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第1節 就労の確保等

4 就労した者の離職の防止及び離職した者の再就職支援【施策番号14】

 法務省は、少年院において、2018年度(平成30年度)から、就労した者の離職を防止することを目的に、(公財)日本財団が実施している職親プロジェクト※20の参加企業の協力を得て、少年院在院者を対象に職場体験を積極的に実施している。また、退院や仮退院をした者又はその保護者等から、就労に関することを含め、健全な社会生活を送る上での問題について相談を求められた場合において、相当と認めるときは少年院の職員が相談に応じることができる制度(少年院法第146条)を設けており、2023年(令和5年)には退院者等からの相談を729件(前年:802件)受け付けた。また、少年院を出院した者を雇用した協力雇用主等からの相談を受け付けているほか、コレワークにおいても、協力雇用主の相談に応じるなど継続的支援を行っている(【施策番号7イ】参照)。さらに、退院者等からの相談制度の積極的な活用を促すため、2024年度(令和6年度)からメールによる相談受付システムを導入する予定である。

 少年鑑別所では、「法務少年支援センター」という名称を用いて、地域社会における非行及び犯罪に関する各般の問題について、少年、保護者等からの相談のほか、関係機関からの依頼に基づき情報提供、助言、心理検査等のアセスメント、その他の心理的援助等の各種の専門的支援を行うなど、地域社会のニーズに広く対応しており、2023年は、1万5,210件(前年:1万4,013件)の相談等を受け付けた。その一環として、犯罪をした者等に対しても、仕事や職場の人間関係の悩み等について相談に応じ、助言を行うなど支援を行っている。

 保護観察所では、協力雇用主が保護観察対象者等を雇用した場合、その後のフォローアップとして、必要に応じ、保護観察官が当該協力雇用主のもとを訪問するなどし、保護観察対象者等の就業状況を把握するとともに、保護観察対象者等に離職やトラブル等のおそれがあると認められる場合、保護観察官が適時適切に当該保護観察対象者等に対する面接指導等を行い、離職の防止に努めている。また、更生保護就労支援事業(【施策番号7ウ】参照)における「職場定着支援」では、国から委託を受けた民間事業者が、被雇用者である刑務所出所者等への就労後の継続的な訪問・指導等の支援に加えて、協力雇用主に対しても、被雇用者への適切な指導方法等について助言を行うなど、被雇用者と協力雇用主双方への継続的な支援を行っている。

 さらに、保護観察所において、離職した保護観察対象者に対し、保護観察官が面接指導等により再就職を促すなどしている。加えて、更生保護就労支援事業(【施策番号7ウ】参照)における「就職活動支援」では、就職活動に対する支援が必要と認められる保護観察対象者等に対し、更生保護就労支援事業所がきめ細かな支援を行っている。また、地域によっては、協力雇用主らが、協力雇用主のネットワーク組織である協力雇用主会を組織し、情報交換等を行いながら、保護観察対象者等の雇用に取り組んでいることから、同会との連携を通じて、離職者も含めた無職の保護観察対象者等の就職支援を進めている。

 厚生労働省は、ハローワークにおいて、就職した支援対象者や雇用主に対して、必要な相談・助言等を行い、離職を防止するための支援を行っている。

 ハローワークの取組は【施策番号7】を参照。

  1. ※20 職親プロジェクト
    (公財)日本財団と企業が連携し、少年院出院者や刑務所出所者の更生・社会復帰を就労・教育・住居・仲間づくりの面から包括的に支えることで、「誰でもやり直しができる社会」の実現を目指す民間発意の取組。2023年(令和5年)12月までに、累計534名の少年院出院者や刑務所出所者が職親企業(職親プロジェクトに参加している企業をいう。)に内定している。