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第1節 特性に応じた効果的な指導の実施等

9 犯罪被害者等の視点を取り入れた指導等【施策番号86】

 法務省は、刑事施設において、特別改善指導(【施策番号12】参照)として被害者の視点を取り入れた教育(資5-86-1参照)を実施し、罪の大きさや犯罪被害者等の心情等を認識させるとともに、犯罪被害者等に誠意をもって対応するための方法を考えさせるなどしており、2019年度(令和元年度)の受講開始人員は696人であった。

資5-86-1 刑事施設における被害者の視点を取り入れた教育の概要
資5-86-1 刑事施設における被害者の視点を取り入れた教育の概要

 少年院において、全在院者に対し、犯罪被害者等の心情等を理解し、罪障感及び慰謝の気持ちをかん養するための被害者心情理解指導を実施している。また、特に被害者を死亡させ、又は被害者の心身に重大な影響を与えた事件を起こし、犯罪被害者や遺族に対する謝罪等について考える必要がある者に対しては、特定生活指導として、被害者の視点を取り入れた教育を実施しており、2019年は、83名が修了した。これらの指導の結果は、継続的な指導の実施に向け、更生保護官署に引き継いでいる。

 保護観察所において、2007年(平成19年)12月から、犯罪被害者等の申出に応じ、犯罪被害者等から被害に関する心情、犯罪被害者等の置かれている状況等を聴取し、保護観察対象者に伝達する制度(心情等伝達制度)を実施しており、当該対象者に対して、被害の実情を直視させ、反省や悔悟の情を深めさせるような指導監督を徹底している。2019年中に、心情等を伝達した件数は158件であった。また、被害者を死亡させ、又は重大な傷害を負わせた保護観察対象者に対し、しょく罪指導プログラム(資5-86-2参照)による処遇を行うとともに、犯罪被害者等の意向にも配慮して、誠実に慰謝等の措置に努めるよう指導している。2019年において、しょく罪指導プログラムの実施が終了した人員は334人であった。

資5-86-2 保護観察所におけるしょく罪指導プログラムの概要
資5-86-2 保護観察所におけるしょく罪指導プログラムの概要

 さらに、2013年(平成25年)4月から、一定の条件に該当する保護観察対象者を日本司法支援センター(法テラス)※18に紹介し、法テラスにおいて被害弁償等を行うための法律相談を受けさせ、又は弁護士、司法書士等を利用して犯罪被害者等との示談交渉を行うなどの法的支援を受けさせており、保護観察対象者が、犯罪被害者等の意向に配慮しながら、被害弁償等を実行するよう指導・助言を行っている。

  1. ※18 日本司法支援センタ-(法テラス)
    日本司法支援センター(通称:「法テラス」)は、国により設立された、法による紛争解決に必要な情報やサービスを提供する公的な法人。