再犯防止推進白書ロゴ

第3節 地域ごとの課題に対して地方公共団体が独自に行っている再犯防止施策

3 矯正施設所在自治体会議の取組

 矯正施設所在自治体会議(【施策番号111】参照)においては、構成員である地方公共団体が主体となり様々な取組を実施している。

矯正施設が所在する地方公共団体が形成する相互連携ネットワークの意義等について

 矯正施設所在自治体会議(以下「本会議」という。)は、矯正施設が所在する市町村(特別区を含む。以下同じ。)の首長が構成員となってネットワークを形成し、地域ぐるみの再犯防止施策の推進や、矯正施設の人的・物的資源を活用した地域創生策等の推進を目的として、情報交換、調査研究、国及び都道府県への政策提言、地域住民への啓発活動等を行うために設置された、市町村主導の会議体です。

 2017年(平成29年)4月、山口県の美祢市長が法務省矯正局に対して本会議の設置を提案したことが契機となり、本会議の設置に賛同する首長による意見交換会、準備会議、矯正施設所在自治体会議設立発起人会議を経て、2019年(令和元年)6月に、計90の市町村の首長が会員(2020年(令和2年)4月時点では98の市町村の首長が会員)となった設立総会を開催しました。

 本会議設立後は、矯正施設が有する人的・物的資源を地域の強みとして活用する「再犯防止×地方創生」の取組を進めるため、地方公共団体に対する財政的支援を求めた要望書を総務大臣に提出したほか、2019年10月には、矯正施設が有する人的・物的資源を活用した地方創生策について意見交換等を行うため、地方創生研究会を開催しました。

 地方創生研究会では、首長や市町の職員、矯正施設職員のほか、農福連携に取り組んでいる社会福祉法人や自伐型林業を推進しているNPO法人も参加し、矯正施設と連携した「再犯防止×地方創生」の事例紹介や意見交換、敷地内に広大な農場を有する網走刑務所、総務省の「ローカル10,000プロジェクト」の一環として整備された網走番屋や流氷硝子館、廃材チップを燃料とするバイオマス発電所の視察を行いました。

 また、全国7つのブロック別に地域部会を開催し、各ブロックの地域性・課題等に応じた再犯防止施策や地域創生策に関する意見交換、矯正施設との連携事例の共有、矯正施設の視察等を行いました。

 本会議の設置により、「矯正施設が所在する」という新たな共通項で、市町村、矯正施設及び民間団体等の立場の違う当事者が顔の見える関係でつながり、地域の実情に応じた再犯防止施策や地方創生策について情報交換、調査研究、政策提言等ができるプラットフォームが形成されたことは、大きな意義があります。

 今後も、本会議を通じて得られた新たな「出会い・つながり」を生かし、矯正施設、保護観察所、検察庁などの刑事司法機関や地域の民間団体等と連携した新たな取組を模索・展開していくことが重要だと考えられます。

矯正施設所在自治体会議設立総会の様子【提供:法務省】