
第1節 民間協力者の活動の促進等
(1)再犯防止活動への民間資金の活用の検討【施策番号96】
法務省は、2021年度(令和3年度)から、成果連動型民間委託契約方式※15の一類型であるソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)※16を活用し、少年院に在院している少年のうち、学習意欲のある者について、少年院在院中に学習支援計画を策定し、その出院後に継続的な学習支援を行う事業(資6-96-1参照)を実施している。
また、更生保護女性会やBBS会を始めとする更生保護関係団体による犯罪予防・再犯防止活動等の継続を支援するため、法務省は、クラウドファンディングを活用した民間資金調達に関する実践研究を行い、更生保護関係団体による効果的な民間資金の活用、更には更生保護や再犯防止の取組に対する国民の理解促進を図ることを目的とした実践マニュアルを作成した(資6-96-2参照)。さらに、BBS会の各種研修用教材として、クラウドファンディングの実践方法を紹介する動画を作成した。その結果、2021年(令和3年)3月末までに、8つの更生保護関係団体がクラウドファンディングによる資金調達に成功し、犯罪予防・再犯防止活動等の原資として活用した。
さらに、2020年(令和2年)8月には、更生保護法人日本更生保護協会において、「立ち直り応援基金」※17が創設され、2021年(令和3年)12月末までに、130名以上からの寄付を得ている。


(2)社会的成果(インパクト)評価に関する調査研究【施策番号97】
法務省は、2019年度(令和元年度)に社会的成果(インパクト)※18を含む成果指標やその評価方法についても検討を行い、その調査研究結果の報告を公表した※19。
また、「成果連動型民間委託契約方式の推進に関するアクションプラン」(令和2年3月27日成果連動型民間委託契約方式の推進に関する関係府省庁連絡会議決定)(資6-97-1参照)において、再犯防止を含む3分野が重点分野とされたことも踏まえ、法務省では、ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)を活用した再犯防止事業(【施策番号96】参照)を実施するとともに、地方公共団体が再犯防止分野で同様のスキームを活用する際にいかすことができるよう、前記事業を通じて得られる知見を蓄積・共有することとしている。

- ※15 成果連動型民間委託契約方式(Pay For Success、PFS)
国又は地方公共団体が、民間事業者に委託等して実施する事業のうち、その事業により解決を目指す行政課題に対応した成果指標が設定され、地方公共団体等が当該行政課題の解決のためにその事業を民間事業者に委託等した際に支払う額等が、当該成果指標の改善状況に連動する方式。 - ※16 ソーシャル・インパクト・ボンド(Social Impact Bond、SIB)
成果連動型民間委託契約方式(Pay For Success、PFS、成果目標の達成度合に応じて支払額が変動する委託契約方式)の一類型であり、PFS事業を受託した民間事業者が当該事業に係る資金調達を金融機関等の資金提供者から行うもの。 - ※17 立ち直り応援基金
民間資金を活用する方策の一つとして、犯罪や非行からの立ち直り支援に賛同する個人・企業・団体等から、インターネット等を通じて広く寄附を集め、集められた寄附金を、全国で行われている草の根の立ち直り支援活動に助成する仕組みであり、法務省がその広報を担っている。 - ※18 社会的成果(インパクト)
事業や活動の結果として生じた、社会的・環境的な変化や効果。 - ※19 「再犯防止活動における民間資金を活用した成果連動型民間委託契約方式の案件組成のための調査研究に係るコンサルティング業務調査等結果報告書」URL(http://www.moj.go.jp/content/001318667.pdf)