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動産・債権譲渡に係る公示制度の整備に関する要綱中間試案の実施結果について

第1 意見数・・・89件(63団体,個人26名)

 

第2 意見の概要

 1 動産譲渡に係る登記制度の創設

 (1)制度創設の可否

 動産譲渡に係る登記制度を創設するものとすることについては,譲渡担保取引の安定性,実効性が向上することなどを理由としてこれに賛成する意見が多数を占めたが,再建型倒産処理手続への影響や,倒産時の労働債権等の保護の形骸化,一般債権者からの与信の縮小等を懸念して制度の創設に反対する意見もあった。

 

 (2)登記の対象となる譲渡の譲渡人を法人に限定すること

 寄せられた意見のほとんどがこれに賛成する意見であったが,個人事業者について動産譲渡登記を利用させる必要性が高いことなどを理由にこれに反対する意見が1件寄せられた。

 

 (3)登記対象となる動産を個別動産か集合動産か問わないとすること

 実務において機械設備等の個別動産を対象とする譲渡担保の設定も行われていることなどを理由にこれに賛成する意見が多数寄せられ,これに反対する意見は寄せられなかった。

 

 (4)登記の効力等

  ア A案とB案との比較

    登記の効果として優先的効力を認めるA案とするか,優先的効力を認めないB案とするかについては,優先的効力によって動産譲渡担保の安定性・実効性が高まり,登記制度の利用が促進されることなどを理由にA案に賛成する意見が,A案に反対する意見及びB案に賛成する意見を上回った。

 

  イ 1案と2案との比較

    登記制度の対象を担保目的の動産譲渡に限定する1案とするか,真正譲渡を含めた動産譲渡一般とする2案とするかについては,動産の真正譲渡についての公示手段を整備することにより,動産の流動化・証券化取引が促進されることなどを理由として2案に賛成する意見が,1案に賛成する意見を上回った。

 

  ウ A1案

    登記制度の対象を担保目的の動産譲渡に限定し,登記された担保目的の動産譲渡について優先的効力を認めるA1案については,これに賛成する意見が19件,これに反対する意見が2件寄せられた。

 

  エ A2案

    登記制度の対象を動産譲渡一般とし,登記された担保目的の動産譲渡について優先的効力を認めるA2案については,これに賛成する意見が22件,これに反対する意見が7件寄せられた。

 

  オ A2案(注)

    登記制度の対象を動産譲渡一般とし,登記された動産譲渡一般について優先的効力を認めるA2案(注)については,動産の証券化・流動化等による資金調達を促進するために必要であるなどを理由としてこれに賛成する意見が14件,これに反対する意見が3件寄せられた。

 

  カ A案関係後注

    占有改定により引渡しがされた担保目的の動産譲渡に限定して登記に対抗要件としての効力を付与すれば足りるとするA案関係後注の見解については,制度創設の理由に沿うなどとしてこれに賛成する意見が5件,引渡しの態様を問わず対抗要件を与える制度の方が明解でわかりやすいなどとしてこれに反対する意見が6件寄せられた。

 

  キ B1案

    登記制度の対象を担保目的の動産譲渡に限定し,登記に優先的効力を認めないB1案については,これに賛成する意見が4件,これに反対する意見が3件寄せられた。

 

  ク B2案

    登記制度の対象を動産譲渡一般とし,登記に優先的効力を認めないB2案については,これに賛成する意見が1件,これに反対する意見が3件寄せられた。

 

  ケ A案・B案に共通の後注

    動産が占有代理人の占有下にある場合には,登記をもって対抗要件を具備することができるものとすべきではないというA案・B案に共通の後注の見解については,登記制度が倉庫業の実務に大きな混乱をもたらすことなどを懸念してこれに賛成する意見が4件,登記制度の利用が限定されるのは相当でないとしてこれに反対する意見が13件寄せられた。

 

 (5)登記情報の開示

 法人がどのような動産を所有し,担保目的で譲渡しているかは,企業の営業秘密,営業戦略にも関係するとして,二段階の開示方法を採ることに賛成する意見が多数であったが,公示制度の本来の目的に反することなどを理由にこれに反対する意見も寄せられた。

 

(6)法人登記簿への記載

 動産譲渡登記がされた際に登記の概括的な情報を譲渡人の法人登記簿に記載する制度を導入することについては,動産譲渡登記に関する調査の便宜に資することなどを理由としてこれに賛成する意見が若干多かったものの,法人登記簿謄本を採った場合に須らく情報が開示されることにより信用不安を惹起するおそれがあるなどとしてこれに反対する意見も寄せられ,ほぼ賛否が拮抗した状況であった。

 

2 債権譲渡に係る登記制度の見直し

 

 (1)制度見直しの可否

 債務者不特定の将来債権の譲渡について,債権譲渡登記によって第三者に対する対抗要件を具備することができるようにすることについては,これによって資金調達手段が広がるなどとしてこれに賛成する意見が多数を占めたが,再建型倒産処理手続への影響や,倒産時の労働債権等の保護の形骸化,一般債権者からの与信の縮小,包括担保として債務者の財産に対する不当な干渉を招くことなどを懸念して制度の見直しに反対する意見もあった。

 

 (2)法人登記簿への記載

 債権譲渡登記がされた際に法人登記簿に記載する制度の在り方については,債権譲渡登記に関する調査の便宜に資することなどを理由としてこの制度の維持に賛成する意見が若干多かったものの,法人登記簿謄本を採った場合に須らく情報が開示されることにより信用不安を惹起するおそれがあるとしてこの制度に反対する意見も寄せられ,ほぼ賛否が拮抗した状況であった。

 

第3 今後における意見の取扱い

 提出された意見については,今後開催される法制審議会動産・債権担保法制部会における審議の参考資料として使用する。