第2節 民間協力者(保護司を除く)の活動の促進
(1)民間協力者の活動に関する広報の充実【施策番号75】
警察は、令和6年4月現在、少年警察ボランティアとして、少年補導員4万6,000人、少年警察共助員約220人及び少年指導委員約5,600人を委嘱しているほか、令和7年3月現在、大学生ボランティア約8,600人が全国で活動している。これらのボランティアの活動への理解や協力を促進するため、啓発資材の作成・配布、警察のウェブサイト※15等を通じて、ボランティア活動に関する広報を行っている。
法務省は、“社会を明るくする運動”(【施策番号95】参照)の広報・啓発行事や、エックス(旧ツイッター)等のSNS※16を通じて更生保護ボランティアの活動を紹介したり、啓発資材を作成・配布したりすることによって、更生保護ボランティアの活動に関する広報の充実を図っている。
また、保護司の適任者確保や保護司活動への協力の促進を図るため、保護司が地域の関係機関・団体、民間企業等に対し、保護司活動等について紹介する保護司セミナーに取り組んでいる。
(2)民間協力者に対する表彰【施策番号76】
内閣官房及び法務省は、平成30年度から、内閣総理大臣が顕彰する「安全安心なまちづくり関係功労者表彰」において、再犯の防止等に関する活動の推進において特に顕著な功績又は功労のあった個人又は団体を表彰している。令和6年度は、法務省を含む関係省庁や地方公共団体から推薦を得て、再犯を防止する社会づくりについて功績・功労があった個人及び団体を表彰した※17(資5-76-1参照)。

再犯防止を支える民間協力者の方々 教誨師
宮城刑務所(教誨師) 梅澤徹玄
1 教誨師として活動するまでの経緯について教えてください。
私は寺院の家に生まれたわけではなく、ごく普通の一般の家庭で育ち、大学卒業後は会社員として働いていました。当時は好景気に沸いている時代でしたが、私は「地に足の着いた生き方」を求めて模索していました。
そんな折、29歳で出家をすることになるのですが、きっかけをくださったのは、宮城刑務所で教誨師をされていた2人の布教師の方々です。振り返れば、大学時代の経験も大きく影響していたと思います。法学を専攻していた私は、ある冤罪事件の被告の親族が、街頭で家族の無実を訴える姿に心を打たれ、裁判支援活動に関わりました。そうした経験が、司法や人間の尊厳への関心を育てたのだと思います。
時が流れ、教誨師のお一人から後任として推薦をいただき、「これは天命だ」と感じて教誨師の道を歩む決意をしました。
2 教誨師の活動内容について、教えてください。
刑務所で受刑者を対象に、月1回ほど宗教的な教えを伝える活動を行っています。内容は、複数人に向けた「集合教誨」や「坐禅会」、一対一の「個人教誨」など多岐にわたります。
活動は、季節にちなんだ話題を交え、仏教の真理を説く「法話」から始まり、仏教の教えに関する資料の読み合わせ、「数珠」や略式の袈裟である「絡子」(仏教徒の装身具)を身に着け、「五体投地」 と呼ばれる、仏教において最も丁寧な礼拝、「読経」というお経の唱和、そして心・呼吸・身体を調える「坐禅」へと進みます。
個人教誨では、受刑者が被害者や家族に対して抱く、ざんげの気持ちに耳を傾け、共に礼拝や読経を行います。
また、臨済宗の僧侶として、お盆の時期には亡くなった方々やご先祖に感謝を伝える「盂蘭盆施餓鬼法要」という法要を、宗教行事として実施しています。この法要では、僧侶だけではなく在家信徒(出家していない信徒)の方々にも刑務所内に同行いただき、仏教の教えを信仰の心を込めて旋律に乗せて唱える「御詠歌」を実施しています。この行事は、僧侶以外の方々にも刑務所のことを知っていただく機会にもなっていると思います。

3 教誨師の活動のやりがいを教えてください。
教誨の場では、まずこちらから礼儀を尽くし、心を込めて丁寧な挨拶を行うことで、「人間の尊厳」を自覚してもらえるように努めています。読経、坐禅の指導、仏教の教えを丁寧に伝え、時には、思いに耳を傾け、一人ひとりの心に寄り添い、「一つの人格」として接する中で、その人が本来持っている「人間性」や「生まれながらの本来の心」が垣間見える瞬間があります。
こうした心の交流を重ねることで、受刑者が罪と向き合い、その重さを再認識し、人生をやり直そうとする、その後押しができることに、大きなやりがいを感じます。社会復帰が近づく頃には、感謝されることもあり、それが何よりの喜びとなっています。
4 教誨師として大切にしていることを教えてください。
刑務所に収容されている方の中には、過酷な環境や悪縁に翻弄され、法を逸脱してしまった人達もいると考えています。「犯罪者」というレッテルを不必要に抱くことなく私達と何ら変わらない人間の一人であるという気持ちを持つことが大切です。自らの罪と真摯に向き合い、尊厳を自覚し、人生をやり直す覚悟を持つには、理解し、後押しする他者の存在が必要です。
私はこれからも、受刑者にとって安心して心を開ける存在となれるよう、丁寧、誠実に向き合っていきたいと思っています。
再犯防止を支える民間協力者の方々 篤志面接委員
愛光女子学園(篤志面接委員) 菅井文子
1 篤志面接委員として活動するまでの経緯について教えてください。
私の祖母は、篤志面接委員制度が創設された当時から、少年院である愛光女子学園で篤志面接委員として活動していました。その後、母もその志を受け継ぎ、同じ学園で長年篤志面接委員の活動を続けていたため、私の家庭では、ごく当たり前のように「篤面」という言葉を耳にしていました。
一方、 私は、大学卒業後は一般企業に就職し、結婚後は専業主婦として子育てに専念する日々を送っていました。しかし、下の子が中学生になった頃から、「仕事に復帰するなら、社会の役に立つことがしたい」という思いが少しずつ強くなってきました。
そんな折、祖母が、篤志面接委員の活動として 長年取り組んでいた愛光女子学園での生け花の指導を、平成16年から引き継ぐことになりました。こうして、もともと親しみを感じていた篤志面接委員としての活動を始めることができ、私にとってとても自然な流れだったと感じています。
2 篤志面接委員の活動内容について、教えてください。
私が担当している生け花の指導は、最初に、花材や道具の名前、基本的な生け方について、黒板を使いながら説明します。その後、在院生はそれぞれに用意された花を使って、思い思いに自由に生けていきます。
作業が始まると、あちこちから「先生!先生!」と声が上がり、たくさんの手が挙がります。私は、一人ひとりの声に丁寧に耳を傾け、「何が分からないのか」、「どんなふうに生けたいのか」をじっくりと聞き取ります。そして、そのやり取りの中で、その子なりの思いや悩みに寄り添いながら、個別にアドバイスをしています。
指導の際にいつも心掛けているのは、どの在院生にも分け隔てなく、平等に、そして誠実に丁寧に向き合うこと。生け花を通じた、そうしたやりとりの積み重ねが、信頼を育む時間となっていればと思っています。
3 篤志面接委員の活動のやりがいを教えてください。
生け花に初めて触れる在院生の中には、生け花に興味がなかったり、初めての体験に戸惑っている姿が見られたりすることも少なくありません。しかし、回を重ねるごとに、以前のアドバイスを思い出しながら工夫して生けるようになり、作品にはその子らしい個性が表れます。私はその努力をたくさん褒めるようにしています。そのときの子供たちの表情は、自信に満ちて見えます。そうした表情を見るたびに、この活動の意義を実感します。
授業の最後には、花の名前やスケッチ、感想をノートにまとめ、発表してもらいます。「楽しかった」、「お花の時間が楽しみ」、「お花に癒やされます」、「今日は今までで一番上手に生けられました」といった言葉を聞くたびに、私自身も大きな喜びを感じています。

4 生け花教室を通して、在院生に望むことを教えてください。
生け花を通して、在院生には四季の移ろいを感じてもらい、「美しいものを美しいと素直に思える心」を育んでほしいと願っています。そして何より、社会に戻ったとき、思い通りにならないことや、何かに行き詰まりを感じて怒りが込み上げてきたときに、お花に目を向けて心を落ち着けられる人になってくれたらと思うのです。
また、限られた時間の中で時には枝を1本1本、お花を1つ1つ切り離し生けるなど手間をかけ諦めずに作品を完成させたという経験が、子供達の自信につながることを願うとともに、小さな成功体験の積み重ねが、これからの人生の支えになることを信じています。
再犯防止を支える民間協力者の方々
千葉刑務所読書クラブ
千葉刑務所読書クラブ 白井操
1 刑務所において活動するまでの経緯について教えてください。
教員をしていた時、平成10年の学習指導要領で「共に生きる力を育てる」という目標が掲げられたことがありました。良い目標ですが、「さて自分は、外国の人・障害のある人・犯罪にかかわった人と隣人として共に生きることができるだろうか。」という思いの中、千葉刑務所の教育活動に協力していた友人から、「先生」ではなく普通のおばさんとして参加しないかという誘いがありました。それなら私にもできそうだと参加したのが千葉刑務所との関わりのスタートです。そして何回かその活動に参加しているうちに、「読書クラブ」をやらないかという話がきました。本を読むのは好きですし、参加している受刑者の方々が本を選び、全員で感想を話し合うという形式なら私にもできそうだと思い引き受けることにしました。
2 活動の内容について、教えてください。
参加している受刑者の方々には、事前に課題本を読んで感想文を書いてもらいます。月1回、1時間の活動日に感想文を持ち寄り、課題本を選んだ人から一人3~5分程度で感想を発表してもらいます。その後、時間があればフリートークをします。最後に課題本の選者が話し合いの感想を述べ、次回の予定を確認して終了するという流れです。この読書会の後、参加した受刑者の方々が書いた感想文に、一言コメントを書いて返します。年度初め・年度末には、受刑者の方々がその時に読んでいる本の紹介や今年度読んだ本の中のベスト3の発表もしています。受刑者の方々が読む本をどう準備するかが難問ですが、今は千葉刑務所の職員の方々に協力いただき、できる限り受刑者の方々の希望に沿う形で対応してもらっています。
3 活動のやりがいを教えてください。
本を読むことは一人で、それほどお金をかけずにできる楽しみです。長く厳しい刑務所生活を過ごす中で、出所した後の生活を支えるものとして読書の楽しみがあったらいいなと思って活動していますが、参加している受刑者の方々がそれぞれ選ぶ本が多様であること、課題の本をとても丁寧に読み込んでいること、それぞれ多様な人生経験を踏まえた感想が語られること、それがのびのびと語られることから、私自身が得ることが多く楽しんで活動しています。
4 印象に残っている体験談を教えてください。
童話屋の「日本国憲法」を課題本として選定し、その感想を共有したことがありました。その際、受刑者の方々の意見の隔たりが大きく、なかなか話し合いは深まりませんでしたが、「前文」の命の大切さについて書かれているところに触れて「そういう大事な命を自分は殺めてしまった」と言った方がおり、そのことだけが原因ではないかもしれませんが、それからじきにその方はクラブを退会されました。その方の心の傷に不用心に触れてしまったのかもしれないと思う出来事でした。本人が望んでの退会は仕方のないことですが、様々な事情から退会を余儀なくされ、急に会えなくなるということもこの10年間、度々ありました。その都度、この集まりが一期一会のものであることを思い知らされ、この読書クラブでの、受刑者の方々との出会い、時間を大切にするようにしています。

再犯防止を支える民間協力者の方々
菊陽町更生保護女性会
菊陽町更生保護女性会 村上緑
1 更生保護女性会員として活動するまでについて教えてください。
私はスポーツが大好きで、スポーツ団体に籍をおき、子どもたちや高齢者等の健康運動指導士として多くの人とコミュニケーションを取る活動を行っておりました。
また、私の姉が、長年にわたり地区の更生保護女性会の会長として活動しており、私もよく手伝いをしていました。姉や会員の皆様が楽しく生き生きと活動している姿に感銘を受け、気付いたら私も入会していました。更生保護女性会での活動は、他にはない、目新しい新鮮な取組であるように思います。更生保護施設の慰問に行ったり、保護司さんたちと啓発活動に参加したり、刑務所の見学研修に行ったりと、経験したことのない心に残る活動を経験しています。
2 更生保護女性会の活動内容について、教えてください。
会では、研究・研修(薬物乱用、男女共同参画、人権推進等)を行い、青少年健全育成を主軸に多くの団体と連携して活動をしており、社会福祉活動の一環として、共同募金運営にも関わっています。また、親子ふれあい交流活動として、農家の畑で収穫した作物で料理に挑戦する「親子収穫体験と食育」を行い、作物の大切さや、自然の恵みに感謝し、普段とは違った親子のふれあいの時間となっています。他にも、親子ふれあい交流活動として行っている「七夕とそうめん流し」「親子で餅つき大会」「親子で学ぶ社会見学」等では、親子で協力して笑顔で活動に取り組む姿が見られます。
3 更生保護女性会の活動のやりがいを教えてください。
菊陽町更生保護女性会は昨年60周年を迎え、新たなスタートを切りました。長く続けられることに喜びを感じています。活動の苦労もありますが、成果や結果が出た時などは苦労も吹き飛び身も心も爽快になります。活動を通じて多くの方々と出会うことができますし、10年来の親友もできました。素晴らしい出会いに感謝しています。毎年「愛の手だより」という広報誌を発行し、町民に回覧しています。活動を少しでも理解してもらい、更生保護の心が広がっていることにも喜びを感じています。
積極的な活動が評価され、平成28年に内閣総理大臣による安全安心なまちづくり関係功労者表彰をいただき、令和7年には法務大臣感謝状をいただくことができました。会員一同、心より感謝しております。
4 力を入れて取り組んでいる活動について教えてください。
子どもたちが成長していく上で大切なことである「早寝・早起き・朝ごはん」を家庭の目標として推奨しているほか、小さい時から多くの地域の方との出会いを大切にして絆を深め、コミュニケーションの取れる人に成長していくことが非行防止に繋がると信じ、親子ふれあい交流活動に取り組んでいます。また、社会を明るくする運動に町ぐるみで取り組み、多くの団体に呼びかけ、町民一人ひとりの立場で犯罪や非行防止と罪を犯した人たちの更生に理解を深めてもらい、安全で安心な地域社会につなげることを目指しています。

再犯防止を支える民間協力者の方々
茨城県BBS連盟
茨城県BBS連盟 理事 植竹智央
1 BBSとして活動するまでについて教えてください。
高校2年生から地元でボランティア活動をしていた私は、高校卒業のタイミングで市の社会福祉協議会に進路の報告をしに行きました。その際に、ボランティアコーディネーターの方から「来年度石岡でBBSというボランティア団体が発足するんだけど、手伝ってくれない?」という話を聞き、そこから参加していきました。
元々学生時代にいじめられていた経験がある私は、加害者側の心理や考えを理解したいと思って、BBSでの活動に参加しました。
2 BBSの活動内容について、教えてください。
BBSは、地域ごとに活動内容に幅があります。BBSに入会した初期の頃は、非行少年の更生保護活動として、「少し年上のお兄さんお姉さんの立場で支援する」というともだち活動が主流でした。しかし、私が所属していた平成24年から現在にかけては少年の数も減少し、子ども食堂や地域の居場所での学習支援が増加しています。
茨城県BBS連盟でもコロナ禍までは、年に数回保護観察中の子を誘い、キャンプやスポーツ交流会を実施していました。コロナ禍以降は、私が新しく立ち上げたボランティア組織の活動の「オンラインでの不登校支援活動」をBBSの学生に協力してもらい、コロナ禍でボランティアができなくなった会員の活動場所として提供しました。
3 BBSの活動のやりがいを教えてください。
BBS活動のやりがいは二点あります。
一つ目は、少年の非行の背景に家庭環境や個人の特性が複雑に絡んでいることを理解できて、支援を通じて少年たちの葛藤や思考の深層に触れられたことです。自分自身も学生時代に同級生からのいじめを経験したのですが、いじめをしてきた同級生にも、彼らが抱える想いや家庭事情があったのではないかと、彼らの行動を理解することができました。
二つ目は、全国の同世代のBBS会員や更生保護関係者と交流する中で、自分の見識が広がり、支援活動へのモチベーションが高まったことです。また、内閣府の日本中国親善交流事業に代表青年として派遣させていただき、中国の青年と意見交換した経験を通して、価値観の違いなどを把握することができました。
4 茨城県BBS連盟にて力を入れて取り組んでいる活動について教えてください。
茨城県BBS連盟では、令和2年以降、ICTやオンラインの活用と、更生保護女性会・保護司会との連携強化に力を入れています。ICTやオンラインの活用の面では、他地区のBBS会員や関係団体とのオンライン情報交換会を開催しました。他団体がオンラインで行っている1対1での不登校支援の活動もサポートしています。
更生保護女性会・保護司会との連携の面では、LINEやiPad講座を年3回実施し、BBS会員と更生保護女性会・保護司が直接交流する機会を創出しています。また、両団体のホームページ制作支援も行い、時代に沿ったデジタル化と地域連携の仕組みを推進しています。

再犯防止を支える民間協力者の方々 協力雇用主
株式会社アイ・ドゥー 後藤さとみ
1 協力雇用主になったきっかけについて教えてください。
平成24年から現在に至るまで、1,100名ほど刑務所出所者等を雇い入れており、そのうち約5%にあたる55名は長期的に継続して雇用しています。また、在籍中の再犯等は10名程(1%)の状況です。
協力雇用主となったきっかけは、人材派遣業において、登録者の中に更生保護施設在所者の方がいたのが最初のきっかけでした。刑務所出所者と接することが初めての経験のため、分からないことばかりで、最初は戸惑いや不安もありました。そこで、まずは、その方の状況や更生の実状をお聞きしようと更生保護施設に伺うことにしました。
その際、再犯を防ぐ取組をお聞きし、「もしかしたら、人材派遣業だからこそ、お役に立てることがあるのでは」と思い始め、徐々に気持ちも前向きになりました。さらに、更生保護施設職員の方から「今後もお世話になれますか」と尋ねられ、協力雇用主の一員として歩む決心をしました。
2 協力雇用主の活動内容について、教えてください。
就労支援事業者機構、家庭裁判所等を通じて保護観察対象者と面談をしたり、直接刑務所や少年院へ出向いて面談をしたりして、雇用に繋げています。
現在だけでなく将来も見据えた住居や仕事の準備、そして即対応できる体制を整え、継続的な生活支援も行っています。特に、就労後も毎日フォローを続けることが重要と考え、活動を行っています。生活困窮者に対しては、食料品の提供や生活費の前払いなどの対応も行い、最終的には「安定した生活」を目指しています。
3 協力雇用主の活動のやりがいを教えてください。
協力雇用主として活動するようになり、アパートの契約、仕事探しから職場定着に至るまで、様々な経験は負担というよりは勉強でした。雇用した方の生い立ちや人生の価値観、生活環境などをしっかり受け止め、今まで気づいていなかったことにも目を向けられるようになりました。その結果、仕事を続けていくためのフォローを手厚くできるようになったと感じています。
一人一人が自立した生活を築けるようになることは私たちの原動力であり、喜びです。毎日、面談を重ねながら、個々の成長を感じることができる時、また、社会の一員として働き、生活できる姿を見ることができるのは、本当に嬉しいことです。
4 非行や犯罪をした人を雇用する上で工夫していること・大切にしていることを教えてください。
雇用した方の罪名などは社員には公表していませんが、人柄や性格、希望などは共有し、情報を把握しながら進めています。人と人なので、合う、合わないは必ずあります。指導等を担当する社員が本人と合うかどうかも見極めながら対応しています。
日常では、何かあったらすぐ会社に来てもらい面談します。何度も面談を行うこともあります。顔や表情を見て、心理状況や意識の変化なども感じながら、長く仕事を続けられるように、再マッチングも含めて業務にあたっています。
一番大切なことは、一人一人の支援を、決して投げ出さないことです。本人の意思がある限り、自立できるまではずっと寄り添っていきます。そのような心の支えとなる存在が必要であると痛感しています。継続的に収入を得て、生活に切れ目が生じないように、シームレスなサポートを心掛けています。
再犯防止を支える民間協力者の方々 更生保護協会
更生保護法人静岡県更生保護協会 理事長 土屋雄二郎
1 静岡県更生保護協会の成り立ちや現在の組織の概要について教えてください。
当協会は、昭和27年に静岡県内における犯罪予防と更生保護事業の充実発展を図るため、「更生保護会」として発足し、その後、「財団法人」の設立許可を受け、平成8年には「更生保護法人」の組織変更認可を受けて活動しています。役員等は、静岡県下の経済界・法曹界や更生保護団体等による理事17名、監事3名及び評議員26名のほか、運営助成会員として、特別賛助会員1,065名、賛助会員1,742名、普通会員2,404名の合計5,211名により構成されています(令和6年度)。
2 活動の内容について、教えてください。
更生保護事業法に基づき事業を実施しており、更生保護の領域における助成団体としての役割を果たすため、具体的には、地域連携・助成事業として、地区保護司会、更生保護女性連盟、BBS連盟、就労支援事業者機構及び更生保護施設が充実した更生保護活動を実施できるように適切な助成を行っているほか、「社会を明るくする運動」の推進委員会への参画や「非行防止住民啓発活動」の一環として地区保護司会30か所において、地域住民・学生・生徒を対象に更生保護に関するビデオフォーラムやミニ集会・ケーススタディ方式によるグループ討議等を学校、コミュニティーセンター、大型小売店舗等を会場として行い、地域住民の非行防止に関する啓発活動を実施しています。
3 最近力を入れている取組について教えてください。
更生保護の広報や寄附活動に資することを主な目的として、令和5年度に「更生保護協会のホームページ」を開設しました。広報誌「静岡県更生保護」のバックナンバー検索ができるようになるとともに、役員の交代、事業内容等も毎年度更新しており、関連リンクにおいて、関係機関のホームページも検索可能になりました。
また、令和6年度から、「静岡犯罪被害者支援センター」の設立目的である「社会全体の被害者支援意識の高揚を図り、地域安全や人権の擁護に寄与する」という趣旨に理事会及び評議員会において賛同し、同センターの賛助会員に登録して、犯罪被害者やその遺族に対する支援を実施しています。
4 今後の展望について教えてください。
当協会の活動資金や地区保護司会の適切な運営を維持するため、現在、「運営助成会員制度」により資金の多くを確保している状況です。今後、活動資金の拡大策を検討・実行したり、静岡県内を拠点とするプロのサッカー・バスケット・野球チームに更なる協力の働き掛けを行うほか、更生保護関係団体の連携・活動拠点となるいわゆる「更生保護センター」構想を検討して、更生保護関係団体がより効率的にその機能と役割を発揮できるよう相互協力を活性化したりするなど、多くの課題克服のための方策を考えています。

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※静岡県更生保護協会ウェブサイト
https://kouseihogo-net.com/
知りたい、学びたいと願う全ての人に
まなびのつながりを育む
丸善雄松堂株式会社
「まなびの力で社会を明るく」これが私たちのポリシーです。
更生保護には、二つの大切な側面があると考えています。一つは、罪を犯してしまった人たちの立ち直りを支援すること。もう一つは、「まなび」の力によって、そもそも犯罪を起こさない社会をつくることです。私たちはこの両面に対して、長きにわたり「まなび」と向き合ってきた企業として、教育という観点から貢献したいと考えています。
つまり、誰もが平等にまなびの機会を得られる社会の実現こそが、犯罪を未然に防ぐ大きな力になると信じています。
こういった想いの下、保護局との連携協力協定(令和6年9月18日締結)に基づき、再犯防止に寄与すべく以下の取組を実施しています。
【丸善雄松堂株式会社及び株式会社丸善ジュンク堂書店の取組】
○“社会を明るくする運動”への広報協力
全国の書店、大学内の物販店舗、賛同いただいた図書館において、“社会を明るくする運動”強調月間の7月にポスターを掲示するとともに、スタッフが幸福の黄色い羽根を着用し、お客様をお迎えします。店や図書館には知的好奇心旺盛なお客様が多く来店されるため、「黄色い羽根」に関心をお持ちになってお声がけいただくことがございます。趣旨をご説明すると、多くのお客様が好意的に受け止めてくださり、この取組に対して温かいご支援や励ましの言葉をいただいております。こうした活動を通じて、多様な層への広報・啓発に貢献させていただいております。
なお、令和6年度は法務大臣より感謝状を賜りました。令和7年度も継続し、全国226ヶ所にて“社会を明るくする運動”への広報協力を実施いたします。

○“社会を明るくする運動”関連シンポジウムの開催
弊社の持つネットワークを活用し、「産官学連携」シンポジウムを開催します。
令和7年度は、全国各地(山梨県甲府市、福島県楢葉町、静岡県(台風のため中止)、北海道帯広市、香川県善通寺市、東京都千代田区)で開催いたしました。
再犯防止においては、「立ち直りを支える地域のチカラ」が極めて重要であると考えており、地域に根差した活動の推進を目指しています。保護司、更生保護女性会、BBS会等更生保護の関係団体を始め、弊社の持つ大学ネットワークや企業及び自治体の皆様と連携し、多様な主体が関り合い、支え合う「地域のチカラ」を広げていきます。各地では、農福連携や、文化振興、アートの力等それぞれの地域の特色を活かした、安全で安心な地域社会の実現を目指す取組を紹介してまいります。



【今後の展望 社会的包摂拠点の実現に向けて】
前述のとおり、再犯防止には「地域のチカラ」が重要で、誰もが正しい知識と意識を持った包摂的な社会を目指していきたいと私たちは考えます。誰もが平等にまなびの機会を得られる場、誰をも受け入れる共生社会の実現、孤独や孤立を防ぐ居場所、思いやりや助け合いの心を育み、みんなが幸せな社会を築く道標となる居場所づくりを、弊社の持つ公共施設の運営の実績を基に目指していきます。
今、私たちの活動を通し、想いを持ったたくさんの人たちがつながり始めています。
弊社だからこそ持ち得るネットワークで、教育、医療、福祉、宗教、いろいろな境界線を越えてつながりを育んでおり、個々の力が一つになった時、再犯防止に貢献する社会的包摂拠点は、まさに実現の時を迎えつつあると感じています。
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※15 警察庁ウェブサイト「少年非行防止対策」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/syonen/index.html
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※16 更生保護ボランティアの活動を紹介するSNS
法務省エックス(旧ツイッター)
https://x.com/MOJ_HOUMU
法務省保護局エックス(旧ツイッター)
https://x.com/MOJ_HOGO
法務省保護局インスタグラム
https://www.instagram.com/moj_kouseihogo/
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※17 令和6年安全安心なまちづくり関係功労者表彰の受賞者及び功績概要
https://www.moj.go.jp/content/001426023.pdf