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解決事例紹介

※以下の内容は、法務局が本人等からお聞きした情報に基づいて作成しています。

事例1
DNA鑑定費用を用意できず、訴訟費用の支払が猶予される手続も知らなかったため、調停手続を取り下げたが、民事法律扶助制度を利用して再度裁判手続の申立てができたケース

法務省担当者からのメッセージ

自ら調停手続の申立てをしたところ、DNA鑑定費用を用意することができず、訴訟費用の支払が猶予される手続も知らなかったため、調停手続を断念する場合もあります。そのような場合にも、法テラスにおける民事法律扶助制度の代理援助(弁護士費用やDNA鑑定費用の立替え)を利用することができる場合があります。また、実情に応じた裁判手続を利用することができますので、まずは、お気軽に、法務局や法テラスに御相談ください。

父子・婚姻関係

花子は、元の夫(大介)と離婚後300日以内に子(太郞)を出産。太郞の法律上の父は、大介。太郞の血縁上の父は、次郎。花子は、太郞の出生後、次郎と再婚。

経過

花子は、法務局に相談するまでに次郎を相手方として2回強制認知の調停手続の申立てをしましたが、DNA鑑定費用を用意することができず、訴訟費用の支払が猶予される手続も知らなかったため、いずれも取り下げていました。

今回、花子は、関係機関の職員(注1)とともに法務局に相談に訪れ、相談の結果、民事法律扶助制度の代理援助(注2)を利用すれば、弁護士に裁判手続の代理を依頼した場合にその弁護士費用やDNA鑑定費用を立て替えてもらえる場合があることが分かりました。そこで、法テラスに連絡し、弁護士による法律相談を受けた結果、弁護士(注3)に裁判手続(注4)の代理を依頼し、その費用については代理援助を利用することとなりました。なお、花子の要望により民事法律扶助制度を利用するための法テラスへの連絡は法務局職員が行い、法テラスでの相談にも法務局職員が同行(注5)しました。

具体的な裁判手続は、当初強制認知の手続が予定されていましたが、強制認知の手続は、子の血縁上の父(次郎)を相手方とする必要があるところ、花子は、次郎とは音信不通で次郎は花子に対し暴力的でもあるので、最終的には、太郞が法律上の父(大介)を相手方とする親子関係不存在確認の手続(注6)によることとし、当該調停手続の申立てが行われました。

現在の状況は、大介との間の親子関係不存在確認の審判が確定し(注7)、花子の嫡出でない子として出生届が提出され、無戸籍が解消しました。

  1. (注1)法務局への相談は、それまで相談していた関係機関の職員とともにすることもできます。
  2. (注2)法テラスが弁護士費用を立て替えるものです。また、弁護士費用に加えてDNA鑑定費用等の裁判手続に必要な費用等も立て替えることがあります。利用には、資力が一定以下であるなどの要件があります。立替金の返済(無利息)は分割して行っていただきます。生活保護を受給している場合には、返済が猶予又は免除される場合があります。
  3. (注3)裁判手続は、本人のみですることもできますが、弁護士に代理を依頼することもできます。なお、弁護士費用及びDNA鑑定費用の立替えについては、(注2)参照。
  4. (注4)離婚後300日以内に出生した子は、原則として、離婚前の夫の子と推定されます。この推定を排除する方法として、嫡出否認、強制認知又は親子関係不存在確認の手続があります。もっとも、強制認知及び親子関係不存在確認の手続は、夫婦の別居など子の懐胎時に婚姻の実態がない場合に限られます。なお、早産など離婚後に懐胎したことについての医師の証明書がある場合には、離婚前の夫を父としない出生届の提出をすることができます。
  5. (注5)新たな関係機関への連絡や相談は、思った以上に相談者の精神的負担が大きいとも言われており、相談者の要望により法務局職員が連絡し、同席する場合があります。
    なお、同席の可否は、法律相談を実施する担当弁護士の判断によります。
  6. (注6)強制認知の調停手続においては、子の血縁上の父を相手方とし、当該父の調停出席が必要になります。一方、子が親子関係不存在確認の調停手続を申し立てるときは、法律上の父を相手方とし、当該父の調停出席が必要となります。
  7. (注7)手続にかかる期間は、事案により異なりますが、法務局が聴取した過去の例では、おおむね1月ないし3月程度です。

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事例2
法律上の父を関与させない方法で解決したケース

法務省担当者からのメッセージ

元の夫からDVを受けていた方は、元の夫に現住所を知られてしまうのではないかと裁判手続を躊躇されることが少なくありません。このような場合にも裁判所において事案に応じた措置が講じられていますので、まずは、お気軽に、法務局や法テラスに御相談ください。

父子・婚姻関係

花子は、元の夫(大介)との離婚後300日以内に子(松子)を出産。松子の法律上の父は、大介。松子の血縁上の父は、次郎。

経過

花子は、元の夫(大介)からDVを受けていたため、大介に現住所を知られることを極度に恐れており、血縁上の父(次郎)の協力を得て裁判手続(注1)を行いたいとの意向を持っていました。

花子は、まず、法テラスでの弁護士による法律相談を受けることとしましたが、花子の要望により法律相談には法務局職員が同行(注2)しました。

花子は、法律相談の結果、法テラスにおける民事法律扶助制度の代理援助(注3)を利用することとし、弁護士(注4)に強制認知の手続の代理を依頼し、大介の関与なく手続を進めることができる証拠を収集し、裁判所にも説明(注5)したようです。

その後、次郎を相手方とする強制認知の審判が確定し、次郎を父とする出生届及び認知届がされ、無戸籍が解消しました。

  1. (注1)離婚後300日以内に出生した子は、原則として、離婚前の夫の子と推定されます。この推定を排除する方法として、嫡出否認、強制認知又は親子関係不存在確認の手続があります。もっとも、強制認知及び親子関係不存在確認の手続は、夫婦の別居など子の懐胎時に婚姻の実態がない場合に限られます。なお、早産など離婚後に懐胎したことについての医師の証明書がある場合には、離婚前の夫を父としない出生届の提出をすることができます。
  2. (注2)新たな関係機関への連絡や相談は、思った以上に相談者の精神的負担が大きいと言われており、相談者の要望により法務局職員が連絡し、同席する場合があります。
    なお、同席の可否は、法律相談を実施する担当弁護士の判断によります。
  3. (注3)法テラスが弁護士費用を立て替えるものです。また、弁護士費用に加えてDNA鑑定費用等の裁判手続に必要な費用等も立て替えることがあります。利用には、資力が一定以下であるなどの要件があります。立替金の返済(無利息)は分割して行っていただきます。生活保護を受給している場合には、返済が猶予又は免除される場合があります。
  4. (注4)裁判手続は、本人のみですることもできますが、弁護士に代理を依頼することもできます。なお、弁護士費用及びDNA鑑定費用の立替えについては、(注3)参照。
  5. (注5)調停手続においては、当事者間に合意が成立することが必要になりますので、元の夫が当事者となる親子関係不存在確認の調停手続においては、元の夫の調停出席が必要となります。他方、強制認知の調停手続においては、子又は母と血縁上の父が当事者となり、元の夫は当事者ではないため、元の夫の調停出席が必要となるわけではありません。もっとも、家庭裁判所が、嫡出推定が及ばない事情があるか否かを審理するため等に必要と考えれば、元の夫に手続への関与を求めることがあり得ます。

また、裁判所の構内で暴力を振るわれるおそれや、現住所が知られることにより生命や身体に危害が加えられるおそれがあると認められる場合などには、調停期日において当事者双方が顔を合わせないように配慮したり、申立書に現住所を記載することを厳格には求めない取扱いをしたりするなど、裁判所において事案に応じた措置が講じられています。このような特別の事情がある場合には、裁判手続の申立ての際に裁判所に申し出る必要があります。なお、御自身が提出する書類に、現住所等、相手方に知られたくない情報の記載がないように注意していただく必要があります。

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事例3
親子関係不存在確認の調停は不調となったが、強制認知の手続により解決できたケース

法務省担当者からのメッセージ

自ら調停手続の申立てをしたものの、思うような結果が得られなかったという場合もあります。そのような場合にも、弁護士に代理を依頼した上で、実情に応じた裁判手続を利用することができますので、まずは、お気軽に、法務局や法テラスに御相談ください。

父子・婚姻関係

花子は、元の夫(大介)との婚姻中に子(松子)を出産。松子の法律上の父は、大介。松子の血縁上の父は、次郎。

経過

花子は、法務局に相談する前に親子関係不存在確認の調停手続の申立てをしたことがありましたが、相手方である法律上の父(大介)が出席せず、不成立となりました。

花子は、花子の母や次郎とともに法務局に何度か相談に訪れ、法テラスにおける民事法律扶助制度のことを知りました。そこで、法テラスで弁護士による法律相談を受けた上、法テラスにおける民事法律扶助制度の代理援助(注1)を利用することとし、弁護士(注2)に強制認知の手続(注3)の代理を依頼することとなりました。

その後、次郎を相手方とする強制認知の審判が確定し、次郎を父とする出生届及び認知届がされ、無戸籍が解消しました。

  1. (注1)法テラスが弁護士費用を立て替えるものです。また、弁護士費用に加えてDNA鑑定費用等の裁判手続に必要な費用等も立て替えることがあります。利用には、資力が一定以下であるなどの要件があります。立替金の返済(無利息)は分割して行っていただきます。生活保護を受給している場合には、返済が猶予又は免除される場合があります。
  2. (注2)裁判手続は、本人のみですることもできますが、弁護士に代理を依頼することもできます。なお、弁護士費用及びDNA鑑定費用の立替えについては、(注1)参照。
  3. (注3)婚姻後200日以降に出生した子は、原則として、夫の子と推定されます。この推定を排除する方法として、嫡出否認、強制認知又は親子関係不存在確認の手続があります。もっとも、強制認知及び親子関係不存在確認の手続は、夫婦の別居など子の懐胎時に婚姻の実態がない場合に限られます。

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事例4
子の出生前から法務局に相談し、強制認知の手続により解決できたケース

法務省担当者からのメッセージ

子の血縁上の父と法律上の父が異なることを子の出産前に知り、悩んでいる方は少なくありません。早期の相談は早期解決につながる可能性があるので、そのような方は、まずは、お気軽に、法務局に御相談ください。

父子・婚姻関係

花子は、元の夫(大介)との離婚後300日以内に子(松子)を出産。松子の法律上の父は、大介。松子の血縁上の父は、次郎。

経過

花子は、子(松子)の出生前から法務局に相談し、強制認知の調停手続(注)の申立てをすることとした。

松子の出生後、次郎を相手方とする強制認知の調停を申し立て、審判が確定し、次郎を父とする出生届及び認知届がされ、無戸籍が解消しました。

  1. (注)離婚後300日以内に出生した子は、原則として、離婚前の夫の子と推定されます。この推定を排除する方法として、嫡出否認、強制認知又は親子関係不存在確認の手続があります。もっとも、強制認知及び親子関係不存在確認の手続は、夫婦の別居など子の懐胎時に婚姻の実態がない場合に限られます。なお、早産など離婚後に懐胎したことについての医師の証明書がある場合には、離婚前の夫を父としない出生届の提出をすることができます。

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事例5
調停手続の申立てをしようとして断念したが、民事法律扶助制度を利用して強制認知の手続により解決できたケース

法務省担当者からのメッセージ

自ら調停手続の申立てをしようしたが、断念する場合もあります。そのような場合にも、実情に応じた裁判手続を利用することができますので、まずは、お気軽に、法務局や法テラスに御相談ください。

父子・婚姻関係

花子は、元の夫(大介)と離婚後300日以内に子(太郞)を出産。太郞の法律上の父は、大介。太郞の血縁上の父は、次郎。花子は、太郞の出生後、次郎と再婚。

経過

花子は、法務局に相談する前に親子関係不存在確認の調停手続の申立てをしようとしたことがありましたが、相手方である法律上の父(大介)が行方不明であり断念していました(注1)。

今回、花子は、法務局で何度か相談した結果、法テラスにおける民事法律扶助制度のことを知りました。そこで、法テラスで弁護士による法律相談を受けた上、法テラスにおける民事法律扶助制度の代理援助(注2)を利用することとし、弁護士(注3)に強制認知の手続(注4)の代理を依頼することとなりました。なお、花子が弁護士に相談する際には、法務局職員も同行(注5)しました。

その後、次郎を相手方とする強制認知の審判が確定し、次郎を父とする出生届及び認知届がされ、無戸籍が解消しました。

  1. (注1)子が親子関係不存在確認の調停手続を申し立てるときは、法律上の父を相手方とし、当該父の調停出席が必要となります。
  2. (注2)法テラスが裁判手続に必要な弁護士費用を立て替えるものです。また、弁護士費用に加えてDNA鑑定費用等の裁判手続に必要な費用等も立て替えることがあります。利用には、資力が一定以下であるなどの要件があります。立替金の返済(無利息)は分割して行っていただきます。生活保護を受給している場合には、返済が猶予又は免除される場合があります。
  3. (注3)裁判手続は、本人のみですることもできますが、弁護士に代理を依頼することもできます。なお、弁護士費用及びDNA鑑定費用の立替えについては、(注2)参照。
  4. (注4)離婚後300日以内に出生した子は、原則として、離婚前の夫の子と推定されます。この推定を排除する方法として、嫡出否認、強制認知又は親子関係不存在確認の手続があります。もっとも、強制認知及び親子関係不存在確認の手続は、夫婦の別居など子の懐胎時に婚姻の実態がない場合に限られます。なお、早産など離婚後に懐胎したことについての医師の証明書がある場合には、離婚前の夫を父としない出生届の提出をすることができます。
  5. (注5)新たな関係機関への連絡や相談は、思った以上に相談者の精神的負担が大きいと言われており、相談者の要望により法務局職員が連絡し、同席する場合があります。
    なお、同席の可否は、法律相談を実施する担当弁護士の判断によります。

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事例6
長年戸籍に記載されていなかったが、出生当時に助産師が作成した出生証明書が残っていたため、出生事項記載申出の手続により解決できたケース

法務省担当者からのメッセージ

出生届出がされなかったことにより、長年戸籍に記載されていなかった方でも、出生証明書や母子健康手帳などの資料が残っており、母子関係が明らかであることが確認できる場合には、裁判手続を行うことなく、戸籍に記載される場合がありますので、まずは、お気軽に、法務局に御相談ください。

父子・婚姻関係

花子が子(太郎)を出産。父子関係や婚姻状況は不明。

経過

太郎は、母である花子が出生届出をしなかったことにより、60年以上戸籍がない状態でした。

太郎が通院している病院のソーシャルワーカーを通じて、市区町村及び法務局に相談があり、太郎や太郎の兄に事情を確認したところ、母(花子)は既に死亡しているが、太郎が出生した際に助産師が作成した出生証明書が保管されていることが判明したため、市区町村に、出生証明書を添付して出生事項記載申出(注)を行うよう案内しました。

その後、太郎から市区町村に出生事項記載申出が行われ、無戸籍が解消しました。

(注)出生事項記載申出は、無戸籍の方本人を含め、出生届の届出義務者(父母等)ではない方が、市区町村長に対し、無戸籍の方が出生した事実を戸籍に記載をするよう申し出るための手続です、
申出を受けた市区町村は、法務局に対して戸籍に記載を行うための許可を求め、法務局において母子関係を認定することができる場合は、裁判手続によることなく戸籍に記載されることとなります。
法務局では、無戸籍の方から出生証明書や母子健康手帳など、母子関係があることを証する書面の提出を受けるとともに、無戸籍者の方や関係者から聴き取りを行うなどの調査を行い、その結果、母子関係の認定をすることができると判断された場合には、市区町村に対し、戸籍に記載するための許可を行います。
なお、法務局において母子関係の認定をすることができない場合には、就籍許可の裁判手続を行う必要があります。

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事例7
長年戸籍に記載されていなかったが、就籍許可の裁判手続により解決できたケース

法務省担当者からのメッセージ

出生届出がされなかったことにより、長年戸籍に記載されていなかった方について、出生証明書や母子健康手帳などの資料が残っていない場合でも、家庭裁判所の許可により、戸籍に記載される場合がありますので、まずは、お気軽に、法務局に御相談ください。

父子・婚姻関係

子(太郎)は、乳児の時に置き去りにされたため、父母は不明。

経過

太郎は、乳児の時に置き去りにされたため、70年以上戸籍がない状態でした。

太郎に戸籍がないことが判明したため、市区町村の戸籍担当者等が太郎の自宅を訪問し、就籍の裁判手続(注)について説明を行いました。

その後、太郎は家庭裁判所に就籍許可審判の申立てを行い、3か月後、家庭裁判所の許可が得られたため、出生届を行い、無戸籍が解消しました。

(注)就籍許可の裁判手続は、家庭裁判所の許可により、本籍を有しない者について本籍を設け、戸籍に記載するための手続です。相手方はなく、調停を経る必要もありません。
家庭裁判所は、その審理において、無戸籍の方が日本国籍を有しており、かつ、戸籍法第110条第1項に規定する「本籍を有しない者」(「本籍の有無が不明である場合」を含む。)と認められれば、就籍許可の審判を行います。一般的には、通称を戸籍上の氏名として就籍許可の審判が行われます。
就籍許可の審判を経た上で、無戸籍の方が、市区町村の戸籍窓口に就籍届書及び審判書の謄本を提出していただくことによって、無戸籍の方の新戸籍が編製されます。

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事例8
嫡出否認の手続により解決できたケース

法務省担当者からのメッセージ

元夫が裁判手続に協力的な場合には、嫡出否認により、父を空欄とする出生届を提出できる場合があります。まずは、法務局や法テラスに御相談ください。

父子・婚姻関係

花子は、元の夫(大介)との離婚後300日以内に子(松子)を出産。松子の法律上の父は、大介。松子の血縁上の父は、次郎。

経過

花子は、子(松子)の法律上の父が元の夫(大介)になり(注1)、戸籍に記載されることを知り、出生届を提出していませんでした。

花子は、市役所の担当者から、法務局に無戸籍の相談窓口があることを教えてもらい、法務局に相談し、協力的な大介に嫡出否認調停(注2)の申立てを行ってもらうよう助言されました。

その後、花子は、大介に嫡出否認手続について相談した結果、大介が嫡出否認調停の申立てを行い(注3)、嫡出否認の審判の確定後(注4)、松子について、父を空欄とする出生届が提出され、無戸籍が解消しました。

  1. (注1)離婚後300日以内に出生した子は、原則として、離婚前の夫の子と推定されます。この推定を排除する方法として、嫡出否認、強制認知又は親子関係不存在確認の手続があります。もっとも、強制認知及び親子関係不存在確認の手続は、夫婦の別居など子の懐胎時に婚姻の実態がない場合に限られます。なお、離婚後に懐胎をしたが、早産などで子の出生が離婚後300日以内であった場合、離婚後に懐胎したことについての医師の証明書があるときは、離婚前の夫を父としない出生届の提出をすることができます。
  2. (注2)令和4年改正前の民法においては、嫡出否認の調停手続は、子の父として推定される者(法律上の父)が、子又は親権を行使する母を相手方とする必要があることから、当該父からの申立てが必要でしたが、令和4年改正後の民法においては、子及び母も申立てを行うことができます。
  3. (注3)裁判手続は、本人のみですることもできますが、弁護士に代理を依頼することもできます。
  4. (注4)手続にかかる期間は、事案により異なりますが、法務局が聴取した過去の例では、おおむね1月ないし3月程度です。

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事例9
医師の懐胎時期証明書により、再婚後の父の子として出生届を提出できたケース(令和4年改正民法施行前の事例)

法務省担当者からのメッセージ

医師の懐胎時期証明書があれば、再婚後の父母の子として出生届を提出することができる場合があります。まずは、法務局に御相談ください。
※この事例は、令和4年改正民法施行前の事例です。令和4年改正民法施行(令和6年4月1日)後は、懐胎証明書がなくとも、再婚後の夫を父として届出を行うことができる場合があります。詳しくは「民法等の一部を改正する法律について」別ウィンドウで開くをご覧ください。

父子・婚姻関係

花子は、元の夫(大介)との離婚後300日以内に子(松子)を出産。松子の法律上の父は、大介。松子の血縁上の父は、次郎。松子の出生は、花子が次郎と再婚してから200日以内。

経過

花子は、子(松子)の法律上の父が元の夫(大介)となり、戸籍に記載されることを知り、出生届を提出していませんでした。花子は、大介を父と記載しない出生届を提出するために必要な裁判手続(注1)等について、市役所から説明を受けました。

その後、花子は、医師が作成した懐胎時期に関する証明書(注2)を取得し、これが添付された花子と次郎の嫡出子とする出生届が提出され(注3)、無戸籍が解消しました。

  1. (注1)離婚後300日以内に出生した子は、原則として、離婚前の夫の子と推定されます。この推定を排除する方法として、嫡出否認、強制認知又は親子関係不存在確認の手続があります。もっとも、強制認知及び親子関係不存在確認の手続は、夫婦の別居など子の懐胎時に婚姻の実態がない場合に限られます。
  2. (注2)離婚後に懐胎をしたが、早産などで子の出生が離婚後300日以内であった場合、離婚後に懐胎したことについての医師の証明書があるときは、離婚前の夫を父としない出生届の提出をすることができます(詳しくは「婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子の出生の届出の取扱いにつ いて」別ウィンドウで開く参照)。
  3. (注3)離婚後300日以内に出生した子であっても、子が実父母の再婚後200日以内に出生しており、(注2)の方法で出生届をする場合には、実父母の嫡出子として出生届を提出することができます。

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事例10
医師の懐胎時期証明書により、父を空欄として出生届を提出できたケース

法務省担当者からのメッセージ

医師の懐胎時期証明書があれば、父を空欄とする出生届を提出できる場合があります。まずは、法務局に御相談ください。

父子・婚姻関係

花子は、元の夫(大介)との離婚後300日以内に子(松子)を出産。松子の法律上の父は、大介。松子の血縁上の父は、次郎。

経過

花子は、子(松子)の法律上の父が大介となり、戸籍に記載されることを知り、大介からDVを受けていたことから、出生届を提出していませんでした。花子は、市役所に相談し、大介を父と記載しない出生届を提出するために必要な裁判手続(注1)や医師が作成した懐胎時期に関する証明書(注2)を提出して出生届を提出することについて説明を受けました。

その後、花子は、法務局にも相談し、手続について再度説明を受け、裁判手続を経ることなく、妊娠初期に通院していた病院で、医師が作成した懐胎時期に関する証明書を取得し、これが添付された、父を空欄とする出生届が提出され、無戸籍が解消しました。

  1. (注1)離婚後300日以内に出生した子は、原則として、離婚前の夫の子と推定されます。この推定を排除する方法として、嫡出否認、強制認知又は親子関係不存在確認の手続があります。もっとも、強制認知及び親子関係不存在確認の手続は、夫婦の別居など子の懐胎時に婚姻の実態がない場合に限られます。
  2. (注2)離婚後に懐胎をしたが、早産などで子の出生が離婚後300日以内であった場合、離婚後に懐胎したことについての医師の証明書があるときは、離婚前の夫を父としない出生届の提出をすることができます(詳しくは「婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子の出生の届出の取扱いにつ いて」別ウィンドウで開く参照)。

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