
第4節 おわりに
第4節 おわりに
本特集では、3名の当事者に加え、それらの当事者の社会復帰に向けた支援を実施してきた支援者の語りを掲載し、社会復帰を果たした者等が犯罪や非行から離脱することができた要因について、令和5年版白書における分析との共通点を確認するとともに、新たな要因を探った。
その結果、令和5年版白書において共通項として浮かび上がった四つの項目については、本特集の事例についても当てはまることが確認でき、また、本特集の事例から、「当事者と支援者によるニーズの共有」が新たな共通項として浮かび上がった。
離脱の要因や過程は当事者によって百人百様であり、令和5年版白書及び本特集において取り上げた事例のみでは、離脱の要因を一般化することは困難である。社会復帰の実現には、犯罪をした者等の努力、犯罪をした者等を取り巻く環境や人間関係、支援者が行う支援等の要因が複合的に絡み合って効果を発揮するものと考えられ、離脱の要因に一定の傾向を見いだすためには、当事者及び支援者の語りを蓄積する必要がある。
引き続き社会復帰を果たした当事者、それらの当事者の社会復帰に向けた支援を実施してきた支援者、更には関係機関等の実務者の事例を収集し、再犯防止施策の一層の推進を図っていくこととしたい。