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第2節 京都コングレスにおける再犯防止

第2節 京都コングレスにおける再犯防止

 京都コングレスにおける4つの議題のうちの一つは「刑事司法システムが直面する課題に対する統合的なアプローチ」であり、これを実務的な視点から深堀りするワークショップとして、「再犯防止:リスクの特定とその解決策(Reducing reoffending: identifying risks and developing solutions)」が実施された。

 様々な課題の中で特に再犯防止が取り上げられた背景には、各国における再犯防止に対する関心の高さがある。2017年(平成29年)5月にウィーンで開催された国連犯罪防止刑事司法委員会において、京都コングレスの議題及びワークショップが全会一致で決定・承認されたが、その準備のために事務局であるUNODCが各国に対して京都コングレスの議題及びワークショップで取り上げるべき課題について意見照会を行った際には、多くの国から、再犯率が高止まりしている現状に鑑み、再犯防止や犯罪者の更生・社会復帰について取り上げるべきとの意見が寄せられていた。

 この再犯防止に関するワークショップにおいては、国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI。以下「アジ研」という。)の企画・運営により、再犯防止に関する課題やその解決策について、「社会復帰に適した刑務所環境の整備」、「デジスタンス(犯罪からの離脱)に寄与する社会内における処遇・介入等のアプローチ」、「犯罪者の社会復帰・社会再統合に向けた継続的支援やサービスを確保するための多角的アプローチ」の3つの観点から議論が行われた。

 また、公式プログラムのほかにも、約150実施されたサイドイベントの中において、様々な角度から再犯防止が扱われた。

 本節では、アジ研のワークショップと法務省関係部局が主催した、特に再犯防止と関わりのある4つのサイドイベントに焦点を当て、その内容と意義について紹介する。