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記者が行く!
~不動産の登記をしないとどうなるの~

みなさんは,ご自分が住んでいる土地や建物の所有者が誰で,どのように管理されているかご存知ですか?そこで,今回は,法務省で行っている不動産についての施策「不動産登記制度」をテーマに取材してきました。

土地証明書(見本)

記者 :
よろしくお願いします。
さっそくですが,不動産登記というのはどのような制度なのでしょうか。
担当者:
不動産登記とは,不動産の状況や権利に関する情報を,法務局に備え付けてある「登記簿」といわれる公の帳簿に記録し,これを公示することにより,権利関係などを誰にでも分かるようにすることで,国民の権利の保全や不動産取引の安全と円滑を図る制度です。
記者 :
何だか難しそうですね・・・。
担当者:
もう少しわかりやすく言うと,国民の大切な財産である不動産(土地や建物)の一つ一つについて,どこにあって,どれくらいの広さがあって,どなたが持っているのかといった情報を国に登録(登記)して公開しますということです。所有権の登記がされると「この不動産(土地や建物)の所有者は自分だ」と他の人に主張することができます。
記者 :
登記をしないとどうなるのでしょうか。
担当者:
例えば,Aさんが売主からマイホームを買って住み始めてから,売主がBさんにも同じ家を売却して,Bさんが登記簿に所有者として登記された場合,原則としてAさんはBさんに「この家は自分のものだ。」と主張することができなくなります。
記者 :
それは大変です!登記をしないとそういうトラブルや不都合に巻き込まれる危険があるのですね。
ところで,不動産は売買のほかに相続で手に入れることもあると思うのですが,相続の登記をしていないとどうなるのでしょうか。
担当者:
登記簿上の所有者が亡くなった後に,相続人がその不動産を売却して登記を移転しようとするときは,その前提として相続の登記をして登記簿上の所有者を相続人に移転する必要があります。
記者 :
お父さんが亡くなった場合の相続人は奥さんと子どもがほとんどですよね。そんなに難しいことではないと思うのですが・・・。
担当者:
すぐに相続の登記をすれば難しくはないのですが,例えば,おじいちゃんが亡くなった後,その相続の登記をしない間に,相続人の一人である叔父さんも亡くなってしまった場合など,相続が何回も重なってしまうと,相続人がどんどん増えてしまい,相続人が誰か確認するだけでも多大な費用と労力が必要となることもあります。
記者 :
確かに相続人と疎遠になっていたらその人を探すのも難しそうですね・・・。
担当者:
そうですね。自分の権利を守り,次世代の子どもたちにその権利を引き継ぐためにも,相続が発生したらできるだけ早く相続の登記をした方が良いと思いますよ。
また,まちづくりのために地方自治体が事業用地を取得する際に,登記簿上の所有者が亡くなっていた場合,相続人の特定ができず,登記をすることができないために,必要な公共事業が実施できないといった問題も生じます。実際,近年では東日本大震災からの復興に関してこのような所有者不明の土地が問題となっていて,社会の関心を集めています。
記者 :
きちんと登記がされていないと,様々なところで問題が生じるのですね。本日はどうもありがとうございました。

東京法務局