再犯防止推進白書ロゴ

第3節 地域ごとの課題に対して地方公共団体が独自に行っている再犯防止施策

2 国の関係機関と連携した取組

 それぞれの地域の中に所在する国の関係機関と密接に連携し、独自の取組を進めている団体として、少年院と連携している大阪府阪南市の取組を取り上げる。

阪南市における取組 ~地域の困りごとを解決したい 泉南学寮グリーンサポーター活動中!~

 阪南市は、地区の方々が交流などを通じて、少年院である泉南学寮の在院生を地域の子供として見守り、泉南学寮の少年と近い世代の若者や子供達が、学生ボランティアグループや子ども福祉委員としてボランティア活動を続けているまちです。

 2019年(令和元年)夏、「地方公共団体や民間団体と連携した地域における課題の把握と在院者による課題解決」のプロジェクトが動き出し、在院生の「少しでも人の役に立ちたい、地域の困りごとを解決したい」という強い思いと、行政、社会福祉協議会、地域の団体などが実現に向けてつながり、2019年12月、全国初となる少年院の在院生と職員とによるボランティア団体「泉南学寮グリーンサポーター」が誕生しました。

 その活動は、大阪湾に面する自然豊かなまちが人口減少や高齢化で抱えている課題について考え、自分達ができること、やってみたいことをチラシにして、社会福祉協議会が仲介役となり、地域で支えてほしい、手伝ってほしい人から依頼を受ける仕組みです。泉南学寮は半年弱の短期処遇施設のため、「ボランティア団体認定証」とボランティア学習、先輩が考えたアイデアが次の在院生に受け継がれて活動を継続していきます。また、出院後は希望者に対して、各機関や居住地の社会福祉協議会などが連携して必要な支援につなぐ体制を作っています。

 これまでに、高齢化や担い手確保に課題を抱える地元の漁業組合で養殖カキを選別する手伝いのほか、ひとり暮らしの高齢者宅では、依頼者の思いや立場に寄り添った清掃を行いました。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、2020年度(令和2年度)当初は、高齢者等への応援メッセージの送付、ベルマーク収集で地域の中学校に協力したところですが、夏からは新たに買い物に困っている高齢者向けに購入後の商品を自宅へ運ぶ手伝いや、地域の憩いのカフェ周辺の草刈り活動を実施するなど、状況に応じた活動に一人一人が懸命に取り組む姿勢が評価されています。

 ボランティアは、単にお手伝いするのではなく人と人のつながりであり、人の役に立った、社会貢献できたという気持ちが芽生え、自分自身が必要とされている存在だと認識できる活動でもあります。

 困りごとを依頼した人達から、たくさんの「ありがとう」、「助かったよ」という感謝の言葉をかけられた少年達は、達成感、新たな気づき、そして成長を手に退院していくことでしょう。

 「泉南学寮グリーンサポーター」の活動が、彼らの自己肯定感と社会参画の意欲を高め、再犯防止の一助につながることを願っています。

泉南学寮グリーンサポーターの取組【提供:大阪府阪南市】