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法制度整備支援の現場から
~インドネシアでの新たな取組~

平成27年12月,インドネシアで新しいプロジェクトがスタートしました。

インドネシアは,日本の約5倍の国土に,約2億5,000万人もの人口を抱え,首都ジャカルタでは多くの日本車が走っている,ASEANの盟主と呼ばれる大国です。

そんな大国になぜ支援を?という思いを抱かれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし,そのようなインドネシアも,より民主的な国づくりを進めるとともに,着実な経済成長を遂げるため,司法制度改革を始め様々な改革に取り組んでいます。

そうしたインドネシアの取組を支えるため,法務省は,これまで,和解・調停制度の改善や裁判官の人材育成支援に協力してきました。

こうした協力を経て,この度,法務省は,我が国特許庁や独立行政法人国際協力機構(JICA)と協力し,知的財産制度や法令間の整合性の改善を目指して,新たに法・司法分野の人材育成や法制度整備のお手伝いをすることになりました。国の規模も大きく,既存の法制度に基づき経済的な発展も遂げているインドネシアにおける法制度整備支援は,他の国におけるそれとは少し趣を異にする面もありますが,インドネシアが法の支配を一層強めていくことに日本が協力することは,インドネシアだけでなく,日本にとっても意義のあることと思います。

このプロジェクトのため,現在,法務省から,2名の長期専門家(裁判官出身,検事出身各1名)が現地に派遣されています。相手国の歴史や文化に根付くこれまでの制度や運用,仕事の進め方を尊重しつつ,よりよい方向に改善していくにはどうしたらよいか,私たちは,日々,悩みながらインドネシアの人たちと議論を続けています。現地に身を置くことで得られる現地の人々との触れ合いを通じて,現地の人々の考え方に少しでも近づき,よりよい解決策を模索するーそうした日本の法制度整備支援の在り方は,インドネシアでも変わりません。時間のかかる試みではあっても,一歩ずつ,両国の法・司法分野での協力関係が一層深まっていくことに貢献できればと思っています。

(インドネシア長期派遣専門家 横幕 孝介)

合同現地セミナーの写真

飯村前知的財産高等裁判所長を講師に招いての合同現地セミナー(平成28年9月)

法務人権省法規総局でのワーキンググループの写真

法務人権省法規総局でのワーキンググループ