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「保証制度の見直しに関する要綱中間試案」に関する意見募集の結果について

1 意見数・・・85件(47団体、個人38名)

 

第2 意見の概要

 

 1 貸金債務の根保証についての個人保証人の保護の方策

 (1)要式行為

 根保証契約を要式行為とすること、限度額や保証期間の定めも書面に記載しなければ合意の効力を生じないものとすることについては、寄せられた意見のほとんどすべてが賛成意見であった。

 (2)保証の限度額の定め

 保証の限度額の定めのない根保証契約を無効とすること、保証の限度額は元本のほか利息・損害金をも含むものとして定めなければならないものとすることについては、寄せられた意見のほとんどすべてが賛成意見であった。
 これに対し、代表者保証の場合には限度額の定めのない根保証契約も有効とすべきであるという(注)記載の考え方については、経営者等の保証については限度額を定めるべき必要性・合理性に乏しいこと等を理由として賛成する意見も寄せられたが、保証人の責任が無限に拡大するおそれのある包括根保証を例外なく禁止すべきであること等を理由とする反対意見が多数を占めた。

 (3)保証期間の制限

  ア 合意により保証期間を定める場合

 合意により保証期間の上限を〔5年〕に制限することについては、寄せられた意見のほとんどすべてが賛成意見であった。
 これに対し、第三者保証の場合には、保証期間の上限を制限することに加えて、根保証契約の締結時から〔3年〕を経過した後は保証人に元本確定請求権を付与するという(注)記載の考え方については、賛成意見が比較的多数を占めたものの、代表者保証の場合と区別することが相当でないこと等を理由とする反対意見も寄せられた。

  イ 合意による保証期間の定めがない場合

 保証期間を一律に〔3年〕とするというA案と、代表者保証の場合には根保証契約の締結時から〔3年〕を経過した後は保証人に元本確定請求権を付与するものとし、第三者保証の場合にはA案と同様とするというB案とを併記していた点については、代表者保証につき保証期間を定めないことを容認するB案では個人保証に過度に依存している現在の金融システムの見直しにつながらないこと等を理由としてA案に賛成する意見が、B案に賛成する意見を上回った。

 (4)期間の経過以外の事由による元本の確定等

  ア 元本確定事由

 強制執行の申立て、破産手続開始の決定及び死亡をもって、根保証の元本確定事由とすることについては、寄せられた意見のほとんどすべてが賛成意見であった。
 また、担保権の実行の申立ても元本確定事由とするという(注)記載の考え方についても、賛成意見が相当数寄せられた。これに対し、仮差押えの申立てを元本確定事由とするという考え方については、賛成意見がある一方で、仮差押えの申立ては実務上様々な事情から行われていること等を理由とする反対意見も複数あった。

  イ その他

 事情変更による特別の元本確定請求権につき明文規定を設けるという(注1)記載の考え方については、判例法理を明文化することに積極的な意義があること等を理由とする賛成意見と、信義則等の一般条項に基づく判例法理の明文化は技術的に困難であり、有害となるおそれもあること等を理由とする反対意見とに大きく分かれた。
 また、債権者に対し保証人への通知義務を課するという(注2)(注3)記載の考え方については、保証人保護の観点から主債務の不履行が発生した場合等に通知義務を課する必要性が高いこと等を理由とする賛成意見と、保証人に対する情報提供の義務を債権者に負わせる根拠が明らかでないこと等を理由とする反対意見とに大きく分かれた。

 

2 適用範囲

 (1)要式行為について

 すべての保証契約に適用することについては、諾成契約を原則とする民法の体系との整合性等を理由とする反対意見があったものの、寄せられた意見の大多数は賛成意見であった。

 (2)根保証における限度額の定め、保証期間の制限等について

  ア 保証人の範囲

 保証人が個人である場合に限り適用することについては、小規模な法人にも適用すべきであること等を主張する反対意見があったものの、寄せられた意見の大多数は賛成意見であった。

  イ 主たる債務の種類

 根保証契約において定められる主たる債務の範囲に貸金債務が含まれている場合について適用することについては、適用範囲をより広くすべきであると主張する反対意見も複数あったが、寄せられた意見の大多数は賛成意見であった。
 なお、主たる債務の範囲に貸金債務が含まれている根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権につき、個人が保証する場合についても、当該個人が直接に根保証をした場合と同様の保護を受けられるようにする措置を講ずるという(後注)記載の考え方についても、寄せられた意見の大多数は賛成意見であった。

 

第3 今後における取扱い

 提出された意見については,法制審議会保証制度部会における審議の参考資料として使用する。