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第1節 地方公共団体との連携強化等

3 地方公共団体との連携の強化

(1)犯罪をした者等の支援等に必要な情報の提供【施策番号109】

 法務省は、「再犯防止推進計画加速化プラン」(2019年(令和元年)12月23日犯罪対策閣僚会議決定)等も踏まえ、地方公共団体が犯罪をした者等の支援を円滑に実施できるよう、矯正施設及び保護観察所において、地方公共団体の求めに応じて、当該団体が犯罪をした者等の支援等を行うために必要な情報について、個人情報等の適切な取扱いに十分配慮しつつ、適切に提供している。

 例えば、大阪府や福岡県においては、地域住民を性被害から守ること等を趣旨とした条例を制定した上で、性犯罪者に対する社会復帰支援等を行うことにより再犯防止の取組が進められており、法務省としても、刑事施設による出所者情報の提供を始めとする必要な協力を行っている。

 今後、法務省は、2020年(令和2年)6月に、性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議において取りまとめた「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」(【第1章第1節】参照)も踏まえ、地方公共団体による再犯防止の取組が一層効果的なものとなるよう、情報提供の前提となる必要な体制について整理し、地方公共団体へ周知を図るとともに、必要な体制等が整った地方公共団体への必要な情報提供を更に進めていくこととしている。

(2)犯罪をした者等の支援に関する知見等の提供・共有【施策番号110】

 法務省は、2018年度(平成30年度)以降、毎年、再犯防止の取組における国及び市町村間のネットワークの構築等を目的として、市町村再犯防止等推進会議を開催するとともに、都道府県の施策担当者を対象に、再犯防止の取組等の情報共有を目的とした都道府県再犯防止等推進会議(写真7-110-1参照)を開催している。これらの会議に加え、再犯防止シンポジウム(【施策番号101】参照)を開催し、犯罪をした者等に対する指導や支援に関する知見等の提供や共有を行っている。

写真7-110-1 都道府県再犯防止等推進会議の様子
写真7-110-1 都道府県再犯防止等推進会議の様子

 また、職員を地方公共団体、司法関係団体等が開催する研修やシンポジウム等に講師として派遣し、地方公共団体の職員や犯罪をした者等の支援関係者等に対して、法務省における取組や支援に関する知見等を提供している。

 なお、法務総合研究所において、毎年、犯罪白書や研究部報告として、犯罪をした者等に関する調査研究等の成果を取りまとめ、公表している(【施策番号4787100】参照)。

(3)国・地方協働による施策の推進【施策番号111】

 法務省は、国と地方公共団体が連携して施策の推進を図るため、地域再犯防止推進モデル事業を実施している(【施策番号105】参照)。また、国と地方公共団体において、総合的かつ効果的な再犯防止施策の実施を推進するため、再犯防止啓発月間である7月に合わせて再犯防止広報・啓発ポスター等を作成し、2017年(平成29年)以降、全国の都道府県警察本部、都道府県及び市町村等に送付の上、ポスター掲示等による広報・啓発活動への協力を依頼している。

 また、市町村における再犯の防止等に関する取組として、2018年(平成30年)6月、矯正施設所在自治体会議の趣旨に賛同し、設立発起人となった29の市町の首長を構成員とする矯正施設所在自治体会議設立発起人会議が開催され、2019年(令和元年)6月には、90の市町村の首長を会員として、矯正施設所在自治体会議の設立総会が開催された(2020年(令和2年)4月時点で98の市町村が参加)(【特集第3節】参照)。

(4)国の施策に対する理解・協力の促進【施策番号112】

 法務省は、2018年度(平成30年度)以降、毎年、市町村再犯防止等推進会議や都道府県再犯防止等推進会議(【施策番号110】参照)、再犯防止シンポジウム(【施策番号101】参照)を開催し、国の施策について地方公共団体に周知を図り、必要な協力が得られるよう働き掛けを行っている。

 また、関係府省庁や地方公共団体等と連携を図りつつ再犯防止施策を推進するため、法務省は、省内及び地方機関に当該業務を担当する組織等の設置を進めている。具体的には、2018年度に、大臣官房秘書課に企画再犯防止推進室を、保護局に地域連携・社会復帰支援室を設置するとともに、地域の関係機関や地方公共団体との窓口として、東京矯正管区及び大阪矯正管区に更生支援企画課を設置し地域連携スタッフを配置したほか、全国8庁の保護観察所に保護観察所次長を配置した。また、2019年度(令和元年度)には、東京及び大阪以外の各矯正管区(6庁)にも更生支援企画課を設置し、近畿地方更生保護委員会に事務局次長を配置するとともに、2020年度(令和2年度)には、矯正局に更生支援管理官を設置した。

 警察庁は都道府県警察に対し、文部科学省は各都道府県・指定都市教育委員会等に対し、厚生労働省は各都道府県等の民生主管部局や各都道府県労働局に対し、それぞれ文書や会議等を通じて、再犯防止推進計画について周知するとともに、計画に基づく施策の実施について協力等を依頼している。