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第3節 犯罪や非行からの離脱の要因

5 当事者と支援者によるニーズの共有

 事例1では、支援者が協力雇用主として本人を雇用することで、実際の仕事を通じて指導し、できることを褒めて職場への定着を促したり、再犯に至る可能性が高まった際に適切に助言したりするなど、本人の社会復帰に向けて寄り添い続けるという姿勢がうかがえる。事例2では、本人が望む支援と、支援者が想定する支援に食い違いがないよう、本音で話し合うことができる関係を築くために対話を重ねること、更生保護施設退所後の生活支援にとどまらず、看取りまでの関わりを意識していることが語られている。事例3では、自立支援住宅に入居する前から、本人の立ち直りに向けた検討を重ねて支援を続けてきたこと、支援に当たっては対等な人間として向き合うよう心掛けていること、本人と社会のつながりを増やす伴走型支援を行っていることが語られている。

 各事例からは、支援者が「専門家」として主導的に働き掛けるのではなく、本人との対話によって考えや気持ちを伝え合う対等な関係を築いた上で、必要となる支援や解決すべき課題を本人と支援者が分かち合うことを通じ、再犯防止や社会復帰が図られてきたことが共通して見いだせる。以上から、当事者と支援者によるニーズの共有についても、離脱の要因の一つであると考えられる。