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「薬物依存者・高齢犯罪者等の再犯防止緊急対策~立ち直りに向けた“息の長い”支援につなげるネットワーク構築~」が犯罪対策閣僚会議において決定されました。

はじめに

平成26年12月,犯罪対策閣僚会議において,宣言「犯罪に戻らない・戻さない」が決定されました。

犯罪が繰り返されない,何よりも新たな被害者を生まない,国民が安全で安心して暮らせる「世界一安全な国,日本」を実現するため,ひとたび犯罪や非行をした者を社会から排除し,孤立させるのではなく,責任ある社会の一員として再び受け入れることが自然にできる社会の構築に向けて,様々な取組を進めてきました。

その結果,犯罪や非行をした者を実際に雇用いただいている協力雇用主の数は大幅に増加し,また,長い間減少傾向にあった保護司の数が増加に転じるなど,犯罪や非行からの立ち直りを支える民間の方々の支援の輪は着実に広がりつつあります。

しかしその一方で,立ち直りに様々な困難を抱える薬物依存者や犯罪をした高齢者・障害者等の多くは,刑事司法と地域社会の狭間に陥り,必要な支援を受けられないまま再犯に及んでいます。

直面する2つの課題

安全・安心な暮らしを脅かす薬物犯罪
  • 覚せい剤取締法違反による検挙者は毎年1万人を超え,近年,検挙者数が増加
  • 薬物事犯者の多くは,犯罪者であると同時に薬物依存の問題を抱える者
  • 矯正施設,保護観察所,地域社会における指導・支援体制等が不十分
  • 薬物事犯者の再犯率は高く,薬物事犯により受刑した者の約半数は出所後5年以内に刑務所へ再入所
高齢者犯罪の増加と受刑者の高齢化等
  • 高齢社会の進展とともに65歳以上の高齢者による犯罪も最近20年間で増加
  • 刑務所に収容される受刑者数が減少傾向にある中,高齢受刑者の数は増加を続けており,受刑者の高齢化も急速に進行
  • 高齢受刑者の半数以上が万引き等の窃盗によるもので,その多くは再犯者
  • 身体能力・知的能力・理解力の低下や障害により,日常的な動作全般にわたって介助,リハビリ等を必要とする者も増加

これらの課題に対応するためには,刑事司法と地域社会をシームレスにつなぎ,官民が一体となって“息の長い”支援を行うことが必要であることから,次の3つの柱からなる取組を進め,

「2020年を目途に,全国各地に薬物依存者や犯罪をした高齢者・障害者等の立ち直りを支えるネットワークが構築されていることを目指す」こととされました。

犯罪対策閣僚会議の様子

犯罪対策閣僚会議

ネットワーク構築に向けた取組の3つの柱とその目指す姿

Ⅰ 薬物依存からの回復に向けた矯正施設・保護観察所による指導と医療機関による治療等を一貫して実施

矯正施設・保護観察所による一貫性のあるプログラムの実施
  • 認知行動療法に基づく薬物依存からの回復に向けたプログラムの実施,処遇情報の共有等による指導の充実,指導者の育成・確保を推進
  • 保護観察所の指導体制の整備を推進
矯正施設・保護観察所による一貫性のあるプログラムの実施のイメージ
薬物依存症の治療拠点となる医療機関の全国的な整備
  • 依存症治療拠点機関等におけるモデル事業の成果をもとに,薬物依存症の治療拠点となる医療機関の全国的な整備を推進
薬物依存症の治療拠点となる医療機関の全国的な整備のイメージ

薬物依存の問題を抱える全ての保護観察対象者等が,薬物依存からの回復に必要な専門的な指導や医療機関による治療等を受けられるようにします。

Ⅱ 地域社会とつながった指導・支援を刑事司法の各段階において実施

刑事司法関係機関における福祉・医療機関等との調整機能の充実
  • 犯罪をした高齢者・障害のある者等を,適切な時期に福祉サービス等につなげられるよう,警察,検察庁,矯正施設,保護観察所等の刑事司法機関と福祉関係者の連携を強化
高齢化等の環境変化に対応した刑務所等の処遇の展開
  • 高齢化等に対応した刑事司法関係施設の環境整備を推進
  • 矯正施設と地域の企業・関係団体とが連携した指導・支援等を行う地域支援ネットワークを構築
  • 刑務所等収容段階から地域社会での作業等に従事させ,社会適応に必要な技能等を修得させる場の創設を推進
高齢化等の環境変化に対応した刑務所等の処遇の展開イメージ1
高齢化等の環境変化に対応した刑務所等の処遇の展開イメージ2

立ち直りに福祉サービスや医療等の支援を必要とする高齢者・障害者等が,刑事司法のあらゆる段階を通じ,適切な時期に支援を受けられるようにします。

 Ⅲ 立ち直りに向けた“息の長い”支援に取り組む民間活動の推進

更生保護施設の人的体制の強化と通所による“息の長い”処遇の実施のイメージ
更生保護施設の人的体制の強化と通所による“息の長い”処遇の実施
  • 更生保護施設の人的体制の強化による受入れや処遇機能の強化
  • 施設退所後も,通所により必要な指導・支援を受けられる“息の長い”処遇の全国展開
再犯防止や立ち直り支援の活動に取り組む民間協力者への支援の強化
  • 地域社会における保護司の活動拠点となる「更生保護サポートセンター」の円滑な設置運営のための支援の充実
  • 犯罪や非行をした者の事情を理解した上で雇用している協力雇用主に対する経済的支援等の充実

刑事司法手続終了後を含めた“息の長い”支援を実現します。

対策の目標

本対策に掲げる取組を総合的に推進することにより,「再犯防止に向けた総合対策」(平成24年7月・犯罪対策閣僚会議決定)による「刑務所出所者等の2年以内再入率を平成33年までに20%以上減少させる」という数値目標の達成を確実なものとし,犯罪が繰り返されない,国民が安全に安心して暮らせる「世界一安全な国,日本」の実現に寄与します。


全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間を実施します!
(11月14日(月)~11月20日(日))

全国一斉女性の人権ホットライン強化週間ポスターイメージ

全国一斉女性の人権ホットライン強化週間ポスター

女性の人権ホットラインについて

皆さんのまわりで,夫やパートナーからの暴力,職場でのいじめやセクシュアル・ハラスメント,ストーカー行為などの被害で悩んでいる女性はいませんか。そのような女性のための相談窓口として,法務省の人権擁護機関では専用相談電話「女性の人権ホットライン」(全国共通0570-070-810)を開設しています。「女性の人権ホットライン」に電話をかけると,全国50カ所の法務局・地方法務局のうち,最寄りの局につながります。女性の人権問題に詳しい人権擁護委員や法務局職員が相談に応じ,内容に応じたアドバイスをしたり,被害の救済に取り組みます。相談は無料で,相談内容についての秘密は守ります。

強化週間について

さらに,毎年11月は,内閣府の取組である「女性に対する暴力をなくす運動」(平成13年6月5日男女共同参画推進本部決定)に合わせて,通常よりも受付時間を延長する,全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間を実施しています。平成28年の全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間は,11月14日(月)から20日(日)までです。期間中の平日は,通常時よりも受付時間を延長するとともに,土曜・日曜もご相談を受け付けます。

(強化週間中の受付時間)

・11月14日(月)~18日(金) 午前8時30分~午後7時

・11月19日(土)~20日(日) 午前10時~午後5時

(通常の受付時間)

・月~金(祝日・年末年始を除く。) 午前8時30分~午後5時15分

平成27年は,この期間中,通常の2倍以上の電話相談が寄せられました。

例えば,こんな相談がありました。

(インターネット上におけるプライバシー侵害)

インターネット上の掲示板に,女性が自らSNS上に掲載しその後削除した自身の性的な写真が,氏名,年齢等とともに掲載されていました。女性自らがプロバイダに対して削除を依頼しましたが削除されなかったため,「女性の人権ホットライン」に相談がされた事案です。

法務局で調査した結果,本件掲示板の情報は,被害者のプライバシーを侵害すると認められたため,本件掲示板の管理者に対して削除要請を行ったところ,一部の情報については削除されたものの,その余の情報については削除されませんでした。

そこで,法務局から,重ねて,本件掲示板の管理者に対して削除要請をした結果,当該情報は全て削除されるに至りました。(措置:「要請」)

こちらにも事例を掲載しています。ぜひ御覧ください。

法務省ホームページ

気兼ねなくご相談ください!

女性をめぐる人権侵害によって一人で悩んでいる方、あるいは,皆さんのまわりで困っている女性はいませんか。そのような時は,一人で悩まず,お気軽に「女性の人権ホットライン」に相談してください。また,インターネットによる人権相談も受け付けています。詳しくはこちらをご覧ください。

○お役立ちリンク

法務省「女性の人権ホットライン」

ナビダイヤル 0570-070-810(一部のIP電話からはご利用できないことがあります。)

インターネット人権相談窓口QRコード

法務省「インターネット人権相談窓口」

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