経験者の声(インタビュー)

白石工業株式会社 相談役

白石 宏行さん

刑務所等を出所した人を受け入れたきっかけは?

40年前に私の父が経営する会社で働き始めましたが、いつも仲良くしている会社の同僚の中に刑務所を出所した人がいました。私はその事実を他の同僚から聞かされましたが、その後もいつも楽しく一緒に仕事をしていたので、全く気になりませんでした。他にも刑務所を出所した社員が働いていて、私の父が経営している会社はそのような環境でしたので、私が会社を父から引き継いでも同じように、刑務所等を出所した人を雇用しています。
現在までに160名以上の人を実際に受け入れています。今実際に働いている人は30名ほどです。

 

刑務所等を出所した人を雇用して苦労されたことは?

元暴力団関係者を採用した際に、私の知らないところで、他の社員に対して暴言や暴力を振るっていることがありました。そのことが原因で、真面目に更生しようとしている人が数人辞めていったことがあり、他の更生しようと頑張っていた人たちに申し訳ない気持ちを抱いたことがありました。また、「親代わり」と思い、引き受けた少年がいなくなり、警察に捜索願を出したこともありました。 引き受けた人が再犯をしたときも、辛い思いをしました。

 

刑務所等を出所した人を雇用して良かったと思うことは?

高齢化と人手不足の建設業の中で、今働いている全員が「無くてはならない大事な戦力」になっているということです。また、少年院を17歳で出院して私の会社で働いている少年が7年間仕事を続け、その後、結婚して子どもを2人授かって、私にその子どもの顔を見せてくれたことは、とても嬉しかった経験です。

 

刑務所等を出所した人に対して、どのようなことを心掛けて接していますか?

彼らが出所してすぐの頃は、よく声を掛けますが、時間が経てば特別な扱いはしていません。私が関わるよりも、一緒に働く仲間がいて、寮に帰れば一緒に風呂に入り、食事をして、そんな生活が楽しいと思ってくれると、長く務まるのだと思います。彼らが居心地の良い生活を送ることができるよう、心掛けています。

 

刑務所等を出所した人に望むことは?

彼らが施設にいる間に内定を出しますが、これから働く会社がどんな会社で、どんな人たちが働いているのか、何も分からずにやって来ると思います。本人も不安だと思いますが、こちらも不安です。出所して会社に来て初めて「こんな会社だったのか」ということが分かるので、この会社が自分に合っているのか働いてみないと分からないと思います。出所して会社に来たら遠慮することなく質問して、自分の疑問をたくさん話してほしいと思っています。そして改めてここでやっていけるのかどうかを決めてほしいと思っています。納得して働くことが大事なことです。

 

刑務所等を出所した人の雇用を検討している事業主の方へのメッセージ

協力雇用主に登録をする前に、前科のある人を採用することを、社員に内緒にして雇うのか、社員に説明して理解をしてもらうのかといったことは、事前に考えておくことが大事で、雇われる本人の考えも踏まえることが必要です。現在、働いている社員も納得して、採用する人も納得しないとうまくいかないと思われます。
また、採用することが決まり、出所することを楽しみに待っていても、雇ってすぐに辞めてしまい、「何とかがんばれそうだ。」と思っていても再犯をしてしまうということもあります。雇うときはそのようなリスクも念頭に入れておいてください。
しかし、出所してくる人は「今度こそはやり直そう。」と思い本心から頑張ろうと思っているはずです。その気持ちを理解して、その人の性格などを見極めて、お互いが認め合う関係になれれば、彼らは本当に頑張って働いてくれると思います。こちら側が心を開かないと、相手も心を開いてくれません。たくさん話をして、お互いの理解を深められるようにすることが大切です。
一人の人を採用することは一般の採用と変わりません。最後は自分の目を信じて「この人なら大丈夫」と思ったら採用を決めてください。採用する責任は全て自分にあるということを忘れないでほしいと思います。
彼らが頑張ってくことで、助かっている会社はたくさんあると思います。
興味があれば、ぜひ協力雇用主に登録してください。

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