再犯防止推進白書ロゴ

第2節 京都コングレスにおける再犯防止

4 サイドイベント「法務省政策提案ワークショップ(Ministry of Justice Policy Proposal Workshop)」

 学生グループが犯罪・非行からの立ち直りに関する政策提案を行うサイドイベント「法務省政策提案ワークショップ」を実施しました。

(1)本サイドイベントの背景

 本サイドイベントに先立ち、法務省は、2019年(令和元年)12月に、同名のアイデアソン※11である「法務省政策提案ワークショップ」を開催しました。本サイドイベントは、その中で選ばれた3つの政策アイデア※12について、発案した学生グループによる発表を基に、世界から見た日本の矯正の在り方や今後の展望について議論するものです。京都コングレスの開催が1年延期されたにもかかわらず、3グループ合計9名の発表者が会場に集まりました。今回、アイデアソンを含め、本サイドイベントの参加者に「犯罪・非行からの立ち直り」を身近な社会課題として興味関心を持っていただくこと、民間企業や団体、この社会課題に関心を持つ学生や社会人との新たなつながりを作ることを期待して企画・実施しました。

(2)本サイドイベントの内容

 本サイドイベントにおいては、学生グループにより、以下の3つの政策が提案されました。

学生グループによる3つの政策提案

 全てのグループによる発表の後、これまで更生保護や再犯防止の活動に取り組まれてきた甲田真理氏(ダンサー・女優)、中村すえこ氏(NPO法人セカンドチャンス!)、中澤照子氏(元保護司・Café LaLaLa店主)ら3名のゲストスピーカーからは、各グループの発表内容に対して様々な経験談を交えた助言や意見が述べられたほか、法務省矯正局更生支援管理官からは、「若い人たちの力を得ながら、これからも社会復帰と再犯防止に向けた対策を戦略的に進めて行く」旨のコメントが述べられました。本サイドイベントの終了にあたり、法務省矯正局長からは、「本サイドイベントの開催が、既存の枠組みにとらわれず、自由な発想を忌たんなく発信できる日本の姿勢を国際社会に示す良い機会になったのであれば幸いである」旨の挨拶がなされました。

特2-11 学生グループによる発表
特2-11 学生グループによる発表
特2-12 ゲストスピーカーによるコメント
特2-12 ゲストスピーカーによるコメント

(3)成果と今後の展望

 本サイドイベントは、犯罪・非行からの立ち直りに向けた取組やその重要性の周知に加え、共にこの分野で主体的に取り組む担い手を増やすことにつながったものと考えており、今後も、関係者・関係機関の連携強化や効果的な施策の実施による再犯防止の推進に向けて、様々な取組を展開していきたいと考えています。

特2-13 法務省矯正局長による総括
特2-13 法務省矯正局長による総括

VOICE 参加した学生からの声。

・この度は京都コングレスでの登壇という貴重な機会をいただきありがとうございました。罪を犯してしまった人々の社会復帰に関する報告の経験を、大学院での研究にも生かしていければと思います。(宇都宮大学大学院・横山友輝さん)

・様々な考えを持つ学生メンバーと「どうすれば社会の価値観を変えてもらえるか」について多くの意見を交わし、国際的な場で発信できた経験は一生の宝です。この学びを、今後は仕事の場で、積極的な姿勢で生かしていきます。(慶應義塾大学・沖皐津紀さん)

・アイデアの発案から会場での質疑応答まで、刑事政策に限定されない様々な分野の人々とともに、犯罪を行なってしまった人物を他人として見るのではなく、共通の問題をもつ当事者という視点から考えることができるとても貴重な機会でした。(早稲田大学大学院・吉川優太郎さん)

特2-14 早稲田大学大学院・吉川 優太郎さんによる発表
特2-14 早稲田大学大学院・吉川 優太郎さんによる発表
  1. ※11 アイデアソンとは、「アイデア」と「マラソン」を掛け合わせた造語で、ある特定のテーマについて多様なメンバーが集まり、対話を通じて、新たなアイデア創出やビジネスモデルの構築などを行うワークショップの一手法のこと。
  2. ※12 法務省Twitterなどの募集により学生70名と社会人53名が参加し、「犯罪・非行からの立ち直り」という社会課題について、「地域で立ち直りに取り組むには?」をテーマに政策立案を行い、京都コングレスで発表する3つのアイデアが選出されました。