再犯防止推進白書ロゴ

第3節 再犯の防止等に関する施策の動向を把握するための参考指標

5 地方公共団体との連携強化等関係

(1)地方再犯防止推進計画を策定している地方公共団体の数及びその割合【指標番号17】

指標番号17 地方再犯防止推進計画を策定している地方公共団体の数及びその割合

 推進法第8条第1項に基づく地方再犯防止推進計画を策定している地方公共団体※4の数については、加速化プランにおいて、2021年度(令和3年度)末までに100以上にするとの成果目標を設定しているところ、年々増加しており、2021年4月1日現在、都道府県が42団体、指定都市が16団体、その他の市町村(特別区を含む。)が130団体の合計188団体であり、当該目標を達成するに至った。

COLUMN1 矯正施設における新型コロナウイルス感染症への対応

法務省矯正局

 新型コロナウイルス感染症が全国各地で猛威を振るう中、2020年(令和2年)4月5日に大阪拘置所において刑務官1名の感染が判明しました。矯正施設は、限られた空間の中での集団処遇を実施しており、3つの密の条件が重複することなどから、施設内で感染症が発生した場合の感染拡大リスクが大きいことが特性としてあげられるところですが、その後も複数の矯正職員のほか、被収容者への感染が確認されたことを受け、同月13日、矯正施設の特性を踏まえた新型コロナウイルス感染症対策に係るガイドラインを作成するため、義家法務副大臣(当時)を座長とする「矯正施設感染防止タスクフォース」(以下「タスクフォース」という。)が設置されました。

 タスクフォースは、矯正施設での感染拡大を受け、一刻の猶予も許されない状況下で開催されました。座長である法務副大臣と現場施設の意見交換会や専門家からの様々な御助言・御指導等の結果がスピード感をもって積み重ねられ、同月27日、第3回タスクフォースにおいて「矯正施設における新型コロナウイルス感染症感染防止対策ガイドライン」(以下「ガイドライン」という)が決定されました。

 これにより、各矯正施設では、新型コロナウイルスと感染症に関する基本的理解の促進が図られ、ガイドラインに基づいた適切な感染症対策が講じられました。具体的には、矯正施設での水際対策に重点を置いた職員のマスクの着用、手指消毒、手洗い、状況に応じた個人防護具の装着の徹底、三密の回避等の対策が講じられたほか、被収容者には布マスクの配布が進められました。加えて、建物設備における感染症対策として、庁内放送による一斉換気や、空気清浄機の活用、機械換気設備の更新など、矯正施設の構造や保安面を考慮し、工夫した換気対策が実施されました。被収容者の健康管理では、入所時から2週間は単独室における検温・健康観察等を行うほか、警察、検察庁等と連携を強化し、入所者の健康状態等の情報を漏れなく確認・収集するなど、矯正施設特有の感染リスクについても徹底した対策を行いました。

 また、各矯正施設では、感染者等が発生した場合を想定し、対応要領を具体的に定めたマニュアルやチェックリストを策定したほか、感染発生時のシミュレーション訓練、防護服・手袋等の脱着訓練、消毒・ゾーニング等の実技訓練を行い、今後も継続的に実施することとしています。

 さらに、法務省矯正局・各矯正管区・各矯正施設では、マスクや消毒剤等の感染防止のために確保すべき物品の保有状況を把握し、必要な物品が不足しないよう適切に管理を行っています。

 このほかの取組として、厚生労働省からの要請を受け、2020年5月から2021年(令和3年)3月末までの間に42の矯正施設において、約140万着のアイソレーションガウンを製作しました(【コラム12】参照。)。この取組は、矯正施設において最大規模の社会貢献作業※5であったことに加え、コロナ禍における社会貢献として大きな役割を担うものであり、同ガウンを納品した一部の自治体から所在する刑事施設に対し感謝状が贈呈されるなどしたことから、作業に従事した受刑者の意欲喚起にもつながり、再犯防止施策としても非常に効果的な取組となりました。

矯正施設における新型コロナウイルス感染症感染防止対策ガイドライン(法務省HPからhttps://www.moj.go.jp/content/001321399.pdf)
ガウンの縫製作業の様子
  1. ※4 地方再犯防止推進計画を策定している地方公共団体に関する最新の情報はこちら
    「地方再犯防止推進計画」(URL:https://www.moj.go.jp/hisho/saihanboushi/hisho04_00022.html地方再犯防止推進計画のqr
  2. ※5 社会貢献作業
    施策番号84】参照。