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トップページ > パブリックコメント > はじめに~調査審議の対象とその経過~

はじめに~調査審議の対象とその経過~

第 1  はじめに~調査審議の対象とその経過~

I  人権擁護推進審議会(以下「本審議会」という。)は,昨年7月に,人権教育・啓発の在り方に関する諮問第1号について答申した後,9月以降,諮問第2号である「人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策の充実に関する基本的事項」について,本格的な調査審議を行ってきた。
 諮問第2号の下での本審議会の任務は,人権侵害の被害者の救済のために法務省の人権擁護機関がこれまで行ってきた取組を踏まえ,被害者救済に関する施策をより充実させるという観点から,行政機関による人権救済のための基本的な仕組み,すなわち人権救済制度の在り方について提言することである。特に,各国の取組等国際的な潮流も視野に入れつつ,我が国における人権侵害の現状と救済の実情を踏まえて,「人権の世紀」と呼ばれる21世紀にふさわしい人権救済制度の在り方を示すことが求められている。
 

 
II 本審議会では,これに応えるため,一昨年3月に人権救済制度検討準備委員会を設置して,各国の人権救済に関する取組や我が国の裁判外紛争処理制度(ADR)等についての基礎的な調査を開始した。諮問第2号に関する本格的な調査審議を開始した昨年9月からは,改めて各種人権課題に関する関係団体からのヒアリングを実施するとともに,救済にかかわる各種制度等に関して関係行政機関から説明を聴取するなどして,国内における人権侵害の現状と救済の実情の把握に努め,これらに対する理解を深めた。さらに,北米,欧州4か国にわたる海外調査の実施等により,広く諸外国の人権救済に関する取組についても認識を深めてきた。
 本年4月からは,これらの基礎的調査の成果を参照しつつ,救済の理念と対象,救済の措置,調査手続・権限,救済機関の組織体制の4つの柱を中心に,論点の整理を行い,これを基に9月以降議論を進めてきたが,この段階で,一般の方々から広く意見を求めることとし,ここに中間取りまとめを公表する。
 

 
III 本審議会は,人権救済制度における「救済」の意味を,人権侵害が発生した後の侵害行為の排除や被害回復のみならず,人権侵害が発生するおそれの高い場合のその防止や,いったん発生した後の再発防止を含む広いものとしてとらえた。人権は一たび侵害されると被害の回復が容易でなく,また,人権侵害は往々にしてこれを生む慣行等を背景として継続的又は集団的に発生することから,侵害を未然に防止することは,優れて救済としての意義を有するものと考える。この観点からは,加害者に人権尊重思想を啓発し(個別啓発),自主的な被害回復とともに再発防止を図ることも救済として重要である。
 もとより,ここでの救済は,人権尊重の理念の普及高揚を目的として行われる一般的な啓発活動とは異なるが,いわば対症療法としての人権救済と根治療法としての人権啓発は,人権尊重社会の実現を目標とする人権擁護行政における車の両輪であり,両者が互いに有機的な関係を保ちながら推進されてこそ,初めて真に効果的なものとなることに十分留意しなければならない。
 

 
IV 人権救済にかかわる世界の潮流に目を向けると,人権諸条約に基づく各種委員会の活動や,欧州等における地域的な人権保障の枠組みに基づく取組等に加え,近時,人権救済をその重要な任務の一つとする国内人権機構(注1)の整備の動きが活発化しつつある。国際連合(以下「国連」という。)総会で採択された「国内機構の地位に関する原則」(いわゆるパリ原則)(注2)や国連人権センター作成の「国内人権機構:人権の促進と擁護のための国内機構の設立と強化に関するハンドブック」(注3)は,国内人権機構の整備に指針やモデルを提供するものであり,各国における実際の取組(別添参考資料7)と並んで,我が国における人権救済制度の在り方を考える上でも貴重な資料である。本審議会も,これらの国際的潮流を十分視野に置いて審議を行ってきた。
(注1) 国内人権機構
 national human rights institutionの訳語(国内人権機関と訳されることもある。)。明確な定義はないが,人権擁護に係る一定の活動を行っている特別の政府機関等を指していう例が多い。「国内人権機構:人権の促進と擁護のための国内機構の設立と強化に関するハンドブック」(注3参照)においては,「憲法又は法令に基づき,政府によって設立された機関で,人権の促進と擁護に関し,その機能が明確に定められているもの」と定義されている。
(注2) 「国内機構の地位に関する原則」(いわゆるパリ原則)
 1991年(平成3年),国連人権委員会の決議に基づいてパリで開かれた第1回国内機構ワークショップ(我が国も参加)において採択され,1993年(平成5年),国連総会でも附属文書として採択された原則で,国内人権機構の権限・責務,構成等についての指針を提供している(詳細については,別添参考資料5)。
(注3) 「国内人権機構:人権の促進と擁護のための国内機構の設立と強化に関するハンドブック」
 1995年(平成7年),国連人権センター(現国連人権高等弁務官事務所)が,国内人権機構の設置や強化を考えている諸国のためのガイドラインとして発行したもので,国内人権機構が実効的に機能するための要素等を示している(その要点については,別添参考資料6)。



V 本審議会は,これまでの調査審議を通じて,我が国における被害者救済施策の充実の必要性を痛感し,以下のとおり,組織体制面の整備も含めた抜本的な改革を内容とする中間取りまとめを行うものであるが,これに対して寄せられる意見を踏まえ,人権救済制度の基本的な枠組みづくりを目指して今後更に調査審議を続けていく予定であり,建設的な意見が幅広く寄せられることを切に希望する次第である。
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