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第1節 就労の確保等

5 犯罪をした者等を雇用する企業等の社会的評価の向上等

(1)国による雇用等【施策番号14】

 法務省及び厚生労働省は、2013年度(平成25年度)から、保護処分を受けた保護観察対象者を非常勤職員として雇用する取組を行っており、2020年度(令和2年度)末までに、法務省73人(うち少年鑑別所64人)、厚生労働省1人の合計74人の少年を雇用した。雇用期間中は、少年の特性に配慮しつつ、就労を体験的に学ぶ機会を提供するとともに、必要に応じて少年からの相談に応じる等のサポートを行っている。

 法務省は、これらの取組実績を踏まえ、保護処分を受けた保護観察対象者を雇用する上での留意事項を整理するとともに、2020年3月、他の府省庁に参考指針※12として示し、雇用受入れの検討等について協力を求めている。なお、地方公共団体のうち、保護観察対象者を雇用する取組を実施している団体は、2020年12月末時点で、69団体である。

(2)協力雇用主の受注の機会の増大【施策番号15】

 法務省は、2015年度(平成27年度)から、法務省が発注する矯正施設の小規模な工事の調達について、協力雇用主としての刑務所出所者等の雇用実績を評価する総合評価落札方式による競争入札を実施している。また、少額の随意契約による調達を行う場合には、見積りを求める事業者の選定に当たって、当該契約案件に適した協力雇用主を含めるよう考慮している。その結果、保護観察所が発注した公共調達について、協力雇用主が受注した件数は2020年度(令和2年度)は36件であった。

 なお、2020年12月末現在、全国の都道府県及び市区町村のうち、162の地方公共団体(実施予定を含む。)では入札参加資格の審査に際して、63の地方公共団体では総合評価落札方式における評価に際して、それぞれ協力雇用主としての刑務所出所者等の雇用実績等を評価している(資2-15-1参照)。

 法務省は、これらの取組実績を踏まえ、協力雇用主の受注機会を増大させる上での留意事項を整理するとともに、2020年3月、他の府省庁に参考指針(【施策番号14】参照)として示し、受注機会の増大を図るための積極的な取組について協力を求めている。

資2-15-1 地方公共団体における協力雇用主支援等の取組について
資2-15-1 地方公共団体における協力雇用主支援等の取組について

(3)補助金の活用【施策番号16】

 法務省は、2019年度(令和元年度)、各府省における補助金事業を調査の上、協力雇用主であること等を評価に取り入れることなど、協力雇用主の活動に資する補助金の活用の在り方に関する検討・協議を行った。その結果、2020年度(令和2年度)には、総務省所管の補助金「地域経済循環創造事業交付金(ローカル10,000プロジェクト)」において、一定の要件を満たした協力雇用主の活動への支援内容を強化することとし、障害のある出所者等に対して住居を提供するとともに、日常生活能力の維持・向上のための訓練を行う再犯防止に関する事業を1件採択したほか、農林水産省における補助金「農の雇用事業」において、協力雇用主を含む農業法人等が刑務所出所者等を雇用して研修を実施する場合に支援単価を加算している。法務省は、これらの補助金が有効に活用されるよう、要件を満たすと考えられる協力雇用主に対してこれらの補助金に係る手続等を周知し、活用の検討を働き掛けるなどしている。

(4)協力雇用主に対する栄典【施策番号17】

 法務省は、内閣府の協力を得て、協力雇用主に対する栄典の授与について検討を行い、2018年(平成30年)秋の褒章以降、2020年(令和2年)までに、更生保護に寄与した功績により、5名の協力雇用主が藍綬褒章を受章している。

  1. ※12 参考指針URL(https://www.moj.go.jp/content/001318796.pdf参考指針URLのqr