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成年年齢が18歳に引き下げられます。
「民法の一部を改正する法律」(平成30年法律第59号)が,平成30年6月13日に成立し,同月20日に公布されました。
1 なぜ民法の成年年齢を18歳に引き下げるのですか。
我が国における成年年齢は,明治9年以来,20歳とされています。
近年,憲法改正国民投票の投票権年齢や,公職選挙法の選挙権年齢などが18歳と定められ,国政上の重要な事項の判断に関して,18歳,19歳の方を大人として扱うという政策が進められてきました。こうした政策を踏まえ,市民生活に関する基本法である民法においても,18歳以上の方を大人として取り扱うのが適当ではないかという議論がされるようになりました。世界的にも,成年年齢を18歳とするのが主流です。
成年年齢を18歳に引き下げることは,18歳,19歳の若者の自己決定権を尊重するものであり,その積極的な社会参加を促すことになると考えられます。

2 成年年齢は,いつから18歳になるのですか。

成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする「民法の一部を改正する法律」は,2022年4月1日から施行されます。
施行日の時点で18歳以上20歳未満の方(2002年4月2日から2004年4月1日までに生まれた方)は,施行日に成年に達することになります。2004年4月2日以降に生まれた方は,18歳の誕生日に成年に達することになります。
3 成年年齢の引下げによって,18歳で何ができるようになるのですか。
民法の成年年齢には,一人で有効な契約をすることができる年齢という意味と,父母の親権に服さなくなる年齢という意味があります。
成年年齢の引下げによって,18歳,19歳の方は,親の同意を得ずに,様々な契約をすることができるようになります。例えば,携帯電話を購入する,一人暮らしのためのアパートを借りる,クレジットカードを作成する(支払能力の審査の結果,クレジットカードの作成ができないことがあります。),ローンを組んで自動車を購入する(返済能力を超えるローン契約と認められる場合,契約できないこともあります。),といったことができるようになります。
なお,2022年4月1日より前に18歳,19歳の方が親の同意を得ずに締結した契約は,施行後も引き続き,取り消すことができます。
また,親権に服することがなくなる結果,自分の住む場所(居所)を自分の意思で決めたり,進学や就職などの進路決定についても,自分の意思で決めることができるようになります。もっとも,進路決定について,親や学校の先生の理解を得ることが大切なことに変わりはありません。
そのほか,10年有効パスポートの取得や,公認会計士や司法書士などの国家資格に基づく職業に就くこと(資格試験への合格等が必要です。),性別の取扱いの変更審判を受けることなどについても,18歳でできるようになります。
4 お酒やたばこが解禁される年齢も18歳になるのですか。
民法の成年年齢が18歳に引き下げられても,お酒やたばこに関する年齢制限については,20歳のまま維持されます。また,公営競技(競馬,競輪,オートレース,モーターボート競走)の年齢制限についても,20歳のまま維持されます。これらは,健康被害への懸念や,ギャンブル依存症対策などの観点から,従来の年齢を維持することとされています。