CONTENTS

国際協力人材育成研修を実施しました!

法務総合研究所国際協力部では,2013年11月19日から29日までの間,国際協力人材育成研修を実施しました。


それって,どんな研修?

ここで言う国際協力とは,法務省がアジア諸国を中心とした開発途上国で行っている法整備支援のことです。法務省や検察庁の職員の中には,法整備支援に関心のある人がたくさんいて,将来,国際協力部で勤務して法整備支援の仕事をしたり,法整備支援の専門家として海外に派遣されることを希望している人もいます。ですが,法整備支援の仕事はとても専門性が高く,資料や文献を読むだけではなかなか具体的なイメージを持つことができません。そこで,百聞は一見にしかずということで,法整備支援に関心のある人たちに実際の現場を見てもらい,法整備支援に対する理解を一層深めてもらうために毎年実施しているのが,国際協力人材育成研修です。


誰が参加したの?

今回の研修では,検察庁から検事3名と検察事務官1名,法務省民事局から局付検事(裁判官出身)1名と法務事務官1名の合計6名の研修員が参加しました。全員,法整備支援の仕事に関心を持つ人たちばかりです。


どんなことをしたの?

まずは,大阪にある国際協力部で,2日間にわたり,法整備支援の歴史や仕組み,各国の支援状況などについての講義を実施し,その後,法整備支援の対象国の一つであるカンボジアを訪問しました。

国際協力部での講義の様子
国際協力部での講義の様子



現在,カンボジアでは,司法省・王立司法学院(裁判官と検察官の養成校)・弁護士会・王立法律経済大学という4つの機関を対象に法整備支援活動を実施しており,現地に長期派遣されている日本人の法律家が中心となって,毎週1回,それぞれの機関ごとにグループで民法・民事訴訟法の勉強会を行っています。今回の研修では,それらの勉強会を全て訪問し見学しました。いずれの訪問先でもカンボジア側のメンバーから歓待してもらい,研修員との間で簡単な意見交換会も開かれました。

意見交換会の様子
意見交換会の様子



また,今回の研修では,名古屋大学がカンボジアに設立した日本法教育研究センターを訪問し,日本語を専攻しているカンボジアの学生に対して,研修員が「日本の検事の役割」「法務省民事局の役割」について日本語で講義を行いました。研修員にとって,外国人を相手に講義をする初めての体験であり,学生側から鋭い質問が飛び出して研修員を慌てさせる一幕もありました。

研修員による講義の様子
研修員による講義の様子



さらに,今回の研修では,ポルポト派の幹部たちの刑事責任を問うための特別法廷(いわゆるクメール・ルージュ裁判)も訪問しました。当日は裁判が開かれていなかったため,裁判傍聴はできませんでしたが,特別法廷の裁判官や検事,事務局の方々と面談して,貴重なお話を聞くことができました。


研修の成果は?

帰国後,研修員からは,「百聞は一見にしかず。これまで漠然としたイメージしかなかった法整備支援について,やりがいや難しさも含めて,今回の研修で非常によく理解できた。」という感想が寄せられました。今回の研修員の中から,日本の法整備支援を担う人材が出ることを願ってやみません。

王立司法学院のメンバー(前列左端)とともに
王立司法学院のメンバー(前列左端)とともに


第33回全国中学生人権作文コンテストの表彰作品が決定しました!

●全国中学生人権作文コンテストとは?

法務省及び全国人権擁護委員連合会が,人権尊重思想の普及高揚を図るための啓発活動の一環として,次代を担う中学生が,人権問題について作文を書くことによって,人権尊重の重要性,必要性についての理解を深めるとともに,豊かな人権感覚を身に付けることを目的に,昭和56年度から実施している活動で,本年度で33回目を迎えました。


●第33回コンテストの概要

本年度の大会には,約6,900校,約94万名もの中学生から応募をいただき,応募者数としては過去最高を6年連続で更新することになりました。たくさんの御応募,ありがとうございました。

どの作品も,日常の家庭生活,学校生活の中で得た体験をもとに,基本的人権を守ることの重要性をまとめた作文であり,人権についての理解を深め,豊かな人権感覚を身に付けてもらうよい機会となりました。

全応募作品のうち,「子どもに関する問題」をテーマとする作文が応募総数全体の44.2%,「戦争・平和」に関する作文が11.5%,「障害のある人に関する問題」に関する作文が8.0%となっています。ここ数年,これらのテーマが高水準で推移し,中学生にとって身近な人権問題として意識されていることがうかがえます。

本年度は,各都道府県大会を経た代表作品94編が中央大会に推薦され,法務省で実施された中央大会審査会において,内閣総理大臣賞を始めとする各賞が選出されました。

主な入賞作品及び過去の作品については,法務省人権擁護局のホームページを御覧ください。



●内閣総理大臣賞 表彰式

昨年12月6日(金),仙台市内において,内閣総理大臣賞及び宮城県大会各賞の表彰式が行われました。

内閣総理大臣賞を受賞した宮城県・古川黎明中学校3年の大沼(おおぬま)逸美(いいみ)さんの作品「それでも僕は桃を買う」は,風評被害を受けている福島産の桃と,自らの差別体験とが重なり,相手を知ろうとする姿勢と思いやる想像力をもって偏見をもたない決意をしたという作品で,風評被害と外国人差別という2つの問題を結びつけた作品であることが高く評価されました。

表彰式では,仙台法務局長から,内閣総理大臣賞の表彰状とトロフィーの伝達が行われた後,大沼逸美さんから受賞作品の朗読をしていただきました。

会場に詰めかけた来場者は,大沼さんの力強く堂々とした朗読とその決意に深く感銘を受けていた様子でした。

内閣総理大臣賞を伝達する仙台法務局長と大沼さん
内閣総理大臣賞を伝達する
仙台法務局長(左)と大沼さん(右)

受賞作品朗読の様子
受賞作品朗読の様子


宮城県大会受賞者の皆さん
宮城県大会受賞者の皆さん