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新しい在留管理制度について

1 はじめに

平成21年7月15日に公布された「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律」により,平成24年7月9日から,適法な在留資格をもって本邦に中長期間在留する外国人(下記3参照。以下「中長期在留者」といいます。)を対象として,法務大臣が必要な情報を継続的に把握する「新しい在留管理制度」が施行されています。また,同日をもって外国人登録法は廃止されました。

2 制度の概要

新しい在留管理制度は,従来の出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」といいます。)と外国人登録法に基づいて行っていた二元的な在留管理の制度を改め,中長期在留者について,法務大臣がその在留状況を一元的かつ継続的に把握できるようにする制度です。

この制度では,中長期在留者を対象として,①上陸許可,在留期間の更新許可,在留資格の変更許可等に伴って在留カードが交付されるほか,②中長期在留者本人から法務大臣への在留状況に係る変更届出,③勤務先等の所属機関から法務大臣への情報提供などにより,法務大臣が当該外国人の在留状況をこれまでより正確かつ継続的に把握することができるようになります。

また,新しい在留管理制度の導入により,在留期間の途中であっても的確な在留管理を行うことが可能になるため,在留期間の上限の伸長,再入国許可制度の見直しなど,適法に在留する外国人の利便性を向上させるための規定を整備しました。

3 制度の対象者

新しい在留管理制度の対象となる中長期在留者は具体的には次の①から⑥までのいずれにも当てはまらない人です。

  • ① 「3月」以下の在留期間が決定された人
  • ② 「短期滞在」の在留資格が決定された人
  • ③ 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
  • ④ 「特定活動」の在留資格が決定された,亜東関係協会の本邦の事務所(台北駐日経済文化代表処等)若しくは駐日パレスチナ総代表部の職員又はその家族
  • ⑤ 特別永住者
  • ⑥ 在留資格を有しない人

この制度の対象者は,例えば,日本人と結婚している方や日系人の方,企業等にお勤めの方,留学生や永住者の方などです。旅行者や外交官の方などは対象にはなりません。

4 制度の内容

(1)「在留カード」が交付されます

新しい在留管理制度の対象となる中長期在留者には,上陸許可や在留資格の変更許可,在留期間の更新許可などの在留に係る許可に伴って在留カードが交付されます。在留カードには,国籍・地域,氏名,生年月日,住居地,在留資格,在留期間等といった法務大臣が把握する情報の重要部分が記載されることから,正確な情報を記載するため,身分事項や住居地に変更があった場合には,中長期在留者は法務大臣に対し届け出ていただく必要があります。

【在留カード(見本)】

在留カード(見本)

【在留カードの有効期間】

在留カードの有効期間

(2)在留期間が最長5年になりました

「技術」等の就労資格や「日本人の配偶者等」など,これまで,在留期間の上限が「3年」の在留資格については,最長の在留期間として「5年」が新設されました。

(3)再入国許可の制度が変わりました

有効な旅券及び在留カードを所持する中長期在留者が,入国審査官に対し,再び入国する意図を表明して出国する場合,出国後1年以内に本邦での活動を継続するために再入国するときは,原則として再入国許可を受ける必要がなくなりました(この制度を「みなし再入国許可」といいます。)。ただし,みなし再入国許可の有効期間を海外で延長することはできません。

また,再入国許可の有効期間の上限は「5年」となります。

(4)外国人登録制度が廃止されました

新しい在留管理制度の導入により,外国人登録制度が廃止されました。

経過措置として,中長期在留者が所持する「外国人登録証明書」については,地方入国管理官署での手続や市区町村での住居地関係の手続において,一定期間「在留カード」とみなされます。中長期在留者は,地方入国管理官署における新たな在留カードの交付を伴う各種届出・申請の際に,外国人登録証明書から在留カードに切り替えていくこととなります。

【在留カードとみなされる期間】

在留カードとみなされる期間

5 新しい在留管理制度における手続の流れ

新しい在留管理制度における手続の流れ

○ 出入国港での手続

現時点において,上陸許可時に在留カードを交付するのは4大空港(成田空港,羽田空港,中部空港及び関西空港)のみとなります。これらの空港においては,上陸許可時に旅券に上陸許可の証印をするとともに,上陸許可によって中長期在留者となった方には在留カードを交付します。その他の出入国港においては,旅券に上陸許可の証印をするとともに「在留カード後日交付」の記載がなされます。この場合は,中長期在留者が市区町村の窓口に住居地の届出をした後,当該住居地あてに在留カードを簡易書留で郵送します。

○ 市区町村での手続

新たに入国し,中長期在留者となった方は,住居地を定めてから14日以内に,在留カードを提出して,住居地の市区町村において,法務大臣に対しその住居地を届け出る必要があります。また,中長期在留者が住居地を変更したときも同様に,変更後の住居地に移転した日から14日以内に,在留カードを提出して,移転先の市区町村において,法務大臣に対し,その住居地を届け出る必要があります。

なお,当該住居地の変更届出については,中長期在留者が在留カードを提出して住民基本台帳法上の転入・転居届をした場合には,入管法上の住居地届出義務も果たされたとみなされることとなります。

○ 地方入国管理官署での手続

(1)住居地以外の(変更)届出

以下の届出・申請を地方入国管理官署で行うこととなります。また,新しい在留カードの交付を伴うときは,原則として,当該届出・申請がなされた日に新しい在留カードが交付されます。

  • ・氏名,生年月日,性別,国籍・地域の変更届出
  • ・在留カードの有効期間更新申請
  • ・在留カードの再交付申請
  • ・所属機関・配偶者に関する届出

※ 所属機関・配偶者に関する届出は,具体的には,以下の場合に,それぞれ該当する事由が生じた日から14日以内に地方入国管理官署への出頭または東京入国管理局への郵送により法務大臣に届け出る必要があります。

  • ・「技術」等の就労資格(「芸術」,「宗教」及び「報道」を除く。)や「留学」等の学ぶ資格をもって在留する方が,所属機関(雇用先や教育機関)の名称変更,所在地変更,消滅,離脱(契約終了),移籍(新たな契約締結)が生じた場合
  • ・ 配偶者として「家族滞在」,「特定活動(ハ)」,「日本人の配偶者等」及び「永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留する方が,配偶者と離婚又は死別した場合

(2)在留審査手続

在留期間更新許可,在留資格変更許可,永住許可や在留資格取得許可の際,中長期在留者の方には新しい在留カードを交付します。この場合,従来と異なり旅券には証印がなされません。

6 情報の正確性を担保するための諸制度

(1)所属機関による届出

一定の在留資格をもって在留する中長期在留者には,その在留資格に応じ所属機関に関する届出義務が課されていますが,当該所属機関からも情報の届出を受けることとし,外国人,所属機関双方からの情報を突合・分析することにより,情報の正確性の確保を図る仕組みを設けています。具体的には,「技術」等の就労資格をもって在留する中長期在留者を受け入れている所属機関(雇用対策法に基づく外国人雇用状況の届出が義務付けられている機関は除く。)は,法務大臣に対し,当該中長期在留者の受入れの開始(雇用・役員就任等)及び終了(解雇・退職等)等を届け出るよう努めなければならないこととしました。

(2)事実の調査

法務大臣は届け出られた情報の正確性に疑いがあるときなど,中長期在留者に関する情報の継続的な把握のため必要があるときには,その職員に事実の調査をさせることができる旨の規定が新設されました。

(3)在留資格取消制度

新しい在留管理制度においては,法務大臣が把握する情報の正確性を担保するとともに,外国人の在留を継続させることが適当でない事案に的確に対処するため,在留資格取消事由として,①偽りその他不正の手段により在留特別許可を受けたこと,②配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留していること,③新たに中長期在留者となった後又は法務大臣に届け出た住居地から退去した後90日以内に住居地の届出を行わないこと及び④虚偽の住居地を届け出たことを追加しました。

7 特別永住者制度の見直しについて

新しい在留管理制度の導入と合わせて,特別永住者制度についても見直しが図られ,以下の内容が平成24年7月9日から施行されています。

特別永住者には,これまでの外国人登録証明書に替わり,「特別永住者証明書」を交付します(記載事項は簡素化されています。)。また,特別永住者にも「みなし再入国許可制度」が導入され,有効な旅券及び特別永住者証明書を所持する特別永住者が入国審査官に対し,再び入国する意図を表明して出国する場合,出国後2年以内に再入国するときは,原則として地方入国管理官署で再入国許可を受ける必要がなくなります(この場合の許可も,その有効期間を海外で延長することはできません。)。なお,新制度開始後に地方入国管理官署で再入国許可を受けて出国する場合は,再入国許可の有効期間の上限が「6年」となります。

また,新制度開始後は特別永住者について,特別永住者証明書,旅券の携帯義務はありません。

【特別永住者証明書(見本)】

特別永住者証明書(見本)

【特別永住者証明書の有効期間】

特別永住者証明書の有効期間

経過措置として,特別永住者が所持する「外国人登録証明書」についても,地方入国管理官署での手続や市区町村での住居地関係の手続において,一定期間「特別永住者証明書」とみなされます。

【特別永住者証明書とみなされる期間】

特別永住者証明書とみなされる期間