
第3節 犯罪や非行からの離脱の要因
3 良好な人間関係の構築
事例1では、資格試験のときに、支えてくれる人の存在が大きな力となったことが示すように、職場の先輩や高校の先生の伴走的な関わりによって、徐々に本人の価値観や考え方が変容していったことが読み取れる。事例2では、学習支援のスタッフが、非行をした事実を知った上で受け入れてくれたことから、ありのままの自分として振る舞うことができ、立ち直りの過程において大きな心の支えとなったことが語られている。事例3では、現在の自分があるのは、これまで多くの人に助けられたからだと語られている。事例4では、本人が仕事で悩みを抱えた際に協力雇用主の社長が親身になって相談に乗り、家族同然にサポートをし、そのことが離職や再犯といった望ましくない行動を防ぐための大きな力となったことがうかがえる。
各事例からは、立ち直りに向かう本人が健全な人間関係に支えられ、犯罪や非行から距離を置いたり、価値観や考え方を変容させたりする過程を共通して見いだせる。以上から、良好な人間関係の構築が、犯罪や非行から離脱することができた要因の1つであると考えられる。