聞いて,どのようなコメントをするかを考えるわけです。さすがに2週間の研修の終盤には疲労が溜まってしまっていたところ,研修員の方に「疲れていないか。」と言われてしまいました。疲れが顔に出ていたのか,ただ気遣っていただいただけなのかは分かりませんが,これからは,熱心に研修している皆様に余計な心配をかけることのないように,しっかり笑顔でカバーするように心掛けます。
(法務総合研究所国際協力部教官 三浦 康子)