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第1節 就労の確保等

6 就職後の職場定着に向けたフォローアップの充実

(1)就労した者の離職の防止【施策番号18】

 法務省は、少年院において、就労した者の離職を防止することを目的に、(公財)日本財団が実施している職親プロジェクト※13の参加企業の協力を得て、少年院在院者を対象に職場体験を積極的に実施する取組の試行を2017年度(平成29年度)から開始した。また、退院や仮退院をした者又はその保護者等から、就労に関することを含め、健全な社会生活を送る上での問題について相談を求められた場合において、相当と認めるときは少年院の職員が相談に応じることができる制度(少年院法第146条)を設けており、2020年(令和2年)には退院者等からの相談を675件受け付けた。

 少年鑑別所において、地域社会における非行及び犯罪に関する各般の問題について、少年、保護者等からの相談のほか、関係機関からの依頼に基づき情報提供、助言、心理検査等のアセスメント、その他の心理的援助等の各種の専門的支援を行うなど、地域社会のニーズに広く対応しており、2020年は、1万1,527件の相談等を受け付けた。その一環として、犯罪をした者等に対して、仕事や職場の人間関係の悩み等について相談に応じ、助言を行うなど支援を行っている。

 保護観察所において、保護観察対象者等に離職やトラブル等のおそれがあると認める場合、保護観察官が適時適切に当該保護観察対象者等に対する面接指導等を行い、就労した者の離職の防止に努めている。また、2012年(平成24年)1月から、東日本大震災による被災が特に甚大であった岩手県、宮城県及び福島県について、更生保護被災地域就労支援対策強化事業(【施策番号5ウ】参照)を実施しており、協力雇用主の開拓を推進する雇用基盤整備や、刑務所出所者等に対して就労を継続するために必要な住まい探し等の定住支援を併せて行っている。2020年度は、雇用基盤整備として協力雇用主の開拓を91件、定住支援を68件実施した。

 厚生労働省は、ハローワークにおいて、就職した支援対象者や雇用主に対して、必要な相談・助言等を行い、離職を防止するための支援を行っている。

(2)雇用した協力雇用主に対する継続的支援【施策番号19】

 法務省は、少年院において、少年院法第146条に基づき、少年院を出院した者を雇用した協力雇用主等からの相談を受け付けている(【施策番号18】参照)。

 コレワークにおいても、協力雇用主の相談に応じるなど継続的支援を行っている(【施策番号5イ】参照)。

 保護観察所において、協力雇用主が保護観察対象者等を雇用した場合は、その後のフォローアップとして、必要に応じ、保護観察官が当該協力雇用主のもとを訪問するなどし、保護観察対象者等の就業状況を把握するとともに、協力雇用主の相談等に応じている。また、更生保護被災地域就労支援対策強化事業(【施策番号5ウ】参照)においても、協力雇用主に対し、職場定着を実現するための支援を行っている。加えて、協力雇用主に対する具体的な支援の充実策を検討するため、2018年度(平成30年度)にアンケート調査(【施策番号4】参照)を実施したところ、刑務所出所者等を雇用したことがあると回答した協力雇用主のおよそ5割が、雇用した刑務所出所者等が無断欠勤、意欲の乏しさ、人間関係のトラブルといった就労上の問題を抱えていることに加え、雇用しても、雇用後半年以内に辞めてしまうと回答しており、就労を継続させていくためには、被雇用者及び協力雇用主双方に対する継続的な訪問・指導等のフォローアップが必要であることが明らかになった。そのため、2020年度(令和2年度)から、更生保護就労支援事業(【施策番号5ウ】参照)において、就労継続に必要な寄り添い型の支援を協力雇用主及び保護観察対象者等の双方に行う「職場定着支援」を新たに実施(「雇用基盤整備」は2019年度(令和元年度)で終了)し、2021年度(令和3年度)は更生保護就労支援事業を23庁の保護観察所に拡充した。

 ハローワークの取組は【施策番号18】を参照。

(3)離職した者の再就職支援【施策番号20】

 法務省は、保護観察所において、離職した保護観察対象者に対し、保護観察官が面接指導等により再就職を促すなどしており、特に、更生保護就労支援事業(【施策番号5ウ】参照)を実施している23庁においては、就職活動に対する支援が必要と認められる保護観察対象者等に対し、更生保護就労支援事業所がきめ細かな就職活動支援を行っている。また、地域によっては、協力雇用主らが、協力雇用主のネットワーク組織である協力雇用主会を組織し、情報交換等を行いながら、保護観察対象者等の雇用に取り組んでいることから、同会との連携を通じて、離職者も含めた無職の保護観察対象者等の就職支援を進めている。

 厚生労働省は、ハローワークにおいて、支援対象者が離職して再び就職に向けた支援を行う必要がある場合は、速やかに再就職ができるよう職業相談・職業紹介等を行っている。

  1. ※13 職親プロジェクト
    (公財)日本財団と企業が連携し、少年院出院者や刑務所出所者の更生・社会復帰を就労・教育・住居・仲間作りの面から包括的に支えることで、「誰でもやり直しができる社会」の実現を目指す民間発意の取組。2021年(令和3年)3月現在、職親企業として175社が参加し、累計342名の少年院出院者や刑務所出所者が職親企業に内定している。