記者が行く!
法の日フェスタ 第52回「法の日」週間記念行事
〜法を身近に感じてみよう〜 in赤れんが に密着!!
秋も深まり,朝晩はだいぶ肌寒く感じられる季節となりました。皆さん,体調など崩されていないでしょうか?
今回は,10月1日(土)に法務省・最高検察庁主催のもと,「法の日フェスタ」のイベントが開催されるということで,私も同行させていただくことになりました。その様子をリポートしたいと思います。
ところで,「法の日フェスタ」って何??
本イベントを企画したОさんに話を伺ってみました。
「10月1日は『法の日』です。法務省では,法を身近に感じてもらうために,中学生・高校生・大学生の方に,『法教育』の授業と法務史料展示室の見学などを行っています。「法の日」については,あかれんが第35号の「お答えします」で詳しく載せていますので,ぜひ見てくださいね。」
なるほど!では早速イベントを覗いてみましょう。
◆中学生
授業テーマ
「法」・「約束」って何だろう? 自分で決めたから自分で守る
日常生活での「約束」から法律上の「契約」についての授業が行われました。「法」「契約」というと,堅苦しく,とっつきにくいイメージがありますが,ここでは法務省の職員が,ゲームソフトの売買契約など身近な例に当てはめて,わかりやすく説明してくれます。 また事例問題では,参加者に法律に照らし合わせながら意見を述べてもらい,考えを深めていました。
途中,参加者に店員役とお客さん役を演じてもらう1コマもあり,笑いも起こりました。

◆高校生・大学生
授業テーマ
罪を犯したら 〜事件発生から犯人の更生まで〜
刑事事件が発生し,検察による捜査・処分や裁判が行われる手続から,刑事施設への収容,社会で更生するまでの一連の手続を,法務省の職員がスライドを用いて説明しました。
説明後は活発な質疑応答が行われ,皆さんの熱意が感じられました。

◆見学
中学生,高校生・大学生に分かれて,授業の前後に,法務省内の見学をしました。
まずは,赤れんが棟にある,法務史料展示室・メッセージギャラリーを見学です。ここでは,「司法の近代化」と「建築の近代化」に関する史料,新たな司法制度に関する広報・啓発に関する資料等を展示しています。参加者は担当職員による説明を聞きながら,法務行政に関する歴史史料を興味深そうに見ていました。


次に,あまり知られていませんが,法務省の敷地内に,名奉行と言われた大岡越前守屋敷跡の碑があり,3個の庭石と二基の石灯籠が置かれております。現在の弁護士会館(検察庁旧庁舎)の場所には,大岡越前守の屋敷があったそうで,旧司法省建設の際に,その屋敷跡から移転されたと伝えられています。
法務省の敷地内にそのようなものがあったとは驚きですね!
最後に,法務大臣室と記者会見室も見学しました。
皆さん,普段入れない大臣室に入ることができ,歓声を上げていました。
記者会見室では,大臣になったつもりで演台に立ち,写真を撮っています。この中から未来の法務大臣が誕生するかも!?


参加者からは,「身近なことを題材(例)にしていて分かりやすかった」(中学生),「現場で働いている人の話を直接聞く機会はないので有意義でした」「普段何気なくニュースなどで聞いていたことを詳しく聞けたので,法律や司法が身近になりました」(高校生) という感想をいただきました。
本イベントのねらいである,社会における「法」の役割や重要性について考えていただくきっかけになったようです。
私も同行していて,個人と社会が関わっていく中での「法」の役割について改めて認識することができました。また,本イベントは,日本の将来を担う学生達にとって「法」について考える場となる意義あるものと感じました。参加された皆さん,お疲れ様でした!
次回もお楽しみに!
現場から
職業訓練で「法務省赤れんが棟」を製作
〜訓練を通じて受刑者が感じ取った充実感・達成感〜
川越少年刑務所
◆ 川越少年刑務所の職業訓練
現在,川越少年刑務所においては,総合職業訓練施設として,受刑者の改善更生と社会復帰に役立つよう,多数の職業訓練を総合的,かつ組織的に実施し,社会一般の職業訓練に劣らぬ内容を展開し,知識・技能の付与にとどまらず,人格をつくるという言葉に相応しい訓練の実施に努めているところです。
◆ 川越少年刑務所における建築科職業訓練の実施
建築科職業訓練は,建築模型製作を通して建築に関する基本的知識(専門用語,図面の書き方,建物の構造等)を学び,建築に興味を持たせることで勤労意欲を高め,模型が完成したときの達成感と自信を与え,社会復帰後に安定した社会生活を送るための一歩となる訓練になることを目的に,訓練期間中に訓練生の能力に応じた課題を与え,完成した作品を展示することで自信と誇りを与えています。


◆ 職業訓練を通じた「法務省赤れんが棟」の製作から公の場への展示
法務省の赤れんが棟の3階展示準備室に,この赤れんが棟の模型が展示されているのを御存じですか。この作品は,上記の建築科職業訓練で製作したものです。
今回,本訓練において,赤れんが棟を製作するに至った経緯を御紹介しますと,日ごろは,一般的な構造の建造物が中心として課題に取り組ませていますが,訓練期間中の特別な課題作品として難易度の高い建築物を探していたところ,建築模型でなければ表現できない屋根や列柱等特別な建築工法である法務省の「赤れんが棟」に目をつけ挑戦しました。製作開始当時は,訓練生も果たして自分たちにできるのだろうか,何から始めればよいのかといった不安を隠せない様子でした。
特に,複雑に重なっている部分や勾配の寸法は理論上の計算だけでは製作することができず,組立て段階で微調整を繰り返しながら,訓練生全員が参加して意見を出し合い,様々な工夫を凝らしての作業でありました。
やがて,製作工程も完成に近づくにつれ,訓練生自ら「こうしたらどうですか?」等の積極的な意見が出てくるようになり,当初の計画よりも細かな部分まで手を加えた完成度の高い作品に仕上がりました。
法務省の赤れんが棟に展示される前は,第52回全国矯正展や川越矯正展にも展示し,大勢の方々から「完成度が高い,すばらしい技術力だ」などの称賛を受けました。


◆ 赤れんが棟製作を通じた充実感,達成感の醸成
訓練生からは,作品に対する充実感や達成感からか「休日でも作業をしたい。」,「このような達成感を感じたことはない。」,「諦めず絶えず努力することで目的や目標を達成することができるとわかった。」などの声が聴かれ,「赤れんが棟」製作を通して様々なことを受刑者が感じ取ってくれたことは,社会復帰へ向けた大きな第一歩になった作品だと思います。
最後にこれを読んでいただいた方々にも,機会がありましたら是非一度,この作品を御覧になっていただきたいと思います。
今後も,受刑者の改善更生,円滑な社会復帰に向け職業訓練を通じた取組に努めていきたいと思います。
※ 完成した赤れんが棟の模型は,法務省赤れんが棟3階展示準備室に展示されておりますので,見学にお越しいただいた際にはぜひご覧ください。