ラオスへの法制度整備支援プロジェクトがスタート

(ルアンパバーンでの托鉢(たくはつ)の様子)

ラオスとはどんな国?

ラオスは,正式には「ラオス人民民主共和国」と言います。東南アジアの大陸部に位置し,周囲をベトナム,カンボジア,タイ,ミャンマー及び中国に囲まれた内陸国であり,その面積は,日本の本州くらいの大きさですが,人口は,約630万人です。観光地として,景観の美しさから町全体が世界遺産に登録されているルアンパバーンなどが有名です。

ラオスへの法制度整備支援の必要性

ラオスでは,1991年に憲法が制定(2003年に改正)されたほか,民事,刑事の基本的な法律などは既に制定されたものがあります。しかし,法律というものは,社会の中で起こるあらゆるケースについて細かく規定しておくことはできないので,問題を解決するためには,法律を解釈し,適用することが必要です。当然,その解釈をするための合理的で説得的な説明が必要になってきますし,同じ法律内,あるいは,他の法律との関係でも整合性のある解釈がなされなければなりません。日本では,大学などでこのような法理論を学ぶことができますし,法律に関する文献も多数あります。

しかし,ラオスではいまだそのような文献が書かれることはほとんどなく,法理論を学ぶ機会もほとんどありません。そのため,法律の実務家においてすら,理論的な法律の解釈適用を行うことが困難な状況にあります。


ラオスへの法制度整備支援の新プロジェクトについて

(「法律人材育成強化プロジェクト」開始式典)

今回,独立行政法人国際協力機構(JICA)のプロジェクトとして,「法律人材育成強化プロジェクト」がスタートし,平成22年8月12日,ラオスの首都ビエンチャンで開始式典が盛大に行われました。この式典の席上,法務大臣に代わって日本から出席した中村哲治法務大臣政務官は,「日本の法律専門家がラオスの法律専門家とともに存分の働きをし,ラオスの法制度の発展に貢献することで,両国相互の信頼関係が更に深まると確信している。」などとこのプロジェクトへの期待を述べました。

このプロジェクトは,ラオスの司法省職員,裁判官,検察官及びラオス国立大学の教員等五十数名が参加して,4年間にわたって行われます。このプロジェクトにおいては,ラオスの民法,民事訴訟法及び刑事訴訟法について,具体的な事例をもとに,ラオスの法律による解釈適用及びその法理論を分析,検討し,その結果を,ラオス側メンバーの執筆により本にまとめていく予定です。日本は,法律専門家として検事及び弁護士各1名を少なくとも1年以上現地に滞在する専門家として派遣しており,日常的に,ラオスの法律専門家にアドバイスをします。また,日本国内で大学教授や法務省法務総合研究所国際協力部教官等で構成される支援委員会を作り,ラオスでの活動をサポートします。

仮に立派な法律があっても,それを適切に使う人材がいなければ法律は役に立ちません。逆に,多くの法律専門家の能力が向上すれば,将来,自ら適切に法律を作るところから運用することまで,あらゆることを自立して行うことができるようになります。地道な努力を必要とするプロジェクトですが,ラオスの発展のために,日本の果たす役割は大きいものといえます。



そんなとき法テラスがお役に立ちます


Vol.12 〜成年後見制度の書類作成等,鑑定費用の立替えについて〜

認知症,知的障害,精神疾患などの理由で判断能力が不十分な方々は,不動産や預貯金などの財産を自分で管理するのが難しかったり,自分に不利益な内容でもよく判断ができずに契約を結んでしまい,悪徳商法の被害にあってしまうおそれがあります。

このような方々を保護・支援する制度が,「成年後見制度」です。成年後見制度には,判断能力が十分あるうちに,将来,判断能力が不十分な状態になった場合に備えて,あらかじめ自分が信頼できる人に財産管理等を委任する契約を結ぶ「任意後見制度」と,判断能力が不十分な状態になった場合に,家庭裁判所に成年後見人等を選任してもらう「法定後見制度」があります。ここでは,「法定後見制度」についてご説明します。

法定後見制度には,後見,保佐,補助の3つの類型があり,判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。法定後見制度を利用するには,家庭裁判所へ申立てを行う必要があり,家庭裁判所の審理を経て,後見人等が選任されることになります。

申立てができるのは,本人,配偶者その他一定範囲の親族等です。家庭裁判所での審理において,必要なときには,本人の判断能力の程度を医学的に確認するために,医師による鑑定が行われますので,鑑定費用が必要になります。

法テラスでは,経済的にお困りの方・・・・・・・・・に,無料法律相談や弁護士・司法書士等の費用等を立て替えます。

法テラスでは,一定の収入等の要件を満たす方に対して,裁判所へ提出する申立書の作成を依頼する費用(書類作成援助)や,申立てのための代理人を依頼する費用(代理援助)を立て替える民事法律扶助業務を行っています。民事法律扶助を利用した場合,鑑定費用も立て替えることができます。申立ての必要が迫っているのに,まとまった費用が準備できない,費用が足りない,といった場合に,法テラスの民事法律扶助制度を利用していただくことで,必要な申立てを行うことができます。

民事法律扶助制度の利用方法や手続については,お気軽に最寄りの法テラス(http://www.houterasu.or.jp/chihoujimusho/)にご相談ください。

○手続の流れ

●書類作成援助による立替額(標準額)

書類作成援助 実費 報酬
成年後見人等申立書 15,000円
鑑定費用は50万円まで別途立替
42,000〜63,000円

●代理援助による立替額(標準額)

案件の内容 実費 着手金
成年後見人等申立事件 20,000円
鑑定費用は50万円まで別途立替
63,000〜105,000円

※ 上記の表は立替額の例であり,標準額です。詳しくはお近くの法テラスへ。


●information● 法テラスは,法的トラブル解決のための総合案内所。
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