
第3節 犯罪や非行からの離脱の要因
2 衣食住の確保と仕事・学業の安定
事例1では、非行に及んでいた当事者としての経験や現在の保護司活動を通じて、犯罪や非行から離脱するためには、衣食住と仕事・学業の安定が不可欠という考え方が示されている。事例2では大学受験をできる環境、つまり、衣食住と学業に打ち込むことができる環境が整っていたことが読み取れる。事例3では、二度目の審判の結果が試験観察であったことが語られており、審判の後は保護者等適切な監護者の下で衣食住が確保された生活をしたことが分かる上、その後、学業に打ち込むことができる環境にあったことがうかがえる。事例4では、刑務所在所中から、協力雇用主の下への就職と社員寮への入居が決まっていたことで、出所後の生活への不安が軽減され、落ち着いて新しい生活を送ることができたと語られている。
各事例からは、衣食住に不安がなく、仕事や学業中心の安定した生活ができる環境にあったことが共通して見いだせる。以上から、衣食住の確保と仕事・学業の安定が、犯罪や非行から離脱することができた要因の1つであることが考えられる。