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特集2 京都コングレス

特集2 京都コングレス

 2021年(令和3年)3月7日から12日までの6日間、第14回国連犯罪防止刑事司法会議が国立京都国際会館で開催された。

 国連犯罪防止刑事司法会議、通称「コングレス」は、5年に1度開催される犯罪防止・刑事司法分野における国連最大の国際会議であり、同分野における各国の取組や国際協力の在り方について、各国の司法大臣、検事総長等を含む世界中の刑事司法関係者が議論を行い、成果文書として、国連及び加盟国の取組の中長期的な指針となる政治宣言を採択するものである。

 約50年ぶりに京都で開催された第14回会議(以下「京都コングレス」という。)は、当初、2020年(令和2年)4月20日から27日までの8日間の日程での開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、開催の約1か月前に延期することが決定され、2021年3月、コングレス史上初となる、オンライン参加と来場参加を組み合わせた、いわゆる「ハイブリッド方式」により開催された。

 京都コングレスは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、すなわち、SDGs※1が採択されてから初めてのコングレスであり、「2030アジェンダの達成に向けた犯罪防止、刑事司法及び法の支配の推進」を全体テーマとし、これまでと同様に、全体会合と委員会の2つの正式プログラムが実施された。

 全体会合では、全体テーマの下、①犯罪防止、②刑事司法(再犯防止施策)、③法の支配、④国際協力に関する4つの議題について議論がなされ、委員会では、上記4つの議題をそれぞれ掘り下げた4つのトピックについてのワークショップが実施された。

 その他、会場やオンラインで、約150の附属会合(コングレスにおける正式名称は「アンシラリーミーティング」である。以下、通称である「サイドイベント」という。)が実施された。

 そして、成果文書として採択されたのが「京都宣言」※2である。

 本特集では、京都コングレス開催の意義及び京都宣言の内容を確認した上で、京都コングレスにおいて実施された再犯防止に関する様々なイベント等を紹介し、最後に、再犯防止施策についての京都コングレスの成果と今後の展望についてまとめることとしたい。

  1. ※1 SDGs Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称。2015年(平成27年)9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年(令和12年)までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標をいう。17の目標、169のターゲットから構成され、地球上の誰一人取り残さない(Leave no one behind)ことをうたっている。
  2. ※2 京都宣言URL
    https://www.moj.go.jp/KYOTOCONGRESS2020/programme/meetings.html#kyoto_statement