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児童ポルノ禁止法が改正されました!

平成26年6月18日,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律が成立し,同月25日に公布され,同年7月15日から施行されました。

ただし,自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持等を処罰する改正法7条1項の規定は,施行の日から1年間は適用されません。

どうして法律を改正したの?

傷つく少女の画像

児童買春,児童ポルノに係る行為は,児童の権利を著しく侵害するものです。そのような行為を処罰するとともに,その被害児童の保護のための措置等を定めることにより,児童の権利を擁護するため,平成11年に児童ポルノ禁止法が制定されました。その後,平成16年の改正により,その罰則が強化されるなどしました。

この改正から10年が経ち,その間,インターネットの発達によって児童ポルノに係る行為の被害に遭う児童が増え続けていることや,児童ポルノの単純所持罪を設けるべきとの国内の議論や国際社会の強い要請があることなどから,今回,改正が行われました。

児童ポルノの所持や製造に関してどのような改正がされたの?

児童ポルノの所持や製造に関して改正の主な内容は以下のとおりです。

○ 児童買春やみだりに児童ポルノを所持する行為等の禁止

腕でバツ印を表現する女性の画像

今回の法改正で,何人も,児童買春やみだりに児童ポルノを所持する行為等をしてはならないという規定が設けられました(法3条の2)。これは,このような行為が,児童の権利を著しく侵害するものであることから,これらの行為は許されるものではないことを理念として宣言したものです。

○ 自己の性的好奇心を満たす目的での所持罪

パソコンで児童ポルノを探す画像

自己の性的好奇心を満たす目的で,児童ポルノを所持等した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり,かつ,当該者であることが明らかに認められる者に限る。)を処罰する規定が設けられました。この罪を犯した者は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(法7条1項)。

○ 盗撮による児童ポルノ製造罪

女子更衣室を盗撮する画像

ひそかに児童ポルノに該当するような児童の姿態を写真等に描写することにより児童ポルノを製造する行為を処罰する規定が設けられました。この罪を犯した者は,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます(法7条5項)。

例えば,自分の子供の海水浴の際の水着姿の写真や,水着の写真が載っている小中学校時代の卒業アルバムについては,これを持っているだけで,法7条1項の所持罪で処罰されてしまうの?

まず,処罰の対象となる「児童ポルノ」であるかどうかが問題になりますが,質問にあるような写真であれば,通常,「殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているもの」とはいえず,また,「性欲を興奮させ又は刺激するもの」ともいえないと考えられます。

次に,法7条1項の所持罪で処罰されるのは,「自己の性的好奇心を満足させる目的」での所持であり,このような目的がなく,両親が,成長の記録や思い出として子供の写真を持っている場合や,思い出として卒業アルバムを持っている場合は,法7条1項の目的の要件を満たしません。

そうすると,質問にあるような写真やアルバムの所持については,法7条1項で処罰されることはありません。