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平成20年の「不正行為」認定について


入国管理局においては,研修・技能実習に関し不適正な行為を行った機関に対して「不正行為」の認定を行い,法務省令等の規定に基づいて,当該機関が研修生・技能実習生を受け入れることを3年間停止しています。

平成20年中に「不正行為」認定を受けた機関の受入れ形態別の状況,「不正行為」の類型別の状況及び具体例は次のとおりです。



1 受入れ形態別の認定について

(1) 受入れ形態別の認定機関数,推移

平成20年に 「不正行為」に認定した機関は452機関であり,前年の449機関を上回り,過去最多の機関数となった。

これを受入れ形態別にみると,企業単独型で受け入れた機関が7機関(1.5%),団体監理型での受入れ機関が445機関(98.5%)であった。団体監理型の受入れについて,受入れ機関別では,第一次受入れ機関が29機関(6.4%),第二次受入れ機関が416機関(92.0%)となっている。



受入れ形態別「不正行為」認定機関数の推移
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
企業単独型
2
5
11
9
7
団体
監理型
第一次受入れ機関
28
17
28
36
29
第二次受入れ機関
180
158
190
404
416
210
180
229
449
452


(2) 企業単独型での受入れ機関に対する認定

平成20年に「不正行為」に認定した企業単独型での受入れ機関は7機関(1.5%)と平成19年の9機関(2.0%)と同様に,低い割合に留まっている。



(3) 団体監理型での受入れ機関に対する認定

(1) 第一次受入れ機関に対する認定

平成20年に「不正行為」に認定した第一次受入れ機関29機関のうち27機関を事業協同組合が占め,事業協同組合が高い割合を占める傾向は,これまでと変わっていない。



第一次受入れ機関の種類別「不正行為」認定機関数の推移
 
平成18年
平成19年
平成20年
事業協同組合
26
34
27
農業協同組合
1
1
0
商工会
1
0
0
その他の団体
0
1
2
28
36
29


(2) 第二次受入れ機関に対する認定

平成20年に「不正行為」に認定した第二次受入れ機関は416機関であり,業種別にみると,「繊維・被服関係」が148機関(35.6%),「機械・金属関係」が81機関(19.5%)と上位を占める。

平成18年以降の推移をみると,大きな変動はないが,「食品製造関係」の機関数が平成19年の34機関(8.4%)から,平成20年は62機関(14.9%)と増加している。



第二次受入れ機関の業種別「不正行為」認定機関数の推移
 
平成18年
平成19年
平成20年
繊維・被服関係
64
170
148
機械・金属関係
49
73
81
農業関係
21
47
39
食品製造関係
15
34
62
建設関係
18
13
21
その他
23
67
65
190
404
416



2 類型別の認定について

(1) 類型別の認定件数,推移

平成20年に「不正行為」に認定した機関の数は452機関であり,類型別の認定件数は549件であった(一つの機関に対し複数の類型により「不正行為」認定を行う場合があり,「不正行為」に認定した機関数,類型別の認定件数とは一致しない。)。


平成20年の類型別認定件数をみると,第2類型「研修生の所定時間外作業」に169件(30.8%),第5類型「労働関係法規違反」に155件(28.2%),第1類型(3)「名義貸し」に96件(17.5%)が認定されており,この3類型で全体のおよそ8割(76.5%)を占める。

また平成18年以降の推移をみると,第2類型の「研修生の所定時間外作業」は,平成19年の98件(17.4%)から,平成20年は169件(30.8%)と大きく増加した。



類型別「不正行為」認定件数の推移
 
平成18年
平成19年
平成20年
第1類型 (1)
二重契約
20
8
0
     (2)
研修・技能実習計画との齟齬
46
36
48
     (3)
名義貸し
74
115
96
     (4)
その他虚偽文書の作成・行使
43
22
28
第2類型
研修生の所定時間外作業
69
98
169
第3類型
悪質な人権侵害行為等
4
70
36
第4類型
問題事例の未報告等
7
1
1
第5類型
不法就労者の雇用
31
31
15
 
労働関係法規違反
37
178
155
第6類型
準ずる行為の再発生 
1
3
1
332
562
549


平成20年 類型別受入れ形態別「不正行為」認定件数
 
企業
団体監理型
単独型
第一次
第二次
(7機関)
(29機関)
(416機関)
(452機関)
第1類型 (1)
二重契約
0
0
0
0
     (2)
研修・技能実習計画との齟齬
1
11
36
48
     (3)
名義貸し
0
4
92
96
     (4)
その他虚偽文書の作成・行使
1
21
6
28
第2類型
研修生の所定時間外作業
4
5
160
169
第3類型
悪質な人権侵害行為等
1
3
32
36
第4類型
問題事例の未報告等
0
0
1
1
第5類型
不法就労者の雇用
0
1
14
15
 
労働関係法規違反
2
0
153
155
第6類型
準ずる行為の再発生 
0
1
0
1
9
46
494
549

※ 一つの受入れ機関が,複数の類型により「不正行為」認定されている場合は,それぞれの類型に計上しているので,認定機関数と類型別の認定件数とは一致しない。



(2) 企業単独型での受入れに係る類型別の認定

平成20年に「不正行為」に認定した企業単独型の受入れ機関は7機関であり,類型別では9件である。

第2類型「研修生の所定時間外作業」に4件(44.4%)と最も多く認定しており,他に「不正行為」に認定したのは,第1類型(2)「研修・技能実習計画との齟齬」,第1類型(4)「その他虚偽文書の作成・行使」,第3類型「悪質な人権侵害行為等」,第5類型「労働関係法規違反」であった



企業単独型での受入れ機関に対する類型別「不正行為」認定件数の推移
 
平成18年
平成19年
平成20年
第1類型 (1)
二重契約
3
0
0
     (2)
研修・技能実習計画との齟齬
1
2
1
     (3)
名義貸し
0
2
0
     (4)
その他虚偽文書の作成・行使
6
3
1
第2類型
研修生の所定時間外作業
2
3
4
第3類型
悪質な人権侵害行為等
0
0
1
第4類型
問題事例の未報告等
0
0
0
第5類型
不法就労者の雇用
1
1
0
 
労働関係法規違反
1
1
2
第6類型
準ずる行為の再発生 
0
0
0
14
12
9

※ 一つの受入れ機関が,複数の類型により「不正行為」認定されている場合は,それぞれの類型に計上しているので,認定機関数と類型別の認定件数とは一致しない。



(3) 団体監理型での受入れに係る類型別の認定

(1) 第一次受入れ機関に係る類型別の認定

平成20年に「不正行為」に認定した第一次受入れ機関は29機関であり,類型別では46件である。

認定件数の上位は,第1類型(4)「その他虚偽文書の作成・行使」に21件(45.7%),第1類型(2)「研修・技能実習計画との齟齬」に11件(23.9%)であった。



第一次受入れ機関に対する類型別「不正行為」認定件数の推移
 
平成18年
平成19年
平成20年
第1類型 (1)
二重契約
1
7
0
     (2)
研修・技能実習計画との齟齬
8
4
11
     (3)
名義貸し
10
4
4
     (4)
その他虚偽文書の作成・行使
21
13
21
第2類型
研修生の所定時間外作業
7
5
5
第3類型
悪質な人権侵害行為等
0
6
3
第4類型
問題事例の未報告等
5
1
0
第5類型
不法就労者の雇用
1
1
1
 
労働関係法規違反
0
5
0
第6類型
準ずる行為の再発生 
1
3
1
54
49
46

※ 一つの受入れ機関が,複数の類型により「不正行為」認定されている場合は,それぞれの類型に計上しているので,認定機関数と類型別の認定件数とは一致しない。



(2) 第二次受入れ機関に係る類型別の認定

平成20年に「不正行為」に認定した第二次受入れ機関は416機関であり,類型別では494件である。

平成20年の類型別認定件数をみると,第2類型「研修生の所定時間外作業」に160件(32.4%),第5類型「労働関係法規違反」に153件(31.0%),第1類型(3)「名義貸し」に92件(18.6%)を認定した

平成18年以降の推移をみると,「名義貸し」,「研修生の所定時間外作業」及び「労働関係法規違反」が上位を占めていることに変わりはないが,平成19年と比べると,「研修生の所定時間外作業」が大きく増加している。



第二次受入れ機関に対する類型別「不正行為」認定件数の推移
 
平成18年
平成19年
平成20年
第1類型 (1)
二重契約
16
1
0
     (2)
研修・技能実習計画との齟齬
37
30
36
     (3)
名義貸し
64
109
92
     (4)
その他虚偽文書の作成・行使
16
6
6
第2類型
研修生の所定時間外作業
60
90
160
第3類型
悪質な人権侵害行為等
4
64
32
第4類型
問題事例の未報告等
2
0
1
第5類型
不法就労者の雇用
29
29
14
 
労働関係法規違反
36
172
153
第6類型
準ずる行為の再発生 
0
0
0
264
501
494

※ 一つの受入れ機関が,複数の類型により「不正行為」認定されている場合は,それぞれの類型に計上しているので,認定機関数と類型別の認定件数とは一致しない。




3 「不正行為」認定の具体例

平成20年に「不正行為」に認定した具体例は次のとおりである。

(1) 第1類型に係る認定

(1) 第1類型(2)「研修・技能実習計画との齟齬」

「研修・技能実習計画との齟齬」には,452機関中48機関を認定した。

「研修・技能実習計画との齟齬」とは,提出された研修計画や技能実習生との雇用契約の内容と齟齬する研修や技能実習が行われ,その齟齬の程度が申請の許否を左右する程度であった場合である。


【事例1】 受入れ機関である洋菓子製造会社は,水産加工物を取り扱っていないにもかかわらず,技能実習へ移行するために移行対象職種である「水産練り製品(かまぼこ類)」を製造していると偽って,研修生を受け入れていた。なお当該研修生は,菓子製造及び検品・包装に関する作業に従事していた。


【事例2】 オイルシール製造業を営む受入れ機関は,「オイルシール製造の検査技術」の研修を「8時30分から17時00分」の時間に行うとして研修生を受け入れたのにもかかわらず,実際は,17時から翌朝4時までの時間帯で研修生に作業を行わせていた。


(2) 第1類型(3)「名義貸し」

「名義貸し」には,452機関中96機関を認定した。

「名義貸し」とは,申請に係る受入れ機関では研修生や技能実習生を受け入れずに他の機関で受け入れられていた場合であり,典型的には,A機関で研修を実施するとして申請しながら,実際はB機関で作業に従事していた場合である。


【事例1】 縫製の研修・技能実習を行うとして研修生・技能実習生を受け入れたグループ会社4社は,受注状況に応じ,研修生・技能実習生を特定の企業に移動させて作業を行わせていた。


【事例2】 送出し機関駐在員Cの提案により,受入れ人数枠を超える研修生を受け入れようとしたA社が,研修生の名義貸しをB社に依頼し,集合研修の終了直後からB社の研修生をA社で受け入れて缶詰巻締の作業を行わせていた。


(3) 第1類型(4)「その他虚偽文書の作成・行使」

「その他虚偽文書の作成・行使」には,452機関中28機関を認定した。

「その他虚偽文書の作成・行使」とは,申請に際し,虚偽の内容の書類を提出した場合で,その内容が申請の許否を左右する程度であった場合である。


【事例1】 企業単独型で研修生を受け入れようとした水産加工会社は,実態がない合弁企業を実態があるかのように装い,さらに,本来の研修生受入れの上限数が1名であるのに,常勤職員数を多く偽った書面を提出して5名の研修生を受け入れていた。


【事例2】 繊維・縫製関係の企業を組合員とする同業種の事業協同組合であった第一次受入れ機関は,傘下の第二次受入れ機関が,研修生に対し「残業」を行わせる等の不正な行為について承知していたにもかかわらず,虚偽の内容の監査報告書を作成し,入国管理局に提出した。



(2) 第2類型「研修生の所定時間外作業」

「研修生の所定時間外作業」には,452機関中169機関を認定した。

研修生に一般の労働者と同じように「残業」や休日の勤務をさせていた場合が「研修生の所定時間外作業」に当たる。


【事例1】 異業種の事業協同組合であった第一次受入れ機関は,傘下の21機関に対し,研修生に時給400円の報酬で所定時間外作業をさせるよう主導した。


【事例2】 クリーニング業を営む第二次受入れ機関は,受け入れていた研修生2名に対し,10か月もの長期にわたり所定時間外作業を行わせており,その時間数は,1か月当たり少ない月で80時間,多い月では160時間を超えていた。



(3) 第3類型に係る認定

「悪質な人権侵害行為等」には,452機関中36機関を認定した。

研修生・技能実習生に対して暴行を加えた場合,研修生・技能実習生の旅券や通帳等を強制的に保管していた場合,研修生の研修手当や技能実習生の賃金の不払いが認められた場合等が「悪質な人権侵害行為等」に当たる。


【事例1】 受入れ機関である農業者の子が,受け入れていた研修生の顔面を殴打し,鼻骨を骨折させた。


【事例2】 カーテン縫製業を営む受入れ機関は,技能実習生の旅券,預金通帳,印鑑及びキャッシュカードを預かり,技能実習生が5〜6回にわたって返却を求め,また技能実習生から相談を受けた組合等も,受入れ機関に対し返却の申入れを行ったにもかかわらず,返却しなかった。



(4) 第4類型「問題事例の未報告等」

第4類型の「問題事例未報告等」には,1機関を認定した。

第一次受入れ機関が所要の監査を実施していなかったり,研修生・技能実習生の失踪等を報告しなかった場合が「問題事例未報告」に当たるほか,失踪者が多発し,その原因が受入れ機関にある場合もこの類型に当たる。


【事例】 水産加工業を営む受入れ機関において,直近の失踪者が発生した前1年間に受け入れた研修生・技能実習生が14名であるのに対し,この間に9名が失踪した。



(5) 第5類型に係る認定

この類型は,「不法就労者の雇用」と「労働関係法規違反」とに分けられ,平成20年に認定された機関は,それぞれ15機関,155機関であった。

(1) 不法就労者の雇用について

地方入国管理局の摘発等により,受入れ機関で不法就労者を雇用していたことが判明した事案である。


【事例】 溶接業を営む受入れ機関は,研修生・技能実習生を受け入れていたところ,10名の不法就労者を雇用していたとして,地方入国管理局及び警察により摘発を受けた。


(2) 労働関係法規違反について

「労働関係法規違反」の大半は,「賃金の不払い」等労働基準法違反であるが,労働安全衛生法違反のものもある。


【事例1】 縫製業を営む受入れ機関は,技能実習生に対し,残業や休日労働に係る所定の割増賃金を支払わず,時間外労働について時給200円のみを支給していた。経営者については,労働基準法違反により懲役6月執行猶予3年の言い渡しを受けた。


【事例2】 自動車部品製造業を営む受入れ機関は,有資格者でなければ従事できない作業に当該資格を有していない技能実習生を従事させ,その作業中に当該技能実習生は鉄製コイルの下敷きになり死亡した。同社及び経営者は,労働安全衛生法違反によりそれぞれ罰金20万円に処せられた。



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