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離婚の際に夫婦が取り決める事項として面会交流及び養育費の分担などが明文化されました
1 改正の概要
「民法等の一部を改正する法律」(平成23年法律第61号)により民法第766条が改正され,平成24年4月1日から施行されています。
改正後の民法第766条では,父母が協議上の離婚をするときに協議で定める「子の監護について必要な事項」の具体例として「父又は母と子との面会及びその他の交流」(面会交流)及び「子の監護に要する費用の分担」(養育費の分担)が明示されるとともに(⇒2(1)へ),子の監護について必要な事項を定めるに当たっては子の利益を最も優先して考慮しなければならない旨が明記されました(⇒2(2)へ)。
(改正前の民法第766条)
- ① 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。
- ② 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができる。
- ③ (略)
(改正後の民法第766条)
- ① 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
- ② 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
- ③ 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
- ④ (略)
※下線部分が主要な改正箇所
2 改正の具体的内容
(1) 面会交流及び養育費の分担の明文化
子の利益の観点からは,離婚後も,離れて暮らす親と子との間で適切な面会交流が行われることや相当額の養育費が継続して支払われることが重要であり,そのためには,離婚をするときに,これらについて予め取決めをしておくことが重要です。
しかし,面会交流や養育費の分担については,改正前の民法第766条第1項の「監護について必要な事項」に含まれるものの,これらが条文上明示されていないこともあって,協議上の離婚をするに際して明確な定めがされないことも少なくないといわれていました。
そこで,改正法では,面会交流及び養育費用の分担を子の監護について必要な事項の具体例として条文に明示することによって,協議上の離婚をするに際し,当事者間でその取決めをすることを促すこととしました。
(2) 子の利益の考慮の明文化
子の監護について必要な事項を子の利益の観点から定めることは,改正前の民法においても,理念とされていたと考えられますが,子の監護に関する事項,特に面会交流や養育費の分担については,離婚をする当事者間の利害の対立が大きいのみならず,離婚をめぐる夫婦間の協議における駆け引きの材料とされかねません。
そこで,改正法では,家庭裁判所における調停又は審判の際のみならず,当事者間における協議の際にも,子の監護について必要な事項を定めるに当たっては,「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」との理念を明記しました。
3 詳しくお知りになりたい方へ
法務省では,面会交流や養育費の分担の重要性をよりご理解いただくため,次の3つのリーフレットを作成しました。リーフレットは,法務省ホームページに掲載しているほか,お近くの市町村窓口,家庭裁判所,法務局でも備え置いております。養育費や面会交流の話し合いや実施に当たり,ぜひ御活用ください。
【1】夫婦が離婚をするときに~子どものために話し合っておくこと~ |
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(対象)子どものいる夫婦で離婚を考えている方など (内容)夫婦が離婚をするときに子どものためにあらかじめ話し合っておくべき「養育費の分担」及び「面会交流」の意義や取決めの必要性について |
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【2】面会交流1~子どもたちのすこやかな成長をねがって~ |
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(対象)これから面会交流の話し合いをされる方など (内容)面会交流の意義や子どものための面会交流の実施について |
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【3】面会交流2~実りある親子の交流を続けるために~ |
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(対象)既に面会交流を行っている方やこれから行おうとされる方など (内容)子どもにとって望ましい面会交流をスムーズに行うための留意点について |
「全国一斉!法務局休日相談所」を開設します
法務局・地方法務局においては,行政サービスの向上の観点から,平成24年9月23日(日)に,全国241か所において,「全国一斉!法務局休日相談所」を開設します。
この「全国一斉!法務局休日相談所」においては,法務局職員のほか,その相談所によっては,司法書士,土地家屋調査士,人権擁護委員又は公証人が,①土地・建物の相続の登記や抵当権の抹消の登記に関するご相談,②会社・法人の設立の登記や役員の変更の登記に関するご相談,③隣地との筆界に関するご相談,④いじめなどの人権問題に関するご相談,⑤地代・家賃の供託に関するご相談など,日常生活の様々な心配ごと,困りごとなどに関するご相談を無料でお受けいたします。秘密は厳守いたしますので,安心してご相談ください。
なお,お問合せ先は,次のとおりです。