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~第1回法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラム~

法務省大臣官房国際課は、次世代を担う若者のエンパワーメントによる、国際社会における「法の支配」の確立(司法外交)に力を入れています。

その取組の一つとして、世界各国の若者が、法という観点から、社会の課題やその解決法等について議論するフォーラムを創設し、令和3年10月9日から10日に東京国際フォーラムで「第1回法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラム」を開催しました。

第1回フォーラムには、41か国から約120名の若者が、来場またはオンラインのいずれかで参加し、「多様性と包摂性のある社会に向けた若者の役割」という全体テーマの下、2つの分科会(①成年年齢に達することと社会への参画、②コロナ後の犯罪防止・刑事司法)に分かれて議論し、その結果は「提言」として国連に提出されました(詳しくはこちら)。

ほうむSHOW編集局では、本ユースフォーラムが実際にどのようなイベントなのか、その意義や趣旨のほか、その舞台裏について皆様にご紹介するべく、この企画・運営に携わった3名の女性職員(H係長、T係長、T係員)にインタビューしました!
職員紹介
H係長 採用12年目。少年院などでの勤務経験あり。学生時代は混声合唱団に所属。

T係長 採用6年目。少年鑑別所などでの勤務経験あり。休日はアロマをたしなむ。

T係員 採用4年目。刑務所などでの勤務経験あり。子どもの頃「花子」という犬を飼っていた。
編集局員: 皆さんは「第1回法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラム」の開催に携わったということですが、会議の名前にある「法遵守の文化(a culture of lawfulness)」というのはどういう意味で、なぜこのような名称とされたのでしょうか。
分科会の様子
H係長: 「法遵守の文化」とは、国民が法やその執行が公正・公平であると信頼し、それゆえこれらを尊重する文化を言います。例えば、現金が入った財布が落ちていたとき、お金が欲しいと思うかもれないが、ネコババはよくないと思って交番に届ける。そのように、みんながルールを守ることによって秩序が保たれ、みんなが安全・安心に暮らせて、法遵守の文化が醸成される、そういう感じでしょうかね。
T係員: 法遵守の文化の醸成は、法の支配が根付く前提というか、その基盤となる必要なものだと思います。フォーラムの開催を通じて、次世代を担う若者達にその文化の大切さを十分に理解してもらい、世界各国にこのような文化を根付かせて法の支配を浸透させることができたらいいなと思い、このような名称にしました。
T係長: 古川法務大臣も、開会式で「持続可能な開発目標(SDGs)の基礎となる『法遵守の文化』を次世代社会の原動力である若者とともに醸成していきたいという思いを込めて、ユースフォーラムの名称に取り入れました」とおっしゃっていましたね。
編集局員: なるほど。今回は記念すべき第1回の開催ということですが、なぜこのタイミングで開催されたのですか?
T係長: 実は、今年3月に開催された「第14回国連犯罪防止刑事司法会議(通称:京都コングレス)」の関連イベントとして、今年2月に「京都コングレス・ユースフォーラム」を開催しました。それが好評であったことや、京都コングレスの成果文書である「京都宣言」に、「若者が地域社会で積極的な変化をもたらす主体となるよう、その能力を強化する」ことがうたわれたことなどから、今回、改めて「法遵守の文化のためのユースフォーラム」を開催することにしたのです。
T係員: 要は、社会は若者の意見を積極的に聞いていこう、若者も社会で自らの声をどんどん発信しようということですね。実際、京都コングレス・ユースフォーラムでは、議論の結果が「勧告」としてまとめられ、京都コングレスに提出されました。
ユースの代表が京都コングレスに勧告を提出する様子
H係長: 今回の第1回法遵守の文化のためのユースフォーラムでも、議論の結果は「勧告」として採択され、「勧告」は、令和3年11月10日から12日に開催された国連の会合に提出され、若者の意見が世界に届けられました。
編集局員: なるほど。議論の結果を直接国連に提出出来るとなると、モチベーションも上がりそうですね。
では次の質問ですが、皆さんは、ユースフォーラムの意義について、どのように考えていますか?
T係長: ユース同士の国境を越えたネットワーキング形成の場として非常に意義があると思います。異なるバックグラウンドを持った各国の若者が互いに議論することで、相互理解・寛容性や多様性など、いろいろな気づきを得られるのではないでしょうか。
T係員: 私は、ユースの声を国連や国際社会に届けるという点に大きな意義を感じました。SDGs達成目標年の2030年には、彼らは社会のメインプレイヤー、キープレイヤーであり、将来を担うユースの声を現在の政策決定に反映させることは重要だと思います。思っていることがあっても、どうやって声を上げたらいいか分からないというユースもいると思うので、議論の結果を国連に提出できるユースフォーラムは、そういうユースの想いを社会に取り込むチャンスであり、良い機会になると思います。
H係長: また、犯罪防止刑事司法分野における定期的なユースフォーラムの開催は、世界でも数少ない試みではないでしょうか。ユースフォーラムの意義の一つには、次世代リーダーの育成、人材育成というものもあると思っており、これは一朝一夕には出来ませんので、継続的に参加できるフォーラムというのは貴重だと思います。
編集局員: それでは、ユースフォーラムについて説明いただいたところで、その運営に携わった皆さんに、感想や大変だったことをお聞きしたいです!
T係員: 今回、予算の節約のため、自分たちでできることは自分たちでやろう!となりました。自分たちでポスターをデザイン・印刷したり、閉会式で流すムービーを制作したり…。大変でしたけど、今思えば楽しかったです。動画編集能力も上がりました(笑)。コロナ禍など制約も多かったですが、その中で、よりよいものを作ろうとみんなで汗をかき、工夫をこらした会議でした。
T係員がデザインしたポスター
T係長: 私は運営に携わって、若い参加者の方々からとても刺激を受けました。実際の議論を聞いていても、よりよい社会を作るためにどうしたら良いのか、みんなが積極的に意見を出し合う姿が印象的でした。よく日本では「無気力な若者」などと取り上げられたりしますが、日本人も含めて世界の若者は、みんな自分なりの問題意識や夢を持っていて、とてもパワフルだと感じました。ユースフォーラムを通じて、そのようなパワーを持っている若者たちが自分たちの意見をまとめ、国連に届ける様子を見届け、そのお手伝いをすることができたのは、感慨深かったです。
H係長: ユースフォーラムは、参加者はもちろん、色々な方による協力があったからこそ、開催できたと思っています。例えば、議論の進行をサポートするモデレーターは、ICD(法務総合研究所国際協力部)やUNAFEI(国連アジア極東犯罪防止研修所)の教官、日本弁護士連合会の弁護士の先生、UNODC(国連薬物・犯罪事務所)の職員が務めました。その他にも、議論に向けた講演をしてくださった大学やTIJ(タイ法務研究所)の先生、基調講演をしてくださったピアニストの西川悟平さん、会場となった東京国際フォーラムの皆さん、会議運営を支えてくださった民間業者さん…。国境や官民の壁を越え、そうした方々と参加者と法務省職員で作り上げたのが、ユースフォーラムという会議だったと思います。
編集局員: 皆さんありがとうございました。来年以降のユースフォーラムの成功をお祈りしています。
それでは、これにてインタビューを終了したいと思います!
一同 お疲れ様でした!
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