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第1節 再犯防止に向けた基盤の整備等

4 広報・啓発活動の推進

(1)啓発事業等の実施【施策番号95】

 法務省は、国民の間に広く再犯の防止等についての関心と理解を深めるため、再犯防止啓発月間である7月を中心に、広報・啓発活動を積極的に展開している。令和6年度は、SNSを活用した広報啓発を実施し、令和6年7月、動画「蝶野正洋が高知東生に聞く!「薬物依存の再犯防止」」をYouTube法務省チャンネルで配信した。同動画は、プロレスラーの蝶野正洋氏が、社会復帰を果たした俳優の高知東生氏へのインタビューを行い、犯罪や非行からの立ち直りには、その背景にある問題へのアプローチが重要であることや周囲の人の理解が大切であることについて知ることができる内容となっている。

 また、全国8ブロックにおいて再犯防止シンポジウムを開催している。令和6年度は、「地域における“息の長い”支援の実現」をテーマとして開催し、合計で約1,700人の参加を得た。

 さらに、「“社会を明るくする運動”~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~」を主唱している。これは、全ての国民が、犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動である。平成26年12月に犯罪対策閣僚会議において決定した「宣言:犯罪に戻らない・戻さない」において、全ての省庁を本運動の中央推進委員会の構成員にするとともに、平成27年からは、毎年、国民の理解を求める内閣総理大臣メッセージを発出するなど、本運動は政府全体の取組として重要性の高いものとなっている。再犯防止啓発月間である7月は、本運動の強調月間でもあり、全国各地において、運動の推進に当たっての内閣総理大臣メッセージ、ポスター、動画等の広報啓発資材を活用し、地方公共団体や関係機関・団体と連携して、国民に対して広く広報啓発を行っている。

 令和6年に実施した第74回“社会を明るくする運動”では、「想う、ときには足をとめ。」をテーマ(写真7-95-1参照)に、全国で4万3,187回(令和5年:4万5,926回)の行事が実施され、延べ146万7,029人(令和5年:139万8,782人)が参加した。同運動では、デジタルサイネージや、SNS、イエローライトアップ等の多様な手段を用いた広報等が行われた(写真7-95-2参照)。また、若年層を始めとする幅広い年齢層の方々にとって身近で親しみの持てるような広報を展開するため、更生保護マスコットキャラクターである「ホゴちゃん」の活用、吉本興業株式会社と連携した広報・啓発活動が行われた。

 法務省の人権擁護機関では、刑を終えて出所した人の社会復帰に資するよう、「刑を終えて出所した人やその家族に対する偏見や差別をなくそう」を人権啓発活動の強調事項の一つとして掲げ、啓発冊子の配布等、各種人権啓発活動を実施するとともに、全国の法務局や特設の人権相談所において人権相談に応じている。人権相談等を通じて、刑を終えた人に対する差別等の人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は、人権侵犯事件として調査を行い、事案に応じた適切な措置を講じている。令和6年における刑を終えた人に対する差別待遇に関する人権侵犯事件の件数は7件であった(令和5年:2件)。

 検察庁においては、学生や一般の方々を対象に実施する広報活動等において、検察庁における再犯防止・社会復帰支援に関する取組を説明するなど、再犯防止に関する広報・啓発活動を推進している。

写真7-95-1 第74回“社会を明るくする運動”ポスター
写真7-95-2 イエローライトアップ

(2)法教育の充実【施策番号96】

 法務省は、学習指導要領を踏まえた学校教育における法教育※6の実践の在り方及び教育関係者と法曹関係者による連携・協働の在り方等、法教育に関する取組について多角的な視点から検討するため、法教育推進協議会及び部会を開催(令和6年度:6回)している。

 令和4年4月に成年年齢が18歳に引き下げられたことを踏まえ、契約や私法の基本的な考え方を学ぶことができる高校生向けのリーフレット※7及びリーフレットの内容に関する専門家の解説動画等を、引き続き、法務省ウェブサイトで公開しているほか、令和6年度は、全国各地の学校等で出前授業をしているお笑い芸人「オシエルズ」が制作・出演した法教育紹介動画である「オシエルズが教える法教育動画」※8(計6本)をYouTube法務省チャンネルで配信した。

 また、これまでに、発達段階に応じた法教育教材を作成し、全国の小中学校、高等学校、教育委員会等に配布したほか、令和4年度には、刑事裁判手続を模擬的に体験できる視聴覚教材である「もぎさい」法教育教材を作成し、教員用の説明資料、授業用ワークシート等の補助資料とともに法務省ウェブサイトで公開した※9

 これらの教材の利用促進を図るため、同教材等を活用したモデル授業例を法務省ウェブサイトで公開しているほか、法教育の具体的な実践方法を習得してもらうため、法教育セミナーを実施している。

 さらに、学校現場等に法教育情報を提供することによって、法教育の積極的な実践を後押しするため、法教育に関するリーフレット※10を作成し、全国の小中学校、高等学校、教育委員会等に配布しているほか、学校や各種団体からの要請に応じて、法務省の職員を講師として派遣し、教員、児童・生徒や、一般の人々に対して法的なものの考え方等について説明する法教育授業を実施している。

 矯正施設においても地域の学校等で法教育を行っているところ、特に、少年鑑別所(法務少年支援センター)では、地域援助として、教員研修において少年院・少年鑑別所に関する内容を始めとする少年保護手続等について講義を行うほか、施設参観の機会等を利用して少年鑑別所の業務等について説明を行うなどの法教育を行っている。主な内容としては、「少年保護手続の仕組み」、「特定の非行・犯罪の防止(薬物・窃盗・暴力等)」、「生活態度・友達づきあい」、「児童・生徒の行動理解及び指導方法」等である。令和6年度には、矯正施設全体として約2,400回、延べ約14万2,000人に対して法教育を実施した(令和5年度:約2,300回、延べ約11万3,000人)。

 また、保護観察所においては、学校との連携を進める中で、又は、広報の一環として、保護観察官や保護司が学校等に赴いて、更生保護制度等に関する説明を行うなどの法教育を実施しており、令和6年度には、約405回、延べ約2万7,600人に対して実施した(令和5年度:約350回、延べ約2万3,700人)。

 検察庁においては、学生や一般の方々に対し、刑事司法制度等に関する講義や説明等を実施するなどし、法教育を推進している。

更生保護における
EBPMに基づく施策の推進

法務省保護局観察課効果検証室

 政府全体において、近年、合理的根拠に基づく政策の企画を行い、政策の効果の検証を行うことによって、政策の有効性を高め、国民の行政への信頼を確保する取組(EBPM:エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング、証拠に基づく政策立案)が進められています。

 これまでも、更生保護では、例えば、「性犯罪者処遇プログラム」の効果検証を行い、令和2年3月にその結果について公表しています。また、令和元年9月から令和2年8月にかけて、外部有識者を構成員として、刑事施設及び保護観察所における、より効果的な性犯罪者処遇プログラムの実施に向けた検討会を行いました。その結果を踏まえ、受講者の動機付けや強み等により着目した内容に改訂し、令和4年4月から「性犯罪再犯防止プログラム」として実施しています。

 また、効果的な社会内処遇に関する理論と実証研究に基づいて、保護観察における新たなアセスメントツールであるCFP(Case Formulation in Probation/Parole)(【施策番号50】参照)を開発し、二度の試行の上で、令和3年1月から本格実施しました。さらに、専門家の協力を得て、ツールの予測妥当性と信頼性の検証を行い、その結果を踏まえて、令和7年6月から動的リスク評価を導入するなどしてツールを拡充しました。

 このように、更生保護においては、施策の効果検証や調査研究の成果等を踏まえ、内容の見直し等を行ってきました。

 令和5年3月に閣議決定された第二次再犯防止推進計画では、基本方針の一つとして「再犯の防止等に関する施策は、犯罪及び非行の実態、効果検証及び調査研究の成果等を踏まえ、必要に応じて再犯の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者から意見聴取するなどして見直しを行い、社会情勢等に応じた効果的なものとすること」とされています。

 これらを踏まえ、更生保護行政における理論的・実証的基盤を更に強化するとともに、より効果的な施策の企画・立案等を行うため、法務省においては、令和7年4月から、保護局観察課に効果検証室を新設しました。

 効果検証室においては、①犯罪をした者等に対する社会内処遇の効果の検証、②犯罪をした者等に対する社会内処遇又は施策の実施状況等の調査・分析、③先行研究等の調査研究、④効果検証の結果や調査結果等を踏まえた施策の企画・立案等を行っています。

 これまで更生保護では、様々な施策を実施し、一定の成果を挙げてきましたが、今般新設された効果検証室の業務を通じて、更生保護における施策に関する効果検証や調査研究等を一層充実強化し、施策の不断の見直しを行い、犯罪をした者等の再犯防止や改善更生のために、エビデンスに基づく構造化されたアセスメントを行い、これを踏まえた専門的な判断に基づく効果的な指導・支援・調整を行っていくこととしています。また、調査研究等によって得られた知見を保護司を始めとする民間協力者や地域の関係機関・団体等に対して積極的に還元し、“息の長い”支援を実施することで、新たな犯罪や犯罪被害を生まない安全・安心な社会、そして「誰一人取り残さない」共生社会の実現を目指してまいります。

4月17日は「国際更生保護ボランティアの日」

法務省保護局更生保護振興課研修企画係

1 はじめに

 令和6年4月に開催された第2回世界保護司会議において、保護司を始めとする更生保護ボランティアの取組を促進し、その国際的な認知度を向上させることを目指して、4月17日を「国際更生保護ボランティアの日」とする宣言が承認されました。

 翌年4月17日には、その1周年の記念日を迎えるに当たり、多くの企業・団体の御協力を得て、様々な広報イベントを行いました。以下、いくつかのイベント例を紹介します。

2 東京スカイツリー®イエローライティング等について

 東武タワースカイツリー株式会社の御協力の下、4月17日に、東京スカイツリーに更生保護のシンボルカラーであるイエローの点灯がされる特別ライティングが実施されました。

 また、東京スカイツリーに来場される方々に更生保護の取組を知っていただくため、東京スカイツリー公式キャラクター「ソラカラちゃん®」、更生保護マスコットキャラクター「ホゴちゃん」、地元墨田区のおしなり商店街のイメージキャラクター「おしなりくん」、同じく地元墨田区の本所吾妻橋商店会のイメージキャラクター「あづちゃん」による特別グリーティングを開催しました。

 スカイツリーを訪れる人には外国人も多く、まさに更生保護ボランティアについて国際発信する貴重な機会になりました。

 グリーティング会場で配布したステッカーのイラストは、東京スカイツリーを背景に、第75回“社会を明るくする運動” ポスターの図柄と、ホゴちゃん・サラちゃんが描かれた親しみやすいデザインとなっており、更生保護になじみがない方々にも大好評でした。

3 東京都等の御協力について

 東京都や新宿区の御協力の下、都庁都民広場において式典が開催されたほか、新宿中央公園前で警視庁音楽隊やカラーガードを交えたパレードが開催され、約450名の更生保護関係者の方々が更生保護のシンボルカラーである黄色のスカーフを振って行進しました。

 また、夜には東京都庁第一本庁舎等のイエローライトアップも実施されました。

4 丸善雄松堂株式会社及び株式会社丸善ジュンク堂書店の御協力について

 4月1日から同月30日まで、丸善丸の内本店、丸善日本橋店、丸善ジュンク堂書店池袋本店の3店舗で、「犯罪からの立ち直りに寄り添う-更生保護とは-」と題して更生保護に関する企画コーナーを設けていただき、更生保護に関する書籍を紹介文とともに並べていただきました。店舗には「国際更生保護ボランティアの日」ポスターも掲示いただき、書店を訪れた人に、更生保護について知っていただくことができました。

5 墨田区役所のアトリウムにおける企画展示

 墨田区役所1階のアトリウムにおいて、4月14日から同月18日までの1週間、更生保護に関する企画展示を行いました。

 同期間中、パンフレットやポスターを熱心に御覧になっている人もおり、更生保護を身近に感じていただくことができたと思います。

6 “ 国際更生保護ボランティアの日” 1周年を記念するウェビナー

 オンライン・イベントとして、日本とタイ、シンガポール、マレーシア及びインドネシアを結び、各国の更生保護ボランティアの取組についての情報共有などを行うウェビナーを開催しました。

7 おわりに

 法務省では、今後も「国際更生保護ボランティアの日」の広報を通じて、国内外に更生保護ボランティアの活動の意義を一層発信していくこととしています。

グリーティングの様子
パレードの様子
ステッカー

社会復帰を果たした者等の犯罪や非行からの離脱プロセス

法務省大臣官房秘書課

 法務省大臣官房秘書課では、令和5年版再犯防止推進白書の特集において、犯罪や非行から離脱した4名の当事者の語りを、令和6年版の同白書の特集においては、犯罪や非行から離脱した3名の当事者及びその立ち直りを支えた支援者の語りを聴取し、そこから見えてくる犯罪や非行からの離脱要因の分析を試みました。本白書では、当事者の立ち直りに向けた支援を促進していくに当たり、引き続き更なる事例の集積を行うため、コラムとして、非行から立ち直った当事者と立ち直りを支えた支援者の語りを掲載することとしました。

事例

20代女性

1 私にとって非行とは

 私は、中学生の頃から万引きをしていました。最初の頃は、お金が欲しくなったら、万引きしてお金に換えればいいやという安易な気持ちで万引きをしていました。

 親と折り合いが悪かった私は、高校卒業後、実家を出て、交際相手と同棲生活をしました。交際相手は、至って常識的な人で、私たち二人のために真面目に働いていてくれましたが、私は、働いてお金を稼がなければいけないと分かっていながらも、楽に稼ぎたいという気持ちから万引きを続け、次第に盗む物の金額も大きくなっていきました。

2 処分を受けて

 そのような生活はいつまでもうまくいくわけがありません。私も例外ではなく、19歳のときに、窃盗で警察に逮捕されてしまいました。逮捕されたときは正直、「やばいな。」と感じました。翌年には成人式もありましたし、少年院に入りたくないという気持ちが強かったです。一方で、いつかは万引きを止めなければいけないという危機感もありましたので、逆に逮捕されて良かったという気持ちもありました。逮捕された段階で、「もう捕まりたくない。」という気持ちは明確でしたが、まだ先のことは考えられませんでした。

3 離脱の過程における転換点

 留置場を経て、少年鑑別所に入ることとなりました。少年鑑別所では、職員の方にも気に掛けてもらい、きちんと話を聞いてもらうことができたので、落ち着いて生活できました。親は数回面会に来てくれて、その頃から少しずつ、親との関係性が雪解けに向かったと思います。

 そんな中で、弁護士の先生から紹介を受けて、再非行防止サポートセンター愛知の高坂さんに出会いました。複数回の面接を経て、社会に戻ったら、高坂さんの運営する自立準備ホームに帰住できることとなりました。

 家庭裁判所の審判では保護観察処分となり、少年鑑別所を出て、自立準備ホーム(【施策番号21】参照)に入居しました。その後、介護の仕事を見つけたものの、最初は働くことが嫌で長続きせず、その後も離職を繰り返しました。しかし、自立準備ホームのスタッフの皆さんが、厳しい指導ばかりではなく、励まし支えてくれたこと、保護司さんからも温かいサポートを受けられたこと、何より、後に夫となる当時の交際相手が変わらずに支え続けてくれたことから、徐々に仕事も長続きするようになりました。立ち直りの過程で親との関係が更に改善したことも、大きな支えになったと思います。

 入居から約半年後、生活も安定してきたので、自立準備ホームを円満に退所し、再び交際相手と同棲生活を送り始めました。今は、介護の仕事を離れて、施工管理の仕事を数年経験した後、営業の仕事に就いています。自立準備ホームの退所から5年後に結婚し、夫とともに穏やかな日々を過ごしています。

4 立ち直って思うこと

 自分はかつて、非行をし、逮捕されました。逮捕されるまでは、このままではいけないという危機感はあったと思いますが、窃盗をやめることはできませんでした。非行をしてしまう前に、支援してくれる人や、相談に乗ってくれる人がいたなら、非行してしまうのを回避できたのではないかと思うこともあります。逮捕された後に、少年鑑別所や自立準備ホームでの生活の中で、支えてくれた人たちに恵まれ、本当に感謝していますが、一方で、もし、支えてくれる人と、相性が合わなかったら、再非行をしていた可能性も十分にあると思っています。もう犯罪をしたくないという思いは強いですが、今でもメンタルが崩れそうになるときもあります。そんな時にただ助けを待っているだけではなく、自分から手を伸ばして、支えてくれる人たちに助けを求めることも大事なのだと思います。今も高坂さんをはじめとした自立準備ホームのスタッフの方々に、よく相談に乗ってもらい、助けていただきながら、社会生活を送っています。

 どんな人でも立ち直れるきっかけに出会える日が絶対に来ると思っています。どんなに非行や犯罪を繰り返していても、このままではだめだ、変わらなきゃ、と必ず気付ける時が来ると思います。今、犯罪や非行を繰り返してしまっている人にも、そんな時が絶対に来るから、その時まで、頑張ってほしいと思います。

立ち直りを支援する人の視点から

NPO法人再非行防止サポートセンター愛知理事長 高坂 朝人

 彼女が逮捕され、少年鑑別所に入っていた頃、担当の弁護士さんからの依頼があり、少年鑑別所に面会に行ったのが初めての出会いでした。最初の印象は、明るくて元気があり、自分の考えをしっかり話してくれる子だと思いました。何度か面接を重ね、当法人が運営する自立準備ホームで彼女を受け入れることとしました。その後、家庭裁判所の審判において、保護観察処分となったため、保護観察開始とともに、その日に自立準備ホームに入居しました。

 自立準備ホームに入居した後、最初こそ昼夜逆転のような生活をしていたこともあり、仕事の面接の予定を入れていたのに寝坊してしまうこともありましたが、彼女を自立準備ホームに受け入れた日の月末には、就職面接に行き、真剣に仕事を探し始めていました。

 その後も、ようやく見つけた仕事を2週間で辞めてしまったりするという紆余曲折もあったのですが、その都度彼女の相談に乗りながら、寄り添っていきました。私たちは彼女の支援をするに当たり、「犯罪でお金を稼がないこと」「できれば昼の仕事を続けること」を伝えつつ、「仕事を休んだりすることを厳しく責めないこと」「彼女の性格に合わせて励ましながら寄り添うこと」を心掛けて接していました。

 結果として、彼女は自分の力で新たな仕事を見つけ、家族や交際相手の支えも得ながら、約半年で自立準備ホームを退去し、自立することができました。今でも、時折彼女から連絡があり、無事に社会人生活を送っている旨の報告をいただいています。

 私は、犯罪や非行から立ち直ろうとする当事者の方を支援するに当たって、支援者と当事者の関係構築が重要だと思っています。制度や組織として事務的に関わるのではなく、一緒に食事をとるなど、共に時間を過ごすことで、人と人との信頼関係を構築することが支援者に求められていると考えます。

 なお、これまで数多くの方を支援してきましたが、様々な経験を通して考えることとして、矯正施設の職員と、社会内にいる支援者の連携が更に進めば良いと思います。矯正施設の職員の方には、もっと塀の外に出ていただいて、社会内で行われている支援についての理解を一層深めていただきたいですし、保護観察官や地方自治体の職員等の社会内にいる支援者も、支援対象者が矯正施設を出所等する前から、もっと矯正施設に赴いて、必要な支援を行っていただきたいです。施設内と社会内の支援者相互の行き来がもっと増えれば、立ち直ろうとする人に対してより充実した支援を行うことができると思っています。

  1. ※6 法教育
    法律専門家ではない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎となっている価値を理解し、法的なものの考え方を身に付けるための教育であり、法教育の実践は自他の権利・自由の相互尊重のルールである法の意義やこれを守る重要性を理解させ、規範意識をかん養することを通じて再犯防止に寄与するものである。
  2. ※7 成年年齢引下げに向けた高校生向けリーフレット
    https://www.moj.go.jp/housei/shihouseido/houkyouiku_koukouseimukeleaflet.html 成年年齢引下げに向けた高校生向けリーフレットのqr
  3. ※8 オシエルズが教える法教育動画
    https://www.youtube.com/playlist?list=PLSmkcN62qni75HtnWQcZSgh64RuY_m6a_ オシエルズが教える法教育動画のqr
  4. ※9 「もぎさい」法教育教材
    https://www.moj.go.jp/housei/shihouseido/houkyouiku_mogisaiban.html 「もぎさい」法教育教材のqr
  5. ※10 法教育リーフレット
    https://www.moj.go.jp/housei/shihouhousei/index2.html 法教育リーフレットのqr