- どのような診療を行うのですか。
基本的には、一般の医療と変わることはなく、成人では生活習慣病(高血圧、糖尿病等)、腰痛症、不眠等の精神疾患、少年では、ぜん息等呼吸器系疾患の患者が多く見られます。これらの疾患に対する医療や健康診断などを行います。診療科としては、内科、外科、精神科が主ですが、他の診療科目が専門の方も相談に応じます。
- 被収容者の診療は、全てその施設の矯正医官が行わなければならないのですか。
各施設には常勤医師のほか、非常勤医師なども配置されています。施設内で対応できない専門的な検査や治療が必要な場合には、医療刑務所に移送したリ、外部の医療機関に入院させるなどして対応することになります。
- 矯正施設は全国にあるとのことですが、転勤はどの程度あるのですか。
転勤については、本人の意向を、最大限に尊重しており、転勤をしない医師も数多くいます。
- 医師をサポートしてくれるスタッフはいますか。
ほとんどの刑務所には、看護師及び薬剤師が配置されているほか、准看護師の資格を有する刑務官も配置されています。臨床工学技士、理学療法士などが配置されている施設もあります。 - 矯正施設で勤務していて、受刑者や非行少年から脅されたり、殴られたりはしませんか。
診療には、必ず刑務官や法務教官が付き添うことになっていますので、脅されたり、暴行を加えられるような心配はありません。
- 訴訟リスクはありませんか。
矯正医官の診療は、国の行為として行われるため、個人で訴訟リスクを抱えることはありません。訴訟対応の専門部署がありますので、国が全面的にバックアップします。
- 国が国民の税金で被収容者に医療を提供しなければならないのですか。
強制的に身柄を拘禁する以上、被収容者に対する医療は、国の責務です。被収容者が心身の健康を回復することは、再犯防止のための大きな一歩ですし、心身の疾病等を一因として犯罪に及んでいた場合、適切な医療措置を講じること自体が改善更生を図ることになります。このように、矯正医療は、刑事政策上も重要な意義を有していますので、ご理解をお願いします。
- 高度な最先端医療も行われているのですか。
法律では、「社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし適切な保健衛生及び医療上の措置を搆ずるものとする」とされています。社会一般の「水準」とは、一般社会の病院や診療所に求められる水準のことであり、それ以上の医療上の措置まで求められているものではありませんので、高度な最先端医療を提供することまでは含まれていません。
- 医療費を抑制すべきではありませんか。
被収容者の医療費は税金でまかなわれていますので、必要な医療措置は講じつつも、可能な限り医療費を抑える工夫をすることが重要であると考えています。このため、不必要な薬は投与せず、使用する薬も可能な限りジェネリック医薬品を活用するようにしています。また、外部医療機関に受診させる場合も、経費の安価な病院を選定することに努めています。