第1節 就労の確保等
(1)協力雇用主等に対する情報提供【施策番号10】
法務省は、コレワーク(【施策番号5イ】参照)において、企業等に対して刑務所出所者等の雇用に関する情報の発信を行っている。また、厚生労働省と連携し、刑務所出所者等の就労支援に係る各種制度を紹介するパンフレットを作成し、協力雇用主等に配布して更なる理解促進に努めている。
保護観察所において、協力雇用主を対象とした研修等を実施し、協力雇用主として承知しておくべき基本的事項や雇用管理上の留意すべき事項について情報提供を行っている。研修においては、雇用事例の提供等を通して、実際に刑務所出所者等を雇用する上でのノウハウや活用できる支援制度、危機場面での対処法等について、協力雇用主が相互に情報交換を行っている。
また、協力雇用主が刑務所出所者等を雇用する上で必要な個人情報については、保護観察所において、当該刑務所出所者等に対し、雇用主への情報提供の必要性を説明し、理解や同意を得た上で提供している。
(2)協力雇用主の不安・負担の軽減【施策番号11】
法務省は、2006年度(平成18年度)から、刑務所出所者等が雇用主に業務上の損害を与えた場合等に見舞金が支払われる身元保証制度(資2-11-1参照)を導入し、2014年度(平成26年度)から更生保護就労支援事業(【施策番号5ウ】参照)を実施している。また、2015年度(平成27年度)から刑務所出所者等を雇用して指導に当たる協力雇用主に対して、年間最大72万円を支給する刑務所出所者等就労奨励金制度(資2-11-2参照)を導入するとともに、協力雇用主等に対して矯正施設までの旅費支給を実施するなどし、協力雇用主の不安や負担の軽減を図っている。2019年度(令和元年度)は、身元保証を2,082件、刑務所出所者等就労奨励金の支給を3,779件実施した。
加えて、2018年度(平成30年度)には、企業がコレワーク(【施策番号5イ】参照)に無料で電話相談ができる無料通話回線や、ウェブサイト上から簡便に問い合わせができるフォームを設置したほか、コレワークに刑務所出所者等の雇用について豊富な知見を持つ雇用支援アドバイザーを招へいして就労支援に係る相談会を実施するなど、刑務所出所者等を雇用する企業の不安、負担の軽減と継続的な支援に努めている。
また、2018年度に実施した協力雇用主に対するアンケート調査(【施策番号4】参照)の結果等を踏まえて、保護観察所では、協力雇用主に対し、各種支援制度について丁寧に説明するとともに、相談等に乗ることで不安の軽減を図るよう努めている。
(3)住居を確保できない者を雇用しようとする協力雇用主に対する支援【施策番号12】
法務省は、身元保証制度(【施策番号11】参照)により、刑務所出所者等が負担する住宅関連費用を事業主が立て替えたまま返済されず未回収となった場合、当該事業主に一部見舞金を支給するなどの支援を行っている。
また、2018年度(平成30年度)に実施したアンケート調査(【施策番号4】参照)では、刑務所出所者等を雇用したことのある協力雇用主のおよそ5割が、雇用した刑務所出所者等のために住居を準備したことがあった。さらに、刑務所出所者等を雇用したことのある協力雇用主のおよそ2割が連帯保証人になったことがあり、そのうちおよそ4割が連帯保証人として、弁済をしたことがあると回答しており、保護観察所としては、住居を確保できない者を含めた刑務所出所者等を雇用する協力雇用主の経済的な不安や負担の軽減を図るため、身元保証制度や刑務所出所者等就労奨励金制度などについて丁寧に説明するとともに、活用促進を図っている。
(4)協力雇用主に関する情報の適切な共有【施策番号13】
法務省及び厚生労働省は、各府省における協力雇用主に対する支援の円滑かつ適切な実施に資するよう、2018年度(平成30年度)に協力雇用主募集のパンフレット(【施策番号7】参照)の内容の見直しを行い、同パンフレットを関係省庁に配布した上で、積極的な活用を依頼したほか、2019年度(令和元年度)は、協力雇用主募集ポスター(資2-13-1参照)を作成し、各府省に配布した上で、積極的な広報を依頼した。
また、協力雇用主に関する情報を法務省ウェブサイトに掲載し、随時更新や見直しを行っている。