平成20年における入管法違反事件について
1 入管法違反事件
(1)概況〔別表1〕
平成20年中に,全国の地方入国管理官署が出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)違反により退去強制手続(出国命令手続を含む。以下同じ。)を執った外国人は,3万9,382人で,平成19年と比較して6,120人の減少となった。
| 年 違反事由 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 |
|---|---|---|---|
| 総 数 | 56,410 | 45,502 | 39,382 |
| 不 法 入 国 | 10,441 | 7,454 | 6,136 |
| 不 法 上 陸 | 506 | 342 | 253 |
| 資 格 外 活 動 | 1,736 | 1,409 | 1,153 |
| 不 法 残 留 (うち出国命令) | 42,829 (11,108) | 35,417 (9,695) | 31,045 (8,480) |
| そ の 他 | 898 | 880 | 795 |
(2)摘発箇所
全国の地方入国管理官署が実施した摘発の箇所数は,1万2,391か所で,平成19年と比較して1,088か所の増であった。
| 年 摘発先別 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 |
|---|---|---|---|
| 総 数 | 9,353 | 11,303 | 12,391 |
| 稼 働 先 | 2,429 | 3,498 | 4,590 |
| 居 宅 | 4,416 | 5,708 | 5,628 |
| その他(路上等) | 2,508 | 2,097 | 2,173 |
(3)入管法違反者の特徴〔別表1,2,3,4〕
ア 不法入国者
不法入国者は6,136人で,平成19年と比較して1,318人の減少となった。
そのうち,航空機を利用した不法入国者は4,462人,船舶を利用した不法入国者は1,674人で,それぞれの人数の不法入国者総数に占める割合は,近年概ね横ばいである。
| 年 利用交通手段 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 |
|---|---|---|---|
| 総 数 | 10,441 | 7,454 | 6,136 |
| 航 空 機 利 用 | 7,549 | 5,448 | 4,462 |
| 船 舶 利 用 | 2,892 | 2,006 | 1,674 |
イ 不法残留者
不法残留者は,3万1,045人と前年を4,372人下回ったが,入管法違反者全体に占める割合は,78.8パーセントとなり,近年漸増傾向にある。
このうち,出国命令制度の対象となった不法残留者は8,480人と,不法残留者全体の27.3パーセントであった。
ウ 国籍(地域)別
退去強制手続を執った外国人の国籍は109か国(地域)となり,国籍(地域)別では,6年連続して中国(台湾,香港・その他を除く。以下同じ。)が最も多く,1万963人で,入管法違反者全体の27.8パーセントを占めた。
国籍別では,中国に次いでフィリピン,韓国,インドネシア,タイの順となっており,これら5か国で全体の71.4パーセントを占めている。
| 年 国籍(出身地)別 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | |
|---|---|---|---|---|
| 総 数 | 56,410 (29,483) | 45,502 (24,881) | 39,382 (22,469) | |
| 中 国 |
中 国 | 16,269 (8,742) | 11,981 (6,733) | 10,963 (6,600) |
| 台 湾 | 393 (95) | 342 (78) | 264 (61) | |
| 香港・その他 | 62 (29) | 37 (18) | 31 (11) | |
| フ ィ リ ピ ン | 10,420 (3,686) | 9,185 (3,513) | 7,847 (3,121) | |
| 韓 国 | 8,128 (2,687) | 6,560 (2,398) | 4,993 (1,867) | |
| インドネシア | 2,443 (1,602) | 2,153 (1,495) | 2,284 (1,634) | |
| タ イ | 3,294 (1,375) | 2,467 (1,136) | 2,020 (1,006) | |
| ベ ト ナ ム | 1,407 (743) | 1,571 (873) | 1,708 (1,006) | |
| ス リ ラ ン カ | 1,624 (1,399) | 1,449 (1,249) | 1,432 (1,253) | |
| ペ ル ー | 1,306 (795) | 1,068 (643) | 1,064 (666) | |
| バングラデシュ | 1,295 (1,167) | 975 (911) | 745 (699) | |
| イ ン ド | 721 (699) | 608 (597) | 591 (581) | |
| そ の 他 | 9,048 (6,464) | 7,106 (5,237) | 5,440 (3,964) | |
(注1) ( )内は,男性で内数である。
(注2) 国籍(地域)別順位は,平成20年のものである。
2 不法就労事件
(1)概況
退去強制手続を執った外国人のうち,不法就労事実が認められた者は3万2,471人で,入管法違反者全体に占める割合は82.5パーセントと依然として高い割合を示している。
| 年 国籍(出身地)別 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | |
|---|---|---|---|---|
| 総 数 | 45,929 (24,759) | 36,982 (20,926) | 32,471 (19,270) | |
| 中 国 |
中 国 | 13,750 (7,614) | 10,223 (5,910) | 9,583 (5,950) |
| 台 湾 | 232 (50) | 201 (44) | 155 (35) | |
| 香港・その他 | 33 (11) | 18 (10) | 20 (6) | |
| フ ィ リ ピ ン | 7,978 (2,887) | 7,075 (2,815) | 6,083 (2,559) | |
| 韓 国 | 6,696 (2,232) | 5,315 (1,977) | 4,077 (1,555) | |
| インドネシア | 2,286 (1,521) | 2,034 (1,438) | 2,162 (1,568) | |
| タ イ | 2,650 (1,159) | 2,013 (985) | 1,694 (903) | |
| ベ ト ナ ム | 1,189 (630) | 1,318 (756) | 1,473 (887) | |
| ス リラ ン カ | 1,440 (1,270) | 1,264 (1,117) | 1,278 (1,150) | |
| ペ ル ー | 927 (609) | 785 (518) | 786 (532) | |
| バングラデシュ | 1,176 (1,114) | 907 (873) | 702 (670) | |
| イ ン ド | 668 (654) | 582 (574) | 554 (548) | |
| そ の 他 | 6,904 (5,008) | 5,247 (3,909) | 3,904 (2,907) | |
(注1) ( )内は,男性で内数である。
(注2) 国籍(地域)別順位は,平成20年のものである。
(2)不法就労者の特徴
ア 国籍(地域)
不法就労者の国籍は,近隣アジア諸国を中心に89か国(地域)に上った。 国籍別では,中国が9,583人で全体の29.5パーセントと最も多く,以下,フィリピン,韓国,インドネシア,タイの順となっており,これら5か国で全体72.7のパーセントを占めた。
イ 性別・年齢〔別表5,6〕
不法就労者の男女別は,男性が1万9,270人で不法就労者全体の59.3パーセント,女性が1万3,201人で同40.7パーセントとなっており,その差は18.6ポイントと,平成19年(13.2ポイント)に比べ男女間の差は拡大した。
年齢別で見ると,30歳代が1万2,348人で全体の38.0パーセントと最も多く,以下20歳代が8,552人で同26.3パーセント,40歳代が7,877人で同24.3パーセントを占めている。
ウ 就労期間〔別表7,8〕
就労期間別で見ると,5年を超える者が1万262人で,不法就労者全体に占める割合が31.6パーセントと最も多くなった。
また,就労期間1年以下の者は6,630人で,全体の20.4パーセントとなり,平成19年(23.0パーセント)に比べ減少傾向となっている。
エ 稼働場所(都道府県)〔別表9〕
稼働場所(都道府県)別では,東京都の5,862人を最多に,関東地区1都6県(東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県,茨城県,群馬県,栃木県)で2万1,509人となり,同地区が不法就労者全体の66.2パーセントを占めている。
また,中部地区9県(愛知,静岡,長野,岐阜,山梨,新潟,福井,富山及び石川)が7,461人となり,不法就労者全体の23.0パーセントを占め,前年の21.7パーセントから増加傾向となった。
その一方で,全国47都道府県で不法就労者の稼働が確認されており,不法就労者の地方への分散化が続いている状況がうかがわれる。
オ 就労内容〔別表10〕
就労内容別では,男性は「工員」が7,670人で最も多く,以下,「建設作業者」3,792人,「その他の労務作業者」2,342人の順となっている。女性はスナック等で働く「ホステス等接客」が4,023人で最も多く,以下,「工員」3,696人,「ウェイトレス等給仕」1,342人の順となっている。
カ 報酬(日額)〔別表11,12〕
報酬日額(月給,時給等については日額に換算したもの。)別では,「5千円を超え7千円以下」が1万4,829人と最も多く,次いで,「7千円を超え1万円以下」が1万273人となっている。