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第21回法整備支援連絡会を開催しました!

1 法整備支援連絡会とは

法務総合研究所は,アジア諸国に対して,民法など基本法令の起草・改正,司法制度の整備,法曹人材の育成支援といった法整備支援を行っています。法整備支援連絡会は,こうした活動に携わる関係者間の情報共有・意見交換の場として,年1回,独立行政法人国際協力機構(JICA)との共催で開催しています。

第21回を迎えた今年の法整備支援連絡会は,令和2年2月14日(金),東京都昭島市にある法務省国際法務総合センター「国際会議場A」と,神戸市にあるJICA関西をテレビ会議システムで接続して開催しました。両会場合わせて100名を超える参加者が集い,盛況でした。

2 第21回法整備支援連絡会の内容

今年の法整備支援連絡会では,「Access to Justiceの向上と法整備支援」をテーマとしました。

2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」のゴール16は,「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し,すべての人々に司法へのアクセスを提供し,あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」とされています。

「Access to Justice」は,幅広い概念ですが,これまで各支援対象国において,様々な法整備支援の実績が積み重ねられてきた一方で,果たして支援の効果が,対象国の一人一人の国民に行き渡っているかどうか,あるいは,行き渡るためにはどうすればよいか,といった視点で,現状を認識し,その上で,法整備支援の役割や課題を検討するため,この「司法へのアクセス」をテーマにしました。

第1部では,国内の法整備支援の関係機関から,最近の活動状況が報告されました。

第2部では,世界各国の司法アクセスの現状分析を行っている「ワールド・ジャスティス・プロジェクト」のエリザベス・アンダーセン氏及び日本が支援を行っているベトナム弁護士連合会のドー・ゴック・ティン会長による講演が行われました。

アンダーセン氏からは,「Global Insights on Access to Justice(司法へのアクセスに関する世界的洞察)」と題して,各国における司法アクセスの現状に関する調査結果やそれを踏まえての法整備支援活動への提言などについてお話しいただきました。

エリザベス・アンダーセン氏による講演の様子の画像

エリザベス・アンダーセン氏による講演の様子

ドー・ゴック・ティン会長からは,日本の法整備支援を通じて実施されたベトナム弁護士連合会による司法アクセス改善への貢献をテーマとして,講演をしていただきました。同講演では,遠隔地域の住民を含めた国民に対する無料の法律相談などの司法援助や,弁護士による刑事事件への積極的参加など,ベトナムにおける司法アクセス改善に向けた様々な取組が紹介されました。また,日本の法整備支援を通じて作成された弁護士ハンドブックが司法アクセス改善に役立つツールとなっていることについても,紹介されました。

ドー・ゴック・ティン会長(写真左)による講演の様子の画像

ドー・ゴック・ティン会長(写真左)による講演の様子

第3部では,第2部の講演を踏まえて,「Access to Justiceの観点から見た法整備支援の課題と展望」をテーマにパネルディスカッションを実施しました。コートジボワールにおけるコールセンターの設立支援,岐阜県下呂市における行政や福祉と連携した法律相談に関する取組など,国内外の司法アクセス改善への取組が紹介されるとともに,司法アクセスの阻害要因や改善のために必要なことなどについて,参加者による活発な議論が交わされました。

パネルディスカッションの様子の画像

パネルディスカッションの様子

3 法整備支援に興味のある方へ

法務総合研究所国際協力部では,法整備支援連絡会を始め,様々なシンポジウムやセミナーを開催していますので,法整備支援に興味のある方は,是非御参加ください。